音楽で心の垣根を壊してゆく
(漫画:小澤一雄)

高楽歴の音楽家との
対等な関係は可能か?

作詞家デビュー10周年にあたり、

なかなか難しい心の問題を考えてみます。

心の中の壁を越えられるか。

具体的には、ボクのような

楽歴のない者が

音大で専門教育を受けて人たちと
対等な関係で創造活動できるか?
という悩みを持ちながら生きてきた
10年でした。正確には14年。
“広い河の岸辺”の歌詞を書いた2010年
元日から始まりました。
日本フィルの事務局というクラシック音楽の
世界に長年暮らしたボクにとって
歌い手の心当たりは、まずは
声楽家だったのです。

とある若い声楽家は、ボクの歌詞を
唄ってくれたときにアドバイスしても
言い訳するだけで
全く効果がありませんでした。
やはり楽歴がないだけで下に見られるのか.......
歌詞を書いた本人のアドバイスはそれなりに
価値がありそうなものだけれど、
その人にはそれは無駄でした。

支え合って創造する
音大で作曲を学んだ作曲家に
「八木さんの編曲は使えない」と
言われました。
基本的に下に見られます。実際に
才能にはずいぶんと開きがあるのです。
雲泥の差。ボクは泥。
仕方のないことです。

しかし、泥のボクが書くスコア(レシピ)の
足りないところを
アルパのたかこさん、ギターのきよちゃんが
見事に埋めてくれて、お客様の心に響く
サウンド(料理)になります。
ボクの足りない才能を
補ってくれるメンバーがいます。
泥のボクを雲に引き上げられないまでも
地上を吹く風くらいにしてくれるのが
たかこさん、きよちゃんです。

共感を生み出す難しさ
”広い河の岸辺” を最初に歌ってくれた 
歌い手は声楽家で、音楽大学を
立派に卒業し、
さらに上の教育も受けました。
ボクとは桁違いの楽歴です。しばらくして
ボクから去りましたが、
より素晴らしい歌い手、大前恵子さんと
出合いました。
クミコさんと出合う前に
“広い河の岸辺” が一人歩きし始めて
ボクのいないところでも歌われるように
なったのは、
大前恵子さんのおかげです。
歌詞に共感して唄ってくれる初めての
歌手でした。

共感してくれたことががなぜわかるか、

というと

1番、2番、3番と歌詞が違えば

唄い方も違っているからです。さらには

共感があればボクがいないところでも

それを唄います。ボクが頼まなくても

自分のレパートリーにして、どこでも

唄うはずです。


藝術の世界に長年生きてきた人が
庶民の民謡の世界をどう見てくれるのか?
長年歌い継がれてきた名歌が持つ潜在力を
藝術家ならばわかってくれるだろうか?

そういう人と
探して出遭えるものではありません。
たまたま出遭うしかないのですが、
大前さんとの出合いは
単なる偶然とも言い難い。

頼まれなくとも唄いたい歌
音大出の声楽家という、別世界を
生きてきた人に頭を下げて頼んで
唄っていただく、という関係から卒業できる
かもしれない、と思えました。

画家で詩人の
葉祥明さんがおっしゃいました。
「アーティストとして生きるということは
誰にも頼まれなくても描きたいものがあるか、
ということです」。

いい言葉だと思いました。
歌の世界も同じでしょう。
「誰にも頼まれなくても唄いたい歌があるか」
ということ。
ひとつの歌に「共感」があれば、
誰にも頼まれなくてもそれを
唄いたくなるものです。 
それがオペラアリアの場合には、
歴史的名歌手の名唱がすでにあります。
それを超えて
アーティストとして未来に残るのは
大変難しいことです。

世界的名歌の美しい日本語訳詞を

初めて唄うなら

未来に残す価値があるのではないか。
それを最初に氣づいたのは
湯川れい子さんでした。

無名の作詞家の作品でも

良いものを世に出す、という

評論家としての理想の仕事を
してくださいました。

湯川さんの推薦は大きかったと思います。


ボクの歌詞を、頼まれて「仕事」として
唄うのでなく、まだ誰も唄っていない名歌の
日本語版を自分の持ち歌にして
世に広めることを
「使命」と感じて唄ってくださる歌手と
対等な関係になれるかもしれない。
大前さんとの出合いは、ボクに
そんな期待感をもたらしました。

創造的関係
大前さんはボクにアドバイスを求めました。
高楽歴でも謙虚さがありました。
オペラアリアではなく、外国の民謡を
ボクの訳詞で唄うにあたって
ボクの意見を求めたのです。
楽歴の低い者の意見を聞くかどうかは、
個人の資質の問題なのでした。

ボクは希望を感じました。
「八木さんのために唄ってあげる」
という上からの「お情け」では
未来がないと思ったのです。
誰も唄っていない歌詞で世界的名歌を
最初に自分が唄える喜びがあれば
「唄ってあげる」という見下す氣持ちには
ならないでしょう。
創造的な関係は対等でないと。
歌い手と作詞家が切磋琢磨しないと。

その後、大前恵子さんはボクに
“ローモンド湖の美しい岸辺”
   (スコットランド民謡)
”鳥の歌”(カタルーニャ民謡)
”鶴”(ウクライナ名歌)の訳詞をボクに

依頼してくださいました。

どの歌も超有名曲で、先人の有名人がすでに

訳詞して楽譜が出版されている名歌です。

それを上回る訳詞を生み出さなくては

なりませんでした。ボクには

プレッシャーがかかりましたが、

おかげで次々に名訳が生まれたと思います。


“広い河の岸辺”は決してまぐれではなく、
自分に作詞家(または訳詞家)という
生き方ができると氣づいたのでした。
これは、ジャンルとか楽歴とかそういう
心の垣根を壊してゆく生き方でもあります。
あんパンを作る日本人らしい精神性でもあり、
クロスオーバーな生き方とも言えます。
現状に満足せず、
より良いものを求めるならば
さまざまな壁を越えなくてはなりません。
完成はありません。


2月5日(月)午後2時
千葉市美浜文化ホール音楽ホール
ゲスト:Tommy(歌)




雑司が谷のビールバーBella Gattoでの
まりりん・やぎりん・とーこ
アイリッシュ読み語りコンサート
2月18日(日)午後3:00


2月19日(月)12:15〜13:00
さいたま市桜区プラザウェスト1階ロビー
やぎりんトリオ・リベルタ
みんなのコンサート(無料)


亀有落語会/読み語り音楽会2024


やぎりん作詞家メジャーデビュー10周年
春の陣♪ 広い河の岸辺コンサート in 熱海
2024年3月2日(日)午後2:00
 熱海・起雲閣 音楽サロン


やぎりん作詞家メジャーデビュー10周年
セントパトリックデイ・コンサート♪2024
3月18日(月)
日暮里サニーホールコンサートサロン
昼の部 午後2:00
夜の部 午後6:30


置賜チャリティコンサート
2024年4月16日(火)
日暮里サニーホールコンサートサロン
昼の部 午後2:00
夜の部 午後6:30


やぎりん作詞家メジャーデビュー10周年
立川 広い河の岸辺コンサート
2024年4月21日(日)
立川市女性総合センターアイムホール

◆ご訪問ありがとうございます。このブログを
訪ねて下さった方々の幸運を祈ります。


大好評♪絶賛出版♪
やぎりん(文)+小澤一雄(絵)
絵本『わくわくオーケストラ楽器物語』
(ポトス出版)¥1800(+税)




天使と悪魔の絶望名歌集
「世界が終わっても音楽と愛が残る」
歌:大前恵子(★印)
演奏:やぎりんカルテート・リベルタ(1〜16)
 高橋泉(チェロ)
 藤枝貴子(アルパ)
 清永アツヨシ(ギター)
 八木倫明(ケーナとナイ)

演奏:やぎりんトリオ・ケルティカ(17〜18)
 田中麻里(アイリッシュハープ)
 清永アツヨシ(ギター)
 高橋泉(チェロ)【ゲスト】
 八木倫明(ケーナとアイリッシュフルート)

読み語り:河向貴子(5と7)

1. ガブリエルのオーボエ
  (E.モリコーネ作曲)
2. 『銀河鉄道の夜』〜白鳥の停車場
  (藤平慎太郎・作曲)
3. ふるさと銀河に還る★
  (E.モリコーネ作曲/やぎりん作詞)
4. あなたの肩を借りたら
 【You Raise Me Up】★
 (B.グラハム作詞/R.ロヴランド作曲/やぎりん訳詞)
5. [読み語り]
  パラグアイの先住民族グアラニーの伝説
6. チョグイ鳥 (パラグアイ民謡)
7. [読み語り]
 ニュージーランドの先住民族マオリの伝説
8. ポカレカレ・アーナ★
 (NZマオリ民謡/やぎりん日本語詞)
9. 鳥の歌 (カタルーニャ民謡)
10. 聖母の御子★ (カタルーニャ民謡)
11. 愛は花、君はその種子★
  (A.マックブルーム作詞作曲/高畑勲・訳詞)
12. アマポーラ (J.M.ラカーリェ作曲)
13. もう一度愛の言葉を[切れた絃]★
  (ロシア民謡/やぎりん訳詞)
14. 鶴★【ウクライナ名歌】
  (R.ガムザートフ作詞/Y.フレンケリ作曲/やぎりん訳詞)
15. ワルツ 切れた絃 (ロシア民謡)
16. 小さなオルゴール (ウニャ・ラモス作曲)
17. 思い出のサリーガーデン★
  (アイルランド民謡/やぎりん訳詞)
18. 広い河の岸辺★
 (スコットランド、イングランド民謡/やぎりん訳詞)
19. ムーン・ダンス (清永アツヨシ作曲)[ギター+ケーナ]

CD番号
LIBERTAD-CD8686 【¥2800+税】
◎お申し込みは、やぎりんへ
yagirin88@gmail.com
税送料込みで¥3000にいたします。
*******************

◎エッセイ『広い河の岸辺』
クローバー必然と偶然が時を得て生み出した、
大いなる奇跡!
この歌は今後50年、
100年と歌い継がれて
日本の歴史に残るでしょう。
湯川れい子

本の表紙
ドキドキ やぎりんBOOK『広い河の岸辺』
(主婦と生活社)!!¥1000+消費税

コンドル合唱譜混声
やぎりん作詞《コンドルは飛んで行く》
やぎりん訳詞《つばめよ》
吉田桂子編曲
合唱譜が出版されました。
女声三部/混声三部の2種類。
それぞれに、易しい二部合唱の楽譜も
収録されています。
¥1300(+税)全音楽譜出版社


合唱譜女声
ドキドキやぎりん監修の合唱譜が発売(全音楽譜出版社)。
小川類・編曲
☆女声三部/二部
★☆混声三部/二部

《広い河の岸辺》(スコットランド民謡)
《思い出のサリーガーデン》(アイルランド民謡)

2曲セット。
定価¥1200(+消費税)


完成した絵本表紙
ドキドキ葉祥明さんの絵本(文:八木倫明)
『ひろいかわのきしべ』(国土社)
発売しました!!


絵本『ひろいかわのきしべ』推薦文の
帯付きは初版のみです。
クミコさんと湯川れい子さんの言葉が
載っています。

ドキドキクミコさん
いま世界にあってほしいと思うものが
この絵本の中にあります。それは
暗い空をてらす、希望の光です。

ドキドキ湯川れい子さん
この歌は、これからの時代に愛され、
その時代を踏み越えて、
未来に継承されていくと信じています。


クミコジャケ写
合唱のスコアもついた
《広い河の岸辺》CD
You Tubeには載っていない合唱バージョンが
このCDには収録されています。
女声合唱団「青い鳥」が素晴らしい演奏をしています。

★エーリッヒ・フロムの愛の論理と音楽