─────マジか??
とんでもない提案をしてきた……今、目の前にいる愛おしい人が、誘うようにニッコリ微笑む。
……ほんと、……拷問。
俺、そこまでされるような事したっけ?
……考えてみるけど、まったく思いつかない。
そりゃ、レイと会っちゃって、元カノって聞いて…いい気はしないよな。
でもさ、…レイ、言ったじゃん。
───そこまでユノを変えた人…って。
………おまえだよ?言わなくたって、分かるよな?
俺も…言ったじゃん。
───すげぇ、好きなやつ。って。大切にしたい、って。
────しばらく僕に触れないで。
────僕のこと好きなら出来るよね。
なんなの?……絶対、無理!……大声で言いたいけど、そんな雰囲気じゃなくて。
拷問の言葉が頭ん中グルグル回って目眩がしそうだけど、上目遣いで甘えたように返事を問うおまえに…俺の答えは、yesしかないわけで。
おまえがドンへの前で泣いたのは、事実で。
……それくらい傷つきました。って、確かに言った。
───原因は…俺?…やっぱりわかんねーし?
仕方なくTシャツを着ながら、ふと隣を見ると、スマホを何やらいじっていたおまえが「えーーっ!」って、びっくりしてる。
「なに?…チャンミナ?」
「……ユノ。困ったことになっちゃった。」
「……だから、なに?」
俺の方こそ一大事なのに、呑気にメールかよ。って、イラついた言い方になってしまった俺って、小さいのか?
「ユノーー!!……どうしよ。」
……だからさ、そんな可愛い顔したら駄目だろ?
1ヶ月触れるの禁止?…ホント、自信ない。だって今すぐそのクシャってなった頬を両手で包んでキスしたい。
「……ミノが、明後日来るって言うんです。」
「…はっ?ミノ?」
「講習とか模試とかあって、明後日から二泊じゃないと来れないって。…僕、明後日は昼から教授の手伝いを頼まれてて、大学の案内出来ないし。」
チラッと俺を伺う。
……おまえも俺の扱い…上手くなったよな。って思いながらも、「…いいよ?俺が案内してやるよ。」
「…本当ですか?午前中、一緒にミノを駅まで迎えに行って、そのまま大学でいいですか?……ユノ、バイトは?」
「んーっ。その日はナイトポーターだけかな?」
「わぁ、…ありがとうございます。」
なんて、ホッとしたのか頬を上気させたチャンミナ。
なぁ、…少しはあの拷問、考え直してくれる?……せめて3日とか、さ。