学食の日替わりランチをつつきながら、「ほら。…やるよ。おまえの大好物。」って、エビフライをポンって僕の皿にのせるユノ。
……あの、…嬉しいんだけどさぁ、確かにエビフライ、大好きなんだけど…今まさに微妙な空気が流れたのを感じて。
ゴホンってわざとらしく咳払いをしたドンへさんが、学祭の話をしだした。
「実行委員の仕事がさ、結構忙しくなってくるから、ダンスの方はおまえ…頼むよ?」
チラッと見て…なに?今さら…って顔のユノ。
「そういえばさぁ、ダンスパーティーは俺、参加しねーから。」
あっさり言うユノに、はぁぁん?って眉を釣り上げたドンへさんが
「…ばっかやろ。おまえが出なくてどうすんの?盛りあがらねーじゃん!」
「…知るかよ。…俺、今年は出ない、って決めたから。悪いな。」
「…おい!!…パーティーでおまえにソロダンスさせるつもりだったんだぞ?」
「はぁ?…そんなの聞いてねーし。」
───なんかヤバい雰囲気。
徐々に喧嘩口調になる2人をリヨンさんとスヒさんも息をのんで見ている。
「おまえなぁ!!…いい加減にしろよ!俺だって好きで実行委員やってるわけじゃねーんだからな!少し協力しろよっ!!」
「…!!うるせ…───
「ド、ドンへさん!!!行きます!」
思いっきり体を乗り出して、険悪な空気を断ち切るように。
「…あ?」
全員の視線が僕に集中する。
「あの……僕は、参加したいです。」
ゆっくり、目の前のリヨンさんに視線を向けて。
「……それで…リヨンさん。…僕のパートナーになっていただけませんか?」
静まり返ったテーブル席。
隣のユノからは怒りのオーラがバンバンに伝わってきて…怖くて見れない。
「え…?チャンミンくん?…私?」
思ってもみなかったのか、目をまん丸にして驚いてるリヨンさん。
「付き合ってる人…いない、って言ってましたよね。あの…深く考えずにお願いできませんか?」
告白してるようで、恥ずかしくて…俯いて、目線だけ上を向いてリヨンさんを縋るように見つめる。
──────「あっ…そ。」
バンッと乱暴に箸を置いたユノが、はぁ…、と息を吐いた後、バイトしてる時のような営業用の憎たらしいくらい格好いい笑顔を作って。
「…えー、っと、…リヨン?…俺と、パートナーになって?」
目を細めて、甘い視線を送る。
「…はぁ?ユノ。…何ですか?僕が今、申し込んでるんですよ!」
「別に早い者勝ちじゃねーだろ?
選ぶのは………リヨンだ。」
────狡い、ユノ!
呆然とする僕をよそにそのまま席を立ち背中を向けて出て行ってしまった。