20代半ばになった頃、僕はJリーグで他のセンターバックとどこで違いを作ろうかと考えていました。1試合や2試合で華やかな活躍ができる力は僕にはありません。

僕は守備における僕なりのこだわりがありました。僕には相手を90分間1対1で封じ込める体力も身体能力もなかったので、自分の守備のセオリーを作る作業をずっとしていました。ボール、相手、味方、流れ、狙いなど、いろんな情報からどこに僕は立つべきか。そして前後左右、どこに何割意識をおくべきか。

いろんな試合を見たり、自分のプレーを振り返ったりしました。

サッカーに答えはありませんが、僕なりのセオリーを作り、やられたらそれをまたアップデートし、そのセオリーに沿ってプレーしていました。

そのため、90分間、ボールの動きに合わせて常にポジションを変えます。1歩でも2歩でも。このポジショニングのこだわりだけはJリーグで1番だと勝手に思っていました。

そのときから僕は「継続」がテーマになりました。何年間という単位で試合に出続け、怪我もせず、ポジショニングを取り続けることで、常にある程度、安定した結果が残せると思いました。選手の入れ替えの少ないポジションですが、プロの世界は実力も拮抗していて、意外と何年間という単位で安定している選手はあまりいないことに気づきました。これができれば、何年後かに他のセンターバックとの違いになる、と思いました。

ポジショニングを取ることはメンタル面にもいい影響を与えました。常にポジションを変える必要があるため、自然に集中が高まってきます。

僕は30歳になった頃、兄貴からメールで「お前みたいにずっと右肩上がりの選手はいないよ。」と言ってもらったのがとても嬉しかったです。3歩進んで2歩下がる。何かの歌のように、一気に駆け上がることはできませんでしたが、振り返るとちゃんと一段ずつ登ってこれたんだなと思いました。


昨日の試合、3-2で逆転勝ちしました。チームの2点目、同点ゴールを決めることができました。これで、僕たちは首位に立ったそうです。僕たちはまた一歩だけ歩みを進めました。額を切って8針縫いました。タイの病院で縫うのはちょっと怖かったですが、全然大丈夫でした。ご心配なく!