マーティン・スコセッシ監督、レオナルド・ディカプリオ主演の「ウルフ・オブ・ストリート」を観た。
年に数本しか映画は観ないので、事前に上映時間やレビューを確認するなどしてさんざん迷った挙句、意を決して鑑賞したのだが、結果レビューは参考にしないほうがいいということだ。
日米のユーザーレビューともに賛否両論あるのだが、自分的には3時間という時間を感じさせないほどテンポよく、物語に入り込める内容だった。
セックス、ドラッグシーンが多すぎる、という指摘もあるが、無駄なシーンはないと思う。
物語前半では、ディカプリオ演じるジョーダン・ベルフォートはドラッグや上司からのランチタイムの酒さえも断るほど生真面目な人間に描かれている。
それが、ドラッグが彼を変えたのか、仕事が変えたのかわからなくなるほど酒、女、薬に溺れていくようになる。
ジョーダン・ベルフォートの変わり方は見どころだが、他にも多々観るべきところはある。
・1本のペンをどうやって高く売るか?
「ウォーキング・デッド」でシェーンを演じたジョン・バーンサルが演じたブラッドがあっさりと答えを出す。「ナプキンに名前をサインしろ」と「需要と供給」を作り出すことだ。
・従業員のモチベーションをどうやって高めたか?
単純で達成可能な目標を設定する、この場合電話をかけて客が「株を買うか死ぬかするまで電話を切るな」「客が株で儲けたら持ち帰らせるな、現金化したら夢から醒めてしまう、さらに投資させて夢を見させ続けろ」など、ただこれが一種の全体的な狂気を産んでしまうのだが。
観る者が抱える問題や探しているものによって何通りもの見方ができるのだろう。
そのために、つまらないと感じたり、無駄な描写が多いと感じたり、面白いと感じたりするのかもしれない。
一人の指導者に支持者が陶酔していく様は一企業内だけではなく、当時の金融市場そのものであった気がする。
もし、彼がいまの時代に30代を迎えていたのなら、どんなことをやっていたのだろうと思わざるをえない。