日本企業でのパーソナル・アジェンダの重要性 | 外資系 戦略コンサルタントの着眼点

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戦略コンサルでマネージャーを務める筆者が日々の出来事を独自の視座で書き綴る


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のときもそうでしたが、海外の人と過ごす時間が長くなってくると、日本を見つめ直すいい機会になります。

海外オフィスのコンサルタントやMBAの同期、グローバル企業の従業員と話をしていると、組織で働く上でのパーソナル・アジェンダの重要性を痛感します。

パーソナル・アジェンダとは、言い換えれば、組織で働くときのモチベーションをどこに置くかという個人的な欲求や嗜好です。

世界的にみると、キリスト教の国を中心にして、家族との時間がとれるかどうかや、“リア充”的にパーソナル・ライフをどれだけ充実できるかを最優先に考える人が多いといえます。

また、あわせて今やっている業務が自分のキャリアアップにどれだけ意味があるかということも、グローバルのビジネスパーソンは相当な優先度を持って考えています。

パーソナル・アジェンダと合わないことがあれば、これらの人はすぐに仕事を移ることも当たり前です。

最近は少し変わってきているとはいえ、日本の企業ではまだ、“組織のアジェンダ”に個人がどれだけあわせられるかを重視する風土が多いにあります。

歴史的にみても、鎌倉時代には封建制のもとで、“滅私奉公 is the best”として私心や我欲を持たないことがあるべき姿とされていましたし、第二次世界大戦での日本軍では、たとえ自分の命が危うくとも、“必勝の信念”という精神論で戦うことを強要されました。

この流れを受けて、今の日本の組織でも“滅私奉公”的思想が美徳とされる部分が多いのですが、かつてのような年功序列、終身雇用が壊れつつあるなかでは、もはやそれで個人のモチベーションを保つことは難しいことを認識しないといけません

日本の企業においても、いかにパーソナル・アジェンダを実現できる環境を提供できるかが、モチベーションの向上、優秀な人材の長期確保に今後は特に重要になってくるはずです。