土俵からおろすという慣用句がありますが、まさに土俵からおろしたニュースが流れました

 

https://www.asahi.com/articles/ASL44739ML44PLZB017.html?iref=pc_extlink

 

 

京都府舞鶴市で開催された大相撲の春巡業で、多々見良三・舞鶴市長が土俵で挨拶中に倒れた件

 

何名かが駆け寄りまごつく中、医療資格を持つ女性がいち早く胸骨圧迫を開始しました

 

さらに加勢する女性たち

 

すると行司から会場に

 

 

「女性は土俵から降りてください」

 

 

というアナウンスが流れたようです

 

 

アナウンス後も懸命に心肺蘇生を継続し、のちに待機していた警備員や消防職員がAEDを持って駆けつけ心肺蘇生を引き継ぎ、文字通り真っ先に救命を試みた女性達は土俵からおろされました

 

市長はくも膜下出血であったということですが、意識は回復したということで、非常に良かったなと思いつつもモヤモヤした気持ちを抱かせる経過となっています

 

 

観客が当時の様子を動画撮影して公開しているのを僕も見ました

 

人が倒れている

→自分・周囲の安全確保

→患者に呼びかける

→反応がない

→人を集める

→救急要請やAEDの準備

→さらに人を集める

→普通の呼吸をしていない

→胸骨圧迫開始

 

これがBLS(Basic Life Support :1次救命処置)の流れです

 

女性らの対応はパーフェクトです

 

 

でも相撲業界としては物言いしたかったようです

 

古来、土俵は神が宿る場所で神事も実際に行っていることから女人禁制とされてきました

 

それを踏襲して、女性は土俵からおりろとなったわけです

 

なぜ女人禁制か理路整然とした説明はおそらく誰もできないと思います

 

多分「慣例」としか言えないのではないでしょうか

 

 

 

 

日本で神様を崇める、いわゆる神道においては、生物の身体から離れて流出した血液をケガレとみなされていた時期がありました

 

これが女人禁制につながるのは、月経中や産褥中の女性が流血しているからです

 

本来的には怪我などで流血している男性は神域に入ることも禁じられていました

 

 

現在でも土俵上で怪我人がでると塩が撒かれます

 

今回の事件でも、市長が搬送されたあとに塩が撒かれたと言うことで、女性に対する侮蔑のように映り大衆の怒りを買っていましたが、土俵上でけが人や病人が出たことに対して清める意味だったのでしょう

 

 

つまらんアナウンスをする暇があったらこういうことをきちんとアナウンスすればいいのにと思ってしまいます

 

 

まぁそれはいいとして、本来的には流血している人がダメなだけで、女性を全員禁止する理由はどこにもありません

(ていうかケガレの概念自体が後からでてきたものですし・・・)

 

神事に女性がダメというなら、卑弥呼はもちろん、そもそも伊邪那美命みたいな女神様はどないなるねんとツッコミを入れても誰にも文句言われないでしょう

 

 

 

また尿管結石で血尿がでていたり、痔や腸管出血などで血便を伴っていたりする男性は土俵に上がれなくなります

 

血尿血便を禁止せずに女性だけ禁止するのは医師の目からみても意味不明です

 

 

もっと言うなら、不浄負けというまわしが取れて ╰U╯ 出したら反則負けという意味不明なルールがありますが、そんなに不浄と思うなら ╰U╯ とって土俵上がればいいんですよ

 

ケガレなく神聖な場で人も近づけなくなってめでたしめでたしです

 

 

アナウンスに対しては八角理事長が公式に謝罪しておりましたが、今後女性が土俵に上がることに対してどのように対応するのかしっかりと公式見解を出さなくては、謝罪が意味をなさないものとなるだろうなと僕は思います

 

 

ケガレは大学時代に付け焼き刃のように学んだだけなので理解が及んでいない部分があるかもしれませんので、専門家の怒りを買ったら申し訳ありません

 

神様を重んじる精神は大切だと思いますので、そこはバカにしません

 

救急医としては、救命の土俵に積極的に上がった人を引き摺り下ろすようなことをして欲しくないなと思っています