~ユノside~
「……チャンミナ、…チャンミナ?」
────いくら呼んでもピクリとも動かない、その華奢な肩を。
人差し指と中指でスーッとなぞって、その跡に唇を這わせたり。
少しベトついた肌。
昨夜はドロドロに蕩けたまま寝てしまったから。
───ずっとチャンミナ不足で、…いいところを、いつもカイ兄にさらわれて、……おまえも、そうだった?……チャンミナ?
だって、欲しかった───とか。
ユノの、味でしょ───とか。
───どの口がそれ言った?/////
思いだすだけでにやける口許を隠すこともしないで、背中からギュウッと抱きしめて、甘い甘いチャンミナの匂いに酔いしれた。
くるんと上を向いた長い睫毛がふるふると揺れて、その目蓋にそっと唇をおとしたら。
「……ん、…?……ユ、ノ…?」
眩しそうに目を細めて、起きた、…っつか起こしちゃったけど、…せっかくだから、って朝一番のキス───。
昨夜の熱がまだくすぶっていて、ついつい深くなるのを、そっと片手で遮られた。
「…もう、…唇が荒れそ。」
素っ気なく言ってもさ、…トロトロの瞳も、綻んだ口許も、…ただただ甘いだけ。
「…なぁ、バイト、…夕方からだろ?…もう一回、いい?」
その無謀なお願いはあえなく、──ふざけるな!///の一言で却下されたけどな。
「…ユノ?…今日はバイトの後、自分ちに帰ってくださいよ!」
「カイさんにも、ほどほどに、…って言われたんですからね。」
「…ってか、光熱費が動かないくらい自分ちに帰ってない、ってどうなんです?…自重してくださいよ、…まったく。」
あれ?───どんどん冷静になっていくチャンミナ。
挙げ句の果てには、サッサとひとりでシャワーに行っちゃって。
チェッ、…って、頬杖ついて面白くなさそうにソファーで俯せに寝転ぶ俺の横で、何気に腰を庇いながらもテキパキとシーツを替えながら。
「…僕、…そういえば怒ってるんです!」
って。
何のことかと思えば、今更、ステージの途中で無理やり引っ張ってきたことや、パーティーでの音声入れっぱなしの失敗のこと。
「…んなのさぁ、…もうみんな覚えてねぇよ。」
軽く言うけど、…ジトッと睨まれて。
「…だって、しょうがねぇだろ?あの時は一分一秒でもカイ兄の隣にいさせたくなかったし。」
「自信はあったけど、ちゃんと目に見える模試の結果を突きつけて、絶対取り返す、…って決めてた。」
ふと気づいたら、…寝転ぶ俺の脇に突っ立ったチャンミナ。
ふわっと、…俺の背中にかぶさって。
「…僕は、会えない時間に、…あなたの存在の大きさを知りました。」
──それだけ言って、ぶわっと、…真っ赤になった。
俺は、というと…さっきまでブチブチと文句ばっか言ってたコイツの突然の告白に、…驚きと、恥ずかしさで、…やっぱ顔から火が出る勢いで赤くなっちゃったんだけど。
お互い性格がまるで違うから、表現の仕方もまるで違って。
───それでもコイツなりの愛情の示し方が、最近少しずつ分かってきた。
「……チャンミナ。…来いよ?」
クルッと身体を仰向けにして、腕を広げた。
戸惑いながらもおずおずと俺の肩に手をかけて。
その後頭部を引き寄せて唇を重ねれば、ただ愛おしい想いだけが溢れ出る。
────チャンミナ。…もっと、…もっと、側にいて?
思わず漏れた俺の本心。
───ちゃんと、伝わった?
そのまま何やらゴソゴソとクリアファイルから出してきて。
「……この間のレポート。」
見れば、真っ赤なペンで特Aの文字。
「すげぇじゃん。…頑張ったな。」
嬉しそうに、ふにゃ、っと笑って。
「…ん。カイさんに、…僕も証明しましたよ、って見せなきゃ。」
ポツリと呟いた。
「…は?…なに?…カイ兄とか。」
何のこと言ってんのか分かんないけど、…とりあえずこの場面でカイ兄のなまえ出すのはNGだろ?
「えっ?///だから、…あの、本気の恋が…、って、…ぅわ//////」
悪いけど、最後まで聞く耳持てなくて、…強引に引っ張って押し倒した。
───信じてるけど、…俺のこの嫉妬心は、もはや…病気だな?
ごめん───残念な俺で。
それでも、俺を見上げるおまえの瞳が甘く染まるから……もう少し、このままで…、あと少しだけ、このままでいて?
*******************
いつもあたたかいコメント、ありがとうございます(^-^)
カイさん篇・・・終了です!
将来とか、ちょっと重いテーマになってしまったかな?^^;
逢いたくて~、の2人はこれからも続きます♡♡
このユノが好きだから(//∇//)
.<)
・・・ということで、次からは・・そんなお話です。←わんこさんに叱られちゃうかな?^^;