Honey trap | 外資系 戦略コンサルタントの着眼点

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戦略コンサルでマネージャーを務める筆者が日々の出来事を独自の視座で書き綴る


「戦略の要諦は戦わずに勝つことである」といわれることがありますが、経営戦略においても戦わずに勝つに越したことはありません。
(一方で「戦略の要諦は奇襲にある」と言ったリデルハートについての記事はこちら

ある市場で敵と戦わないには、新たな市場を生み出すというやり方か、それ以外にも「そもそも敵を参入させない」、「参入しても動けないようにする」という方法もあります。

P&G
が花王の世界主要マーケットへの進出を阻むために、日本市場で執拗に花王にチャレンジしていると言われたことがありましたが、これは「そもそも敵を参入させない」という障壁の作り方のひとつです。

また、海外進出の際に、現地企業の甘い言葉に乗ってJV(合弁会社)を組み、排他的条件でマイノリティ出資をしてしまったがために、その市場で身動きを止められてしまうことがありますが、こうした「参入しても動けないようにする」罠に嵌められた日本企業もいくつか知っています。

日本企業の海外進出が増えているなかで、特に新興国の財閥から、こうしたJVを使ったいわゆるHoney trapが張られることは今後も増えそうです。

以前、クライアントが似たような罠にかけられそうになりました。
国内なのですが、そこでJVを組んだが最後、そのまま飼い殺しになる寸前のところでスキームを変えることに成功。

寸前までクライアントはこんなチャンスはないんじゃないか?と言っていましたが、相手は百戦錬磨のIT新興企業。性善説に立ちすぎで、国内でこんな甘い認識であれば、世界に出たらあっという間に餌食です。

日本の消費財企業が世界で負けている理由の一つに、グローバル企業や地元の財閥によるえげつない仕掛けに足元をすくわれてしまっていることがあると感じるときがありますが、このあたりは組織としてグローバルに経験を積んでいるわれわれがお手伝い出来る部分かもしれません。