ちょっと前にコンビニコーヒーの不正増量について書きましたが、コンビニではもう一つ常々気になっていることがあります。それはタバコの話です。

 タバコ人口が減少して街のタバコ屋さんは絶滅種になり、またタバコ屋さんが管理していた自動販売機も見かけなくなりました。一方、増え続けるコンビニがタバコを買うメインの場所として定着した感があります。今、たいていのコンビニ店舗内にはタバコの陳列棚(ラック)がいやでも目につく場所に置いてあります。普通、商品毎に番号が振られたタバコ陳列棚がレジカウンターのすぐ後ろにあるか、頭上に吊ってあり、100種類以上のタバコがに並んでいるものも珍しくありません。

 考えてみれば不思議なものです。法律で「健康に悪い」とか「二十歳になってから」とかわざわざ箱に書かされ、世間体からも積極的に販売すべき商品では決してないタバコが、何で販売促進よろしくこんな目立つ場所に堂々と飾られているのでしょうか。本来であればあの目立つ場所にはもっと違う売れ筋商品を置くほうが良いとも思えるのですがなぜそうしないのでしょう?

 聞けば、実はタバコはコンビニの中でも総売上の2割ほどを占める大事なコンテンツなのだそうです。商品自体の利益率はごくごく低いみたいですが、喫煙習慣のある人がタバコが切れれば必ず近くのコンビニに買いに来る、いわば上得意様になってくれることが大きいと思われます。こうしたお得意様はほぼ決まった周期で店に来てくれる上、たばこの他にもついで買いで何かとお金を落としてくれるため、そういった面での効果が大きいのでしょう。また、タバコは未成年への販売が禁止されている関係上、店員が購買者の年齢を確認の上で手渡しで売っています。それゆえに店員の手がすぐ届くところにタバコを置かざるを得ないのかもしれません。

 

タバコ陳列の例。カウンター背面の目立つところに設置。

 

 それにしても、改めてタバコの棚を見てみると同じブランドでも細かく種類が分かれていて、タバコを吸わない自分にはさっぱり区別がつきません。また、あの狭いスペースに紙タバコの他加熱式のタバコも並んでいて一体何種類あるのだろうと思ってしまいます。店員さんにとっては商品を覚えるのも棚卸しするのも大変に見えます。タバコにはそれほど細かい味の違いが必要なのかなと思うのですが、そこは喫煙者にしかわからない部分もあるのでしょう。いずれにしてもこれだけ目につくところに置いてあると分煙化とか禁煙を推進しているという文句も白々しく感じてきます。出口のところでは分煙とか禁煙とか受動喫煙とかうるさいことを言っておきながら、入口でまるで販売促進を図っているかのような売り方はなにか倒錯したものを感じます(お酒もそれに近いものはありますが、普通は飲料の隅のやや目立たない位置に置いてあるのが普通です)これだけ堂々とたばこを店頭に並べて売っている先進国は日本だけではないでしょうか。

 

 もっとも、今後はセルフレジや無人店舗が増えるに従ってタバコの売られ方も変わっていくものと思われます。もしかしたら店内自動販売機のような形でマイナンバーカードと連動して売られたり、コーヒーマシンのように一本単位でばら売りしたりするような売り方も出てくるかもしれません。そうなると、今当たり前になっている壁面一杯のタバコ売り場も変わっていくのかもしれないと思った次第です。

 

ではでは