「リヨンー!ちょっとぉ。見たわよ!…ユノさんと学食って、どういう事?」
──講義が終わって片付けているところに、理系の校舎ではひときわ目立つ派手なグループ。
「べつに。いつものようにドンへとチャンミンくんとランチしてたらユノさんが来た、ってだけ。」
あっさりと答える。
「いいなぁ。…リヨンもユノさんファンじゃないの?時々、ダンスの練習…影から見てない?」
この子達は完全にギャラリーの常連。
理系って、いろいろ忙しい筈なのに…ちゃんと課題、出してる?
「…たまたま。ドンへに話聞いたりするから、気が向くと、ね。」
勉強するために来てるはずなのに、無駄にヒラヒラと着飾った子達はなぜか大盛り上がりで。
「ドンへさんとバイトが一緒ってだけでいいよねぇ。」
「それにさ、…あの1年の、チャンミンくん?…何なの?…すっごい格好良くない?」
「なんでもさ、…あっちからリヨンと話したいって言ったらしいよ~。」
「この間のレポート、リヨンの見てさ、感動したんだって!」
「マジで?…賢いって、いい男も寄ってくんのね。」
───勝手なこと言ってる。
そのうちユノさん派かチャンミン派か、って話に発展しちゃって。
「やっぱさぁ、ユノさんの方が女の扱いが上手そうじゃない?」
「でも、遊ばれるかもよ~?」
「ユノさんになら遊ばれてもいいなぁ。」
「え~!私は断然チャンミン派だなぁ。格好いいし、綺麗だし、誠実そう~。」
「女の自分よりキレイな肌の男ってどうよ?」
きゃははは~って、……とにかく煩い。
「……リヨンもさぁ、せっかく美人なのに、そんなに色気がなくちゃ彼氏も出来ないよ~。
今度の合コン来る?リヨンが来るって言ったら男共が喜ぶからさ。」
───よけいなお世話。
ひとこと言って席を立とうとしたら、ちょっと先から、
「リヨン!教授がよんでるよ。」
親友のスヒ。
いいところで!…って、そのハデハデ集団に手を振って席を離れた。
「ありがと!スヒ!…あれ?教授は?」
にかっ、と笑う小柄で可愛らしいスヒ。
「だって、リヨンってば眉間ピクピクさせててさ、いつ暴れ出すかヒヤヒヤしたんだもん。」
なんて言ってる。……猛獣じゃないんだから。
でも。
「………ありがと。」
「まぁね。……着飾ってる自分たちより憧れの人達の近くにいて、モテるリヨンが妬ましいだけだよ。」
外に出て、はぁ~っと息を吐く。
秋の風が心地良い。
────私の、想いは……あの人達の
ように騒いだり、追っかけたり…そんな想いとは違うから。
────あの入学して初めての夏から2年以上もたつのに。