(8月20日 毎日新聞)不自然な低空飛行中に送電線と接触し墜落した海上保安庁ヘリコプターの墜落事故は、船上の司法修習生らに見せるための低空デモンストレーション飛行を行っ た45分後の出来事だった。事故発生後から繰り返し行った報道対応で、第6管区海上保安本部はこの事実をひた隠しにしていた。4人が命を落とし、1人が行 方不明の重大事故の背景につながる重要事実の公表を伏せた海保の“裁量”が疑問視されている。

 香川県多度津町沖の瀬戸内海に同本部広島航空基地(広島県三原市)のヘリコプター「あきづる」が墜落した事故で、飛行目的の一つに、巡視艇による体験航海参加者のためのデモンストレーションが含まれていたことを同本部が明らかにしたのは、事故翌日の19日夜になってからだった。同本部は「体験航海参加者 の心情に配慮した。司法修習生に迷惑をかけない方がいいと思った」と釈明したが、事実を伏せたことで事故の経緯が不明確になった。


 19日夜の同本部会見などによると、体験航海は水島海上保安部の巡視艇「みずなみ」に司法修習生が乗って2回に分けて行われた。「あきづる」は18日午 後2時20分ごろ、水島沖の六口島北の海域で1回目の修習生に見せるために低空飛行で巡視艇の近くを3往復した後、海上パトロールに戻った。同3時1分に 「廃船調査中」と基地に無線連絡、その9分後に佐柳島上空から「みずなみ」と2回目のデモ飛行に向け交信した直後、事故にあった。


 同本部は事故当日の18日夜の計4回の会見で、低空飛行の原因を「不明」とし、事故直前の状況をほとんど公表しなかった。「デモ飛行について18日中に把握していたが、同日記者会見した畑口一樹総務課長に情報が届いていなかった」と説明している。


 19日朝の会見でも、デモ飛行のことは引き続き公表せず、19日午後8時ごろ、18日の最初の会見から数えて11回目の会見で初めて明らかにした。


 畑口総務課長は「デモ飛行は訓練であり、海上保安業務の一環」と説明し、「事故直前の交信について広報することを優先し、デモ飛行まで頭が回らなかった。情報を把握できていなかったことは申し訳ない」などと謝罪の言葉を口にした。


 一方、水島海上保安部次長は19日夕、毎日新聞の電話取材に対し、交信記録を明らかにし「合同警備をするため六口島で午後3時半ごろ、ヘリと落ち合う予 定だった」と説明した。その後、同本部がデモ飛行について発表したことを受け、「合同警備」との説明について確認を求めると、「言い間違いだったかもしれない」などと話した。(引用終わり)

仮にも国防を預かる身であるのに「言い間違い」ないであろう。戦闘態勢だった場合は、言い間違いから色々な事が発生する。