─────「チャンミーーンッ!」
僕の頭から被った布団の上からムギュッて抱き締めてくるから。
「……お、おもい……ユノ!」
「……ったく、…かわいい奴だなぁ。」
布団の中でジタバタ暴れても一向に離そうとしないユノ……暑いんだけど。
「……なぁ、…顔…出して………?」
───ゆっくり……オデコだけ出す。
「……ふふっ。」
オデコにチュッ、って唇がおりてきて…
……ユノの手が少しずつ布団を捲っていく。
ギュッとつむった目蓋に……鼻に……
この恥ずかしい状況に赤くなった耳にも……
暑苦しくて上気した頬に………
「……やっと、……到着。」
……酸欠で少し開いた唇に角度を変えたユノの唇。
こわれものを扱うような…優しいキス。
……ゆっくり唇が離れて愛おしそうに微笑む。
「…なぁ、相談があるんだけど?」
「………なに?」
僕の横にドサッと寝転んで肘で頭を支えながら、僕の髪の毛を何度も梳くから…
「……ユノ…それ……眠たくなっちゃう。」
ふふっと笑ったユノが
「やっぱ、お子ちゃまだなぁ……チャンミニは……。」
って、嬉しそうに呟いた。
「あのさ、…もうすぐ、学祭じゃん?」
………実は、バイト入っちゃおうかと思っていたけど、ユノ達がダンスするって聞いて、…やっぱり見たいし、って、迷ってるんだよな。
「各サークルから出した実行委員主催でダンスパーティーがあってさ。」
ちょっと間をおいた後、僕の両手をガシッと握る。
「…チャンミナ。俺のパートナーになって?」
……………はっ?
「…!!ばっ、バカじゃないですか?////僕、男ですよ!///////」
「……知ってるさぁ~。…でも、ペアじゃないと参加出来ないし、…チャンミナ以外の奴とペアになんの嫌だし…。」
……聞けば、同じ大学内のペアじゃないといけないみたいで、この時期は一気に学内のカップルが激増するんだって。
「……じゃあ、去年は…どうしたんですか?……そ、その…レイさんは一緒の大学じゃないし。」
「…ん?…あー、…レイとはまだ付き合ってなかったから、…どうしたっけ?…そん時の彼女と参加した気がする。」
………そうそう、去年はパーティーのイベントでキングとクイーンに選ばれてさ、写真見る?とか言ってきて…イライラする。
「だからさぁ、…俺、チャンミナと行きたい。」
甘えたような目で見てきてもダメ。
男同士のカップルって、普通駄目だろ?
「……じゃあ、…行かなきゃいいじゃん。」
不満げに呟いたけど…まぁ、お祭り大好きな人だし、…付き合いとかあるだろうし…。
まさか、男と付き合ってるから行けません。…なんて、言えるわけないし。
「…ん。…じゃあ、今年はチャンミナがいるから行かない、ってドンへに言おうかな?」
「…!!!」
「…うん。……そうしよ!夜はチャンミナと2人でパーティーもいいな!」って、満面の笑みで言ってくるユノ。
「ユノ!!…ぜひ、行ってください!!…誰か他の女の子誘ってでも!」
───この人、マジで言っちゃうから。
普通に僕との関係、…隠す気ないから。
焦ってユノの手を握り返し、ひろ~い心が伝わるように目をキラキラさせて見つめた。
「……っうわっ…!!!/////」
サッと欲がはしったユノの瞳に囚われて、すごい勢いで布団を全部剥され、そのまま話をする事は許されずに…その話はうやむやになってしまった。