香川県多度津町の佐柳(さなぎ)島沖で第6管区海上保安本部広島航空基地所属のヘリコプターが墜落し、4人が死亡、1人が行方不明になった事故で、国土交 通省運輸安全委員会の航空事故調査官3人が20日、事故機が引き上げられた同県丸亀市の同本部の施設で本格的な調査を開始。この日の調査後、調査官が記者 団の取材に応じ、ヘリの右前脚に当たるクロスチューブが送電線に引っ掛かり、前方に回転して墜落したとの見方を明らかにした。

 調査官はこの日、個々の部品を一つずつ確認したほか、送電線と機体の接触痕を調査。大村圭司・主管事故調査官は、ヘリの右前方下部に送電線と接触した痕 跡があったと説明する一方、エンジン類などに関しては確認可能な範囲で「問題はなかった」と述べ、機器トラブルの可能性は低いとの見解を示した。

 一方、第6管区海上保安本部は20日、ヘリが墜落直前に巡視艇に現在位置を伝えた無線通信について「巡視艇の乗組員の勘違いで、通信そのものがなかった」と訂正した。

 同本部は19日午後、合流してデモンストレーション飛行を行う予定だった水島海上保安部の巡視艇に対し、ヘリが墜落直前の18日午後3時10分、「現在、佐柳島上空」と伝えたと発表。しかし、実際には、同基地が巡視艇にヘリの位置確認を求めた無線通信を、巡視艇の乗組員がヘリからの無線と間違えた上、 内容も勘違いしていたという。

 同本部は、ヘリが計画していた2回のデモ飛行はいずれも低空飛行で、1回目は海面から高さ20~30メートルを飛んでいたことを明らかにした。所属基地などとの交信記録をもとにしたヘリの飛行経路も公表。出発前に提出された飛行計画と一部異なっていることが判明した。

(8月20日 産経新聞)

何度も言うが、国防を預かる保安庁が、普段から勘違いでは済まされない。