美浜の会より北海道議会への要請書を転載します。


要   請   書
これまでの道議会の議論を踏まえて
泊3号原発の本格運転再開を認めないでください

 ○福島第一原発事故の実態はいまだ解明されていません
 ○原子力安全委員会は、泊3号の運転再開について判断を示していません
 ○国の研究所(産総研)が、泊原発周辺の断層帯の評価を発表。北電の耐震安全性評価は過小評価です。

北海道議会 産炭地域振興・エネルギー問題調査特別委員会
委員長 斉藤 博 様

 明日16日13時より、特別委員会で泊3号の本格運転再開に関する審議が行われると報道で知りました。

 以下の理由から、泊3号の本格運転再開を認めないよう、強く求めます。

○福島第一原発事故の実態解明もなされていないのに、泊3号だけ特別に本格運転を再開してもいいのですか。
 
 泊3号は、福島第一原発事故後、初めて本格運転の再開を行おうとしている原発です。しかし、福島第一原発事故の実態解明は未だなされていません。津波が来る前に地震で配管が破損した可能性もあります。原子力安全・保安院と北電の緊急安全対策は、消防車を配置するなどの津波対策だけです。
 さらに、福島第一原発事故では長時間の電源喪失が現実に起こりました。長期間の全電源喪失は起こらないとしてきた国の安全設計指針は破綻しました。この指針のもとに設計された原発の運転再開などできる状況にはありません。
 しかし、泊3号だけは、保安院の従来基準による検査だけで運転再開がなされようとしています。九州電力の玄海原発2・3号は、同じような条件で運転再開されようとしていましたが、政府の統一見解としてストレステストの実施が必要となり、運転再開は中止となりました。
 福島第一原発の実態も明らかにならないうちから、泊3号だけ本格運転を再開していいのでしょうか。

○これまでの道議会の議論を踏まえれば、泊3号もストレステスト第一次評価の対象です。道議会の議論も踏みにじって、再開していいのですか。

 高橋知事は、定検停止中の泊1号と調整運転中の泊3号は「同じステージにある」と認識し、議会でもそのような答弁を行ってきました。ところが、泊1号はストレステストの第一次評価の対象となり、泊3号はその対象から外れています。これまでの道議会での知事答弁と議論を踏まえれば、泊3号もストレステスト第一次評価の対象となり、運転再開についてはその検査結果を少なくとも踏まえなければならないはずです。このまま本格運転再開を了承すれば、これまでの道議会の審議も踏みにじることになります。

○国の原子力安全委員会は、泊3号の運転再開に、何の判断も示していません。

 8月11日の原子力安全委員会では、泊3号の運転再開が議題に上がりました。しかし、わずか15分で、3人の委員の質問だけで終了しました。原子力安全委員会としての「判断」は何も示されませんでした。傍聴席からの抗議に対して、班目委員長は「定期検査は保安院でしっかりやってもらうということです」とのみ語りました。それではなぜ、安全委員会として議題に取り上げたのかと問うと、「保安院が報告したいと言ってきたからです」とのことでした。結局、原子力安全委員会として、泊3号についての「判断」は何も示されていません。

○国の研究所(産総研)が、泊原発周辺の断層帯の評価を発表。北電の耐震安全性評価は過小評価です。

 独立行政法人・産業技術総合研究所は、泊原発周辺の黒松内低地断層帯が、北電の評価より大規模であると発表しました。北電の想定では、この断層帯の長さは約40kmとして、地震の規模はM7.5としています。しかし、今回の産総研の調査では、断層帯の長さは約43kmで、南側の八雲断層帯と連動している可能性もあり、その場合には長さは約55kmに達し地震規模はM7.7になるとされています(8月13日付朝日新聞より)。北電の耐震安全性評価は過小評価であり、原発の耐震安全性を根本から検証し直す必要が出てきました。このようなときに、運転再開を許していいのでしょうか。
 [参考]
  ◎「黒松内低地断層帯」 北電見解より大規模 朝日新聞 2011年08月13日
     
http://mytown.asahi.com/hokkaido/news.php?k_id=01000001108150005


 2011年8月15日
   美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
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