最近、国民生活センターが

 

強力磁石のマグネットボール誤飲で腸管穿孔の危険がある

として呼び掛けていました

 

 

最近どこでも買えるマグネットボール

 

 

何が問題なのかということですが

 

ネオジム磁石(ネオジム、鉄、ホウ素を主成分とする希土類磁石。永久磁石のうちでは最も強力なものとされる)を使用した強力な磁力のマグネットボールを複数個誤飲

 

磁石同士が引き合って消化管内に腸壁を挟んでとどまり、腸壁が穿孔していたものを開腹手術などにより摘出したという報告が相次いだということです

 

 

磁石が強力すぎて、挟まれた粘膜に血流が行かず壊死してしまうのです

 

複数個の磁石玩具誤飲による症例報告は以前からあり、危ないなと思っていました

 

 

海外の文献↓

Dutta S, Barzin A. 

Multiple magnet ingestion as a source of severe gastrointestinal complications requiring surgical intervention.

Arch Pediatr Adolesc Med. 2008;162:123-5.

 

日本の文献↓

亀井 尚美,赤峰 翔,大津 一弘.

緊急手術を要した複数個の磁石玩具誤飲の2例.

日小外会誌 2016, 52: 102-7.

 

 

 

鋭利なもの、閉塞しやすいもの、ボタン型電池や薬剤などは緊急に内視鏡で取り出す適応としてよく知られていると思うのですが、小さい磁石でも緊急性が高い場合がある、という認識がなければ放っておかれてしまうかもしれません

 

 

 昔ディズニーのアニメで、磁石を飲み込んだプルートのお腹に金属製品が次々にくっついて取れなくなるという作品がありました

 

ドナルドの磁石騒動って古いアニメです

 

 

 

最終的になんとかなるのですが、あのままだとしたらプルートはいまごろゾンビキャラクターとして人気を博していたかもしれません

 

 

僕は幼稚園のころあのアニメをみて、なんとかして体の内外で物をくっつけられないかと、磁石同士で頬粘膜を挟むという危険行為を繰り返しておりました

 

誤飲しなくて本当に良かったです

 

子供って怖いです

 

 

 

最近は、超強力磁石も100円均一で買えるようになりました

 

安くて便利ですので、フィギュアや写真をディスプレイするときに使うなど、日常生活でもよく見かけるものとなってきています

 

ポスターなども、画鋲をコルクボードに刺しておいてポスターを磁石で挟めば、穴を開けることなく貼り付けることができます

 

 

ちなみにうちはリビングに世界地図や日本地図を貼っています

 

しかし、そのまま磁石で貼りつけると、子どもが引っ張って剥がした時に磁石が転がって行ってしまうので、磁石の上にテープを貼ってしっかり固定しています

 

 

昨年産まれた次男君は紙が無条件に好きで、ハイハイしては地図を引っ張りに行くのが日課になっております

 

磁石を固定していなければ、転がって行った磁石をおいしく食べて大変なことになるというわけです

 

 

そんなことで大変なことが起こるのか、というくらい簡単に大変なことは起きてしまうものです

 

 

子育て世帯は特に磁石の取り扱いには注意しなくてはなりません!

 

 

 

 

実は腸管穿孔だけでなく、鼻に詰めて鼻中隔が穿孔してしまったというような報告もあり、こちらも注意が必要だと思っています

 

写真:上出洋介.鼻内初見 鼻腔内磁石異物によって発生した鼻中隔穿孔.

 耳鼻咽喉科展望 2016, 59; 168-169.

 

 

僕も子どものころ、なぜか鼻にものを詰めるのが大好きだったみたいで、よく耳鼻科医のお世話になりました

 

子どもはなぜか鼻にものを詰めるのが大好きです

 

大人になると違う穴にものをいれるのが大好きな人も世の中にいるとかいないとか……

 

 

ともかく、両鼻に磁石を突っ込んでしまうと、鼻中隔を挟む形になり、鼻中隔が壊死してしまうというわけです

 

磁力が強ければ取るのも難しいのではないかと思います

 

できるだけそういうことがないよう、世間の子育て世帯に注意喚起していこうと思います

 

 

あとはお尻に磁石を突っ込んでくるような人が現れないことを切実に願いながら日々の診療を頑張ろうと思います