その日は気まずいまま、店の前で別れた。
「リヨンさん。…ごめん。返事はいつでもいいから。」
申しわけなさそうに呟く僕に、…何ともいえない複雑な笑顔をつくったリヨンさんが、じゃあ…と手を振ってスヒさんと一緒に校舎の方へ歩いていく。
残ったドンへさんはポリポリと頭を掻きながら、…「…チャンミン。悪かったな…。」って、呟いた。
「…ううん。ユノがあんな我が儘言うとは思わなかった。…ドンへさん、困ってんのに。」
「まあ、あいつがあそこまで拒否ることなんて、あんま、ないからさ。…よっぽど、チャンミンがいいんだなぁ、って…。」
「…な、なに…言ってんですか//////?」
焦る僕に優しい顔で
「ん…。ほんと、ごめんな。」って、ポンッと僕の頭に手をおいた。
「……でもさ、ユノがいないとマジでパーティー困るから。…頼むな。」って付け加えて。
その日、ユノが僕の前に現れることはなかった。
電話もメールもなくて。
─────かなり怒ってるな……。
ユノがリヨンさんを誘った時…心臓が止まるかと思った。
いつか…遠くない未来を見ているようで…足許から音もなく崩れていくような喪失感。
ユノも、…同じように思った?
───この人が好きなんです。…と言えない想いが胸に重くのしかかって、理性と欲望の狭間で空回りをしてしまう。
ただひとつ…分かっていること。
今、─────ユノに逢いたい。
「……チャンミンくん。」
どれだけ待っても何の連絡もないまま、眠れない夜を過ごし……それでも僕は何くわぬ顔をして講義を受けていた。
最後の講義がおわり、席を立った所で…
「リヨンさん……。」
「あのね。今日、この後…予定ある?」
「……別に、ないです。」
「たまには2人で私のバイト先でお茶するのはどう?…ご馳走するよ?」
……なんだか気がのらないけど、せっかく誘ってくれたのを、断るのも気が引けるし。
「……!わぁ…!リヨンさんとドンへさんのバイト先って、…ドーナツ屋さんなんだ。」
「うん。…好きなの選んでいいよ。」
わざわざドーナツ屋にくることはあんまりないけど…ドーナツは結構好きだ。
「あ、僕…この砂糖がかかったのと…チョコレートのがいいです。」
……ユノがストロベリーチョコのリングドーナツ好きだったな、ってふと思う。
テイクアウトで買っていこうか、と考えるけど…きっと今日も来ないユノを思い、言葉を飲みこんだ。
トレー片手に席について、熱いカフェオレをフーフーしながら幸せそうに飲むリヨンさん。
「ねぇ、チャンミンくん。…私がユノさんに初めて会った日のこと…何か、聞いてる?」
少し頬を染めてポツリポツリ話し出したリヨンさんが、…とても可愛くみえた。
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Off-Road。。。好きだなぁ♡