にゃんとま~さんのツイートより、本日4/4の農業新聞の記事を紹介します。


● TPP交渉参加の是非をめぐり、「日本が態度を決めきれず、米国がいら立ちを強めている」などと報じた2日のNHKニュース番組を受け、3日、TPPに慎重な国会議員の間に「交渉参加への地ならしが始まった」との警戒感が広がった。

 同番組は政府の”内部文書”が情報源。野田首相の訪米が予定される中、「政府が意図的なリークと外圧で世論誘導を行っているのでは」と懸念を強める。

 

この報道があったのは、2日夜の「ニュースウオッチ9」。独占入手したとする政府の内部資料を基に、TPP交渉参加の是非をめぐる議論で「米政府内に失望感が漂い始めている」「(米国は)日本の煮え切らない姿勢にいら立ちを強めている」などと報じた。大越健介キャスターはワシントンから生中継し、「決められない国・日本」と紹介した。


「首相の訪米によるTPP交渉参加の判断を急ぐよう、あおっている」。

3日の参院予算委で言及した自民党の山田俊男氏(比例)の批判の矛先は、NHKの報道姿勢から、玄葉光一郎外相に向かった。

「(内部資料をリークして)NHKに言わせ(るように仕掛け)たのか」そう懸念するのは報道が政府の「内部資料」を基にしていたからだ。「(政府の)誰が出したのか。マスコミを利用して無理やり世論形成しようとしている」」


この日の朝に開かれた自民党総合農政・貿易調査会などの会合でも、江藤拓氏(衆・宮崎)や赤澤亮正氏(衆・鳥取)らが、政府による世論誘導の可能性を指摘。追及を受けた外務省は「出所不明で、コメントも確認もできない」と沈黙した。


野田首相は5月の大型連休中に訪米を予定しており、この際にTPP交渉参加を表明する可能性が指摘されている。「参加表明への地ならしだ」と民主党農林幹部。「米国の外圧だという見せかけ。やり方が何でもありになってきた」と危惧する。




●米通商代表部(USTR)は2日、2012年の外国貿易障壁報告書を発表した。米国が、日本の環太平洋連携協定(TPP)交渉参加条件として例示している牛肉、郵政の保険事業、自動車の非関税障壁などを撤廃すべき「貿易障壁」として強調。ミニマムアクセス(最低輸入機会=MA)米が主食用としてあまり利用されていないことや、農産物の高関税なども問題点として指摘した。新薬などの価格が高く設定される制度の導入も求めた。環太平洋連携協定(TPP)交渉で米国が要求している制度だ


米国は、TPP交渉への日本の参加条件を示していないが、これらの厳しい要求が、事前協議を含めて対日交渉方針の基になる可能性がある。同報告書はUSTRが毎年発表し、米国が貿易の障壁と見なす他国の制度を列挙している。


11月に野田佳彦首相がTPP交渉参加に意欲を示してから初めての報告書となるため、要求内容や指摘事項が注目された。最初に記載されたのは11年と同様、20カ月齢以下に限り牛肉を輸入する月齢制限。牛海綿状脳症(BSE)の原因となる異常プリオンがたまりやすい特定部位を除去すれば、米国産牛肉は安全とする国際基準に合わせ、月齢制限を撤廃することを求めた。


郵政の金融事業やJAなど協同組合による共済には民間の保険会社と対等な競争条件を確保する規制の見直しを要求。日本郵政のかんぽ生命に対しては規制が見直されない限り、新商品の販売などの事業拡大を認めないよう求めた。これは米韓自由貿易協定で韓国に認めさせたルールと同じだ。


日本のTPP交渉参加に米国の業界団体が反対している自動車分野では、米国車や自動車部品の対日輸出が伸びないことを「深刻な懸念事項」とする文を追加し、前年より表現を強めた。非関税障壁として、新技術導入に対する規制や自動車の販売店の出店への規制などを例示した。ただ具体的な要求は示さなかった。


また業界団体が日本のTPP交渉参加を強く支持している医薬品や医療機器分野についても記述を拡充。技術革新への報酬や先端医療の製品開発を促す措置として、薬価を高く評価する価格算定ルールの実現を求めた。


一方、医療分野では、11年までは盛り込まれていた株式会社の病院経営への参入が削除された。日本国内で「TPPに参加すれば国民皆保険が脅かされる」との懸念が広がっていることを受け、TPP交渉参加への警戒感を和らげる狙いがあるとみられる。