スコットランドに引っ越してくる前、
実は日本に住んでいる間にも
私たちは一度引っ越しをしていた。
引越し日が真夏日で
家具を運びながら皆汗だくだった思い出しかないが、
さて、引越しから数週間後
エリック氏がちょっとぷりぷりと
私のところにやって来た。
「もんさん!こんなもの床に落としたら危ないでしょう!
踏みそうになりましたよ!」
と、言うエリックの手のひらには
錆びた針が乗っている。
確かに我が家で針と言えば
毎日無心で刺繍に没頭しまくっている私が
最有力容疑者なのだろうが、
(一方エリックは針の使い方を知っているかも怪しい)
私の所有する針は全てケースに入っており、
1本無くなったらすぐに分かる。
と言うかそんな錆びた針使わんがな。
私 「いやそれ、私のじゃないよ。多分前の住人が落としたのが
今の今まで転がってたんだろう。」
エリック 「本当ですか?嘘じゃないですよね?」
私 「嘘だったらその針を飲もう。」
エリック 「???何のために?」
と言うやり取りの末に
結局針は処分されたのだが、
さて時は流れ今年2月
スコットランドの新居に越して来た数日後に
エリック氏がまた私のところにやってきて
「もんさん!針落としてますよ!!」
と言うではないか。
待ってそれも私のじゃない。
エリックの手に乗っていたのは
紫色の待ち針だったのだが、
明らかに私のとはデザインが違う。
恐らく今回も前の住人が落としていったものが
そのまま何か月も転がっていたのだろう。
どいつもこいつも針を落とし過ぎである。
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実は皆様のお宅にも
針が仕込まれているのかもしれない。