サインはしません ~ 二日目 ~ | だいすけの"折れない"ブログ

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前回の続きになります。

 

 

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サインはしません ~ 初日 ~

 

 

調査二日目は、配偶者が入居する施設に場所を移して行われました。


相続の税務調査というと、たいていは一日で終わることがほとんどです。


ただ、今回は配偶者が施設に入居されているため、配偶者との接見を希望する税務署の意向で、施設のミーティングルームを借りて行うことになりました。


配偶者の状態を考慮して、接見自体は10分ほどで終わりました。


調査官も、事前に聞いていた話から、こうなることは予想できていようで、そこはあっさりでした。


配偶者が退室すると、話は昨日の定期金の件に。



調査官「これより、昨日のやり取りをまとめた『質問応答記録書』を読み上げますので、内容に間違いがあれば言ってください。」



そう言うと、調査官は昨日の定期金に関するやり取りを、一問一答形式で読み上げます。


そして、逐一「間違いはないですか?」と聞いてきます。


相続人からしてみれば、任意調査のはずが、これでは刑事による取り調べです。


内容から受ける印象としても、相続人に何か後ろめたいことがあるような書き方でした。



調査官「『相続人は、申告書の内容はあまり確認せず、もし間違いがあれば税務署から連絡が来ると思っていました。』間違いはないですか?」



高橋「申告書の内容は確認しましたし、間違いはないと考えていました!



調査官「にします??」



高橋「『間違いがあれば~』なんて一言も言ってませんし。



終止、こんな感じで、気を抜いたら何を書かれるかわかったもんじゃありません。


一通り、読み合わせが終わると、



調査官「では、確認頂きましたので、こちらに相続人のサインを…



やっぱり、来ました。


この質問回答記録書が出てくるときは、たいていは重加算税の処分が見込まれるときで、これにサインをしてしまうと、たとえ処分に不服があったとしても、これが証拠となり、覆すことが困難になります。


税務署からしてみれば、サインを取れたら、重加算税の処分はほぼ決まったようなものですので、それを取ってきた調査官の評価にもなるわけです。



高橋「議事録としては、しっかりできていると思います。ただ、今日我々は、サインするつもりでは来ておりません。



調査官「えっ!?」



高橋「お伝えすべきことは、正直にすべてお伝えしました。それで十分でしょう?」



調査官「だとしたら、なぜサインしないのですか?」



高橋「多少のニュアンスの違いはありますが、内容自体に間違いはありません。漏れてしまった分についても、修正申告するつもりです。


ただ、これに相続人がサインすることについて、納得のいく説明をまだ受けておりません。


そもそも、法的根拠は?



調査官、少し考えて



調査官「法的根拠と言われると、この質問応答記録書は法定書類ではありません。


我々が、こういうことを聞いてきましたよーという書面です。」



高橋「じゃあ、それをそのまま持ち帰ればいいじゃないですか?



調査官「最終的に訴訟とかになったときに、これが証拠になりますので、逆にサインした方が私はいいと思いますけど。



高橋「法律的な説明になっていませんね。


それに、訴訟になったときっておっしゃいましたが、争いになるとしたら、


そちらが重加打ってきたときでしょうね。



調査官、サインをもらうことは難しいと理解したようで、持参したパソコンとプリンターをしまい、二日目の調査が終わりました。


最終的な結論が出るまでにはもうしばらくかかりますが、主張すべきことはしっかり主張しました。



相続人が行う相続税の脱税の手口として、生前から被相続人名義の財産を自分名義に変えたり、財産を海外や自宅に隠す手口があります。

いずれの手口によっても、そこには相続財産の仮装・隠蔽の意図があることは明確であって、これらは当然に罰則の対象となります。

我々税理士の役割は、こうした意図がないにもかかわらず、税務署にあらぬ嫌疑をかけられ、不利な判断をされるようなことがないよう、納税者を守ることです。

税理士の使命を、私自身も改めて確認する出来事になりました。



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