鹿島にいた頃、アントラーズの月刊誌「フリークス」でコーナーを持たせていただいていました。その内容をクラブハウスで打ち合わせしていると大体、ヤス(遠藤康)が絡んでくるのですが、あるとき、「大樹さん、何で勉強ってしなきゃいけないんですかー?」といつものでかい声で聞いてきました。

僕は、「サッカーのリフティングみたいなもんだよ。小さい頃、リフティングの練習たくさんやれって言われたけど、試合でリフティングを使うことはほとんどない。でもそれで身についた技術はサッカーに生かされてるだろ?勉強は人生の基礎で、サッカーのリフティングみたいなもの。」と言うと、ヤスは、「なるほど!もっとやっとけばよかった!」といつものテキトーな反応をしてきました。(僕はリフティングをもっとやっとけばよかった・・・)

僕は岩国高校という、サッカーでは無名の高校の出身です。僕の一つ上に高卒でベルマーレに入った西本竜洋という選手がいて、2年のときは山口県の決勝までいきましたが、決勝で高松大樹(大分トリニータ)にハットトリックを決められ、惨敗しました。3年のときは山口県の2回戦敗退でした。

僕は高校生まで、サッカーで食べて行くことを考えたことがなかったので、勉強は嫌いでしたが、効率的にやろうと考えていました。全国的には無名の高校でしたが、僕はサッカーに夢中になっていたので、練習後に家に帰って勉強するのは無理でした。

僕が大事にしていたのは、学校での6時間の授業と登下校の往復3時間の時間でした。とは言っても、登校時はその日の授業が行われる予定のところの教科書を読むだけ。宿題が出れば、下校時か休み時間で済ませます。そして、あとは授業に集中することを考えていました。

テスト期間もサッカーの練習をしたかった僕は、定期テストのときは計画表を作っていました。テストの始まる2週間前から、その日にやることを全て決めます。1日2~3教科、例えば、「数学 問題集14~17ページ、歴史 暗記カード作る」とか。そうすると、学校で自習時間とかあってその日の予定を終わらせたら、家でやる必要はなくなります。それでも、テストのときまでにやろうと思っていたことは全てやれているはずなので、問題はありません。終わりが見えてると効率は上がるもので、僕は徹夜をしたりはしていません。

勉強との両立と聞くととても大変そうに聞こえるかもしれませんが、僕はやるか、やらないかだと思います。僕は長い時間は決してしてないし、家ではほとんど勉強していません。ただ、やり方を工夫して最低限やっただけです。

受験生の方からもメッセージをいただくので、僕の高校のときの話をしてみました。勉強は「やっておけばよかった。」と言われることはあっても、「やらなきゃよかった。」と言われることはあまりないものです。ヤスや僕のように、子供のときに意味がないと思ったものほど、やっておけばよかったと思うものです。