逢いたくて逢いたくて(79)~リヨン篇~ | えりんぎのブログ




その日は気まずいまま、店の前で別れた。


「リヨンさん。…ごめん。返事はいつでもいいから。」

申しわけなさそうに呟く僕に、…何ともいえない複雑な笑顔をつくったリヨンさんが、じゃあ…と手を振ってスヒさんと一緒に校舎の方へ歩いていく。


残ったドンへさんはポリポリと頭を掻きながら、…「…チャンミン。悪かったな…。」って、呟いた。


「…ううん。ユノがあんな我が儘言うとは思わなかった。…ドンへさん、困ってんのに。」


「まあ、あいつがあそこまで拒否ることなんて、あんま、ないからさ。…よっぽど、チャンミンがいいんだなぁ、って…。」


「…な、なに…言ってんですか//////?」


焦る僕に優しい顔で
「ん…。ほんと、ごめんな。」って、ポンッと僕の頭に手をおいた。


「……でもさ、ユノがいないとマジでパーティー困るから。…頼むな。」って付け加えて。




その日、ユノが僕の前に現れることはなかった。


電話もメールもなくて。


─────かなり怒ってるな……。


ユノがリヨンさんを誘った時…心臓が止まるかと思った。


いつか…遠くない未来を見ているようで…足許から音もなく崩れていくような喪失感。


ユノも、…同じように思った?


───この人が好きなんです。…と言えない想いが胸に重くのしかかって、理性と欲望の狭間で空回りをしてしまう。


ただひとつ…分かっていること。

今、─────ユノに逢いたい。







「……チャンミンくん。」


どれだけ待っても何の連絡もないまま、眠れない夜を過ごし……それでも僕は何くわぬ顔をして講義を受けていた。


最後の講義がおわり、席を立った所で…


「リヨンさん……。」


「あのね。今日、この後…予定ある?」


「……別に、ないです。」


「たまには2人で私のバイト先でお茶するのはどう?…ご馳走するよ?」


……なんだか気がのらないけど、せっかく誘ってくれたのを、断るのも気が引けるし。



「……!わぁ…!リヨンさんとドンへさんのバイト先って、…ドーナツ屋さんなんだ。」


「うん。…好きなの選んでいいよ。」


わざわざドーナツ屋にくることはあんまりないけど…ドーナツは結構好きだ。


「あ、僕…この砂糖がかかったのと…チョコレートのがいいです。」


……ユノがストロベリーチョコのリングドーナツ好きだったな、ってふと思う。


テイクアウトで買っていこうか、と考えるけど…きっと今日も来ないユノを思い、言葉を飲みこんだ。


トレー片手に席について、熱いカフェオレをフーフーしながら幸せそうに飲むリヨンさん。


「ねぇ、チャンミンくん。…私がユノさんに初めて会った日のこと…何か、聞いてる?」


少し頬を染めてポツリポツリ話し出したリヨンさんが、…とても可愛くみえた。





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Off-Road。。。好きだなぁ♡