「知らなくていいコト」第1話～第6話の感想と不倫の四方山話です。
NHKで「セカンドバージン」「ガラスの家」「コントレール」などを書いた大石静さんの脚本です。
不倫が異常なまでの大騒ぎで報道される昨今、「不倫ってそんなにいけないこと？」と一石を投じる様な作品だと思って見ています。
リアルマスコミの過剰なバッシングに多少の違和感はあるものの、私自身は奥さんや子供が傷つくような「不倫」には大反対です。
私の恋愛観は昔から恋愛＝結婚なので、相手に彼女がいるとか結婚していると知った時点で恋愛対象外になります。
だからケイトと尾高さんがどれだけ相手を想い合っていても、どれだけ美しい場面であっても、ドップリ漬かることは出来ません。
尾高さんもケイトのことが本当に大切なら、奥さんと別れてからケイトとよりを戻すべきでしょう。
（それは鈴木杏樹さんにも言えることで、相手から独り身になるつもりでいると聞いても、実際に独り身になってからお付き合いするべきでした。）
個人的には、第6話ラストのキスシーンよりも、「蛍草～菜々の剣」で菜々と風早市之進の心が通じ合ったようなシーンの方がグッと来ました。
プラトニックの方が萌えるのは、大石さんが肉食で私が草食だからでしょうか？
最初の頃はこのドラマをお仕事ドラマだと思っていたので、主人公の仕事の描き方が雑なことが気になりました。
国際ロマンス詐欺の被害者とかDNA婚活とか、取り組みだしてから困難があっても、最後はいつも簡単に解決して、「そんなあっさり記事にさせてもらえるの？」って感じてしまいます。
第6話の不倫の追っかけは取材に基づいた構成という感じで描き方が丁寧で面白かったです。
2004年にNHK総合で放送された「美しき日々」（韓国ドラマ／イ・ビョンホン チェ・ジウ）は、殺人の場面から始まりました。
重厚なドラマと思って見ていたら、その殺人事件は実は2人の恋を盛り上げる為のエッセンスの様なものでした。
このドラマも、『すべてのエピソードは2人の恋を燃え上がらせる為の味付けに過ぎない』んですよね。
乃十阿徹の事件は、ケイトを「殺人者の娘」「可哀想なケイト」に持って行くための仕掛けです。
お母さんが亡くなってケイトが天涯孤独なことも、尾高さんへの想いを強める為の設定です。
自分がこんなにつらい時に優しくそばにいてくれる存在があったらついぐらっと来てしまうのも分かる・私がケイトなら・・・と視聴者を誘導している感じです。
乃十阿徹がケイトに水をかけたのも、尾高にケイトを抱き締めさせる為、そして2人をラブホに行かせるための道具でした。
（あの場面で尾高が現れたのには笑ってしまったし、濡れたままのケイトを抱き締めるのは変でした。(^^;)
まず拭いてからにしましょうよ！(笑)）
ケイトが彼氏の野中春樹に「私は犯罪者の娘かもしれない」と話すのは軽率過ぎた気がします。
それだけ信頼していたという事でしょうか。
でも受け入れてくれたことに驚いて幸せいっぱいになっていたから、どういう心境で話したのか、ただただ怯えてつい話してしまった＝な～んにも考えていなかったのか・・・不思議です。（言いふらされたらアウト！）
今後、彼がケイトと尾高の中に嫉妬して行動を起こし、乃十阿徹のことを世間にばらしてケイトを窮地に追い込むのでしょうか。
そうしたら、辛い立場のケイトはますます尾高さんを頼って行きますよね。
しかもケイトが刺されたら、尾高はますますケイトを心配するでしょうし大事に思ってしまうかも？
恋は障害があるほど燃え上がると言いますし
DNA婚活は、ケイトの出自をより印象付けるためのエピソードで、これがケイトの尾高さんへの想いに拍車をかけました。
そして人気将士と女優の不倫は、「不倫っていけないこと？」「私の思いは不倫？」にリンクしています。
天涯孤独で可哀想なケイトと、別れたけれどケイトのことをずっと見守る優しい元カレ。
だけどケイトは仕事は出来るし、ケイトが孤独なのは色々相談できる女友達がいないことも要因だと思うし、そこは自業自得では・・・？
ちょっと都合よくない？と思ってしまうのです。(^^;)
しかも第6話に関しては、将士の奥さんが完全に悪者に描かれていて、登場人物がみんな不倫相手に感情移入していたのが不気味でした
週刊イーストは、不倫をメインに扱う週刊誌ですよね？
不倫に差し掛かっている（？）ケイトが女優の吉澤文香に共感するのは理解出来るんですよ。
だけど・・・。
「だって恋の始まりのウキウキ感分かるじゃないですか！」
「後から出逢った方が道に外れてるって一方的に責められるのはどうなのかなって」
「不倫でも？愛は愛だからね～」
「この幸せを、私は奪っていいんだろうか」
「吉澤文香、かっこいい！」
「私もこの奥さんより吉澤文香の方がいい女だと思うんですけどね～」
これらはすべて完全に不倫する立場の女目線です。
奥さんがいると分かっていて不倫して開き直る女のどこが「かっこいい」「いい女」なのでしょうか？
それがまかり通るのであればこの世はぐちゃぐちゃですよ。
それ以外にも、不倫の場面を激写するために追っている女の子が、「これから彼に会いに行くんですね！いいなあ～！」と言っていたことに激しい違和感がありました。
不倫なのに羨ましい？？？？？
人気俳優と不倫するって場面なら違和感がなかったと思うんですけどね
彼女は、「恋愛は戦いですよ！自分の心とも戦わないといけないし、奥さんとか元カノの影とも戦うんです！」とも言っていましたし、ベテランっぽい同僚も「絶対外でデート出来ない吉澤文香のストレスも分かるよね～」と言っていました
奥さん側の立場でものを言う人が1人もいないって、大石さんの価値観をめちゃくちゃ感じます
大石さん自身が過去のドラマの番宣で、うちは互いに不倫していると公言していましたから、この方は「出会った順番は関係ない」というお考えなのでしょう。
でもこれはかなり少数派というか、自分勝手な考えですよね。
吉澤文香が「奥様と先生にもいい時代があったように、これからは先生と私の時代なんです。」と言っていましたが、それなら吉澤文香を捨てる次の時代もあるってことだよね？と即座に思ってしまいました。(^^;)
東出君と杏さんが結婚して3人の子供が生まれたけれど、次は唐田えりか（呼び捨て
）の時代が来て、また次は・・・って価値観でおK？
ケイトが「そんなに悪いことしてるとは思えないけど」と言っていましたが、そういう無自覚こそが普通の暮らしをしている人たちを脅かすのだと思います。
別にドラマだから「不倫！ダメ！絶対！」とか言っているわけじゃないんですよ。
ただ、「後から出会ったっていうだけで、私の愛が薄汚いように言われるのは違うと思います（私たちの愛が本物の愛なのよ）」みたいに何の反省もなく激しく主張してしまうあたりに気持ち悪さを感じるのです。
大石さんは不倫してそれを「本物の愛」と確信して、満足して別れてご主人のもとに帰ったかもしれませんが、それが本当に「本物の愛」なら、相手も「旦那と別れてくれ」と言ったことでしょう。
それをしないで綺麗に別れたのは、結局そういう事だと思うのですが・・・。（ただの憶測です
）
遊ばれた女の子はそれを「大恋愛をした」と言い、大物女優だって50歳にもなって騙されるんですからね。。
出会いの順番という意味でもう一つ書きます。
私は沢田研二さんが不倫略奪婚だったというのを去年知りました。
そういえば昔ジュリーってかっこ良かったよな～と検索したら、奥さんと別れて18憶円の慰謝料を払って田中裕子さんと再婚したとか
不倫否定派の癖に、18億円というのが潔くてすごいと思ってしまったのと同時に、18憶円を払ってまで別れたいと思われる奥さんの気持ちを想い、気の毒に感じました。
彼女は沢田の姓を変えずに2012年に亡くなったそうです
その後、浮いた噂一つなく沢田研二さんと田中裕子さんは今でもたまに居酒屋で仲良く飲んでいたりするそうです。
そういうのを見ると、「出会った順番が違っていた」「本物の愛だった」と言えるのかも？と思ってしまいます。
そもそも沢田さんは憧れのミックジャガーが年上の双子と付き合っていたという事があって、最初の奥さんと結婚したのでは？と言われています。
そんなこと、奥さんの方からしたらたまったものではないですが
今は容姿がすっかり変わってしまった沢田研二さんですが、脱原発の活動をずっと続けているという事で、歌声も衰えていません。
脱原発の活動を続けている限り、メディアに出ることはほとんどないでしょうけれど、いつかコンサートに行ってみたいと思っています。
（忌野清志郎さんの様に.、亡くなってから取り上げられるのでしょうね）
メディアと言えば、沢田さんはさいたまスーパーアリーナのドタキャン騒ぎで取り上げられたんですよね。
それのおかげで彼の今の活動を知ることが出来たので感謝です
ドラマの話に戻りますが、元カレの野中春樹が将棋の暗号の読み解く場面は面白かったです
BGMも含めて良かったです。
「知らなくていいコト」というタイトルは絶妙
と感じますし、この着地がどうなるのか興味があるので多分最後まで見ます。
色々勝手なことを書いてきましたが、大石静さん脚本のドラマでは「お天気お姉さん」や「家売るオンナ」が大好きです。
不倫を扱うとご自身の主張が激しく出過ぎて嫌な印象があるので（「セカンドバージン」で深田恭子さんに幼稚で馬鹿な嫁役をさせたことは不愉快でした。嫁を徹底的に悪く描いたり、ドラマを盛り上げる為に今回の野中みたいな分かりやすい悪役を作ることも、不倫肯定の立場でしか台詞がないことも引っ掛かります）、この方には是非今後はコメディーで突っ走って欲しいです
