ここに引っ越して来てから

 

ほんの数日後のことである。

 

ある昼下がり、

 

エリック氏が冷凍庫を開けると

 

突如世紀末レベルの大洪水が起きた。

 

 

 

うわーい冷たーい・・・。

 

 

 

どうやら引っ越し早々備え付けの冷凍庫が壊れ、

 

中身が全てでろんでろんに溶けたらしい。

 

慌てて義父(※うちの大家は義両親)に電話し

 

冷凍庫を見てもらったのだが

 

修理不可と言うことで

 

新しい物を入れてもらえる運びとなった。

 

 

 

さて、搬入前日のことである。

 

業者から運び込み時間の連絡をもらったエリックが

 

何やら難しい顔をして私の元にやってきた。

 

 

 

私 「どうしたエリック。ひょっとして日程変更か?」

 

エリック 「いえ、明日来るには来るんですけど、

時間が7時なんです。」

 

私 「明日は特に予定もないから、問題ないように思うが。」

 

エリック 「いえ、それが、夜かと思ったら、

朝7時に来るらしくて・・・・。」

 

 

 

 

農家の朝か。

 

 

 

 

普段はちんたら仕事をしている癖に

 

どうでも良い時に俄然謎のやる気を出す人々、

 

それがスコットランド人。

 

しかし

 

冷蔵庫の運び込み+運び出しともなれば

 

ある程度時間もかかるだろうし、

 

静かにしてても音がけっこうするはず。

 

実は我が家の真上には

 

黒ひげ危機一髪並みに繊細な住民が住んでおり、

 

朝7時に話し声でも聞こえようものなら

 

警察に通報されかねない。

 

と言うかそもそも

 

私たちもそんな時間の来客は御免被りたい。

 

少なくとも私にとって朝7時は寝る時間である。

 

 

 

と言う私たちの切なる願いも通じず、

 

結局まだ外が真っ暗な時間に

 

襲来なさることになった我が家の冷蔵庫。

 

唯一救いだったのは

 

私などよりもよほど勤勉なエリック氏が

 

「僕が対応するので寝室にいて良いですよ」

 

と言ってくれたことである。

 

お言葉に甘えてぐっすり眠った私が

 

翌朝起きた時には、

 

すでに新しい冷蔵庫様が

 

キッチンにご鎮座なさっていた。

 

 

 

 

ある種のドッキリやな。

 

 

 

 

次は壊れないことを願うのみ。