~ユノside~
────街も眠るような深夜。
タクシーをつかまえようと大通りまで肩をならべて歩いた。
「ヒョン?・・誰に聞いたんですか?」
くりっとした瞳が俺を覗きこんで、・・
別に隠してるわけじゃないし。
「・・・リナ。」
「急に食事のキャンセルなんてチャンミナらしくないなってさ、夕方支店に電話したんだ。」
俺がかける内線電話に、出る確率90%はありそうなリナ。
今日もやっぱりリナが出て、悪いけどしつこく聞いた。
今、店中で小さなスティックを探してバタバタしてる事。
どうやら捨てられた可能性が高いこと。
おしゃべりな女子行員の話だと、直前に必死で捨てられた紙袋を探すジュンギがいて、・・中身のくるまれたティッシュはスティックの形をしていたとも言える、とか。
そう思ったんなら確認しろよ?とも思うけど、何を言っても後の祭りだし。
「・・そっか。リナね。そういえば帰りがけに、大丈夫ですよ!!っていやに自信ありげに慰めてったんですよね。」
「ふふ、・・あの子って面白いよな?俺たちの事、知ってんの?って思うときあるし。」
ふっとチャンミナを見れば、ジトーッ、と疑うような目つき。
「何も言ってねーよ。」
生真面目なくらい慎重なコイツがおかしくて、スッと肩を抱き寄せたら。
ペシッとはたかれる。
「ここ、うちの支店の区域内ですよ?誰かに見られたらどうするんですか!!」
───こんな夜中に誰が見るんだよ?
それにしてもさ、・・・
「記念日、・・終わっちゃったな?」
「記念日って、・・もともとヒョンが勝手に決めたやつでしょ?///」
「じゃ、ぁさ。・・手、繋ぐぞ?」
「は?・・・意味わかんな、・・」
グッと手を握れば、ピクリ肩が跳ねたけど、振りほどいたりしないし、・・・。
調子にのって指を交互に絡ませたり。
満月でよかった、・・・隣で恥ずかしげに、でも嬉しそうに頬が綻ぶ愛おしい顔がよく見える。
腰のあたりがもやもやするけど、・・はぁ、・・明日のことがあるから、今日は絶対無理だよな?
無意識にジーッと見つめてた?
「・・帰ったら、速攻でシャワー浴びて、速攻で寝ますよ!」
・・・俺の目つき、そんなにエロかった?
「もちろんシャワーは別。」
え~?って不満げにぼやく俺から指を絡ませた手をほどこうとするから、さらにギュッと握ってやって。
「・・寝るのも別です。」
まだ言うか、・・ったく、俺より理性の強いヤツは楽でいいよな?
なんて嫌みのひとつも言ってやりたいくらいだけど、・・俺も明日の試験は失敗出来ないし。
自分のせいで、・・って落ちこむコイツを見るくらいなら、欲望を無理やり抑えこんだ方がいくらかマシだ。
「ヒョン、・・こっちの方が大通りまで近道なんですよ?」
なぜか顔を背けて早口で言ったと思ったらグイッと腕を引かれて狭い路地裏に入っていった。
へぇ、こんな通路があったなんて、・・昼間でも暗そうなこの道は今後使用禁止だな、って考えてたところで。
急に立ち止まったチャンミナ。
くるっと振り返ったと思ったら突然回した腕が痛いくらいで。
「うぇ?////」
急に胸の内、おさまった温もりに素っ頓狂な声が出ちゃって、
俺の後頭部の髪をくしゃっと掻き抱いて、
押しつけられるように、・・唇が重なった。
唇が、・・名残惜しそうに糸をひいて。
「ヒョン、・・・僕も、・・我慢、です。」
なんて、────。
かわいすぎて、
愛おしすぎて、──────
出会った頃、欲しくてたまらなかったコイツが、・・今、こうして俺のことも求めてくれる現実に。
頭ん中クラクラしちゃってる事も全然分かってないであろう満足げに揺れるバンビアイを。
どうしたらもっと夢中にさせられるのか、と。
そんなふうに2人歩く夜道は、この先ずっと続いてるようで、
なんだか胸が温かくなって、
──────おまえも?
トロンと蕩けた瞳が俺を誘う。
角度を変えて挟みこむような口づけに、・・
ふわっと笑ったおまえが今度はもっと深く攻めてきて。
チロッとだした舌が、・・・どうしようもなくいやらしい。
たまらず吸いついたら、俺の後頭部に回された腕にさらに力が入って、俺もこれ以上は無理ってほど腰を擦り付ける。
────どうしよう、・・チャンミナ?
止まらない、─────
お互いの昂ぶりが嫌ってほど主張していて、・・・
こんなに求めるのはおまえだけ。
そして求められるのも、・・・。
なぁ、チャンミナ?
明日すべてが終わったら、出来なかった記念日のお祝いをしよう。
おまえが喜ぶような格別美味いもの買っていくから、───その日だけはベッドの上で食べさせて?
だって、・・きっと離せない。
そんな俺を上目遣いで睨みながら、しょうがないな、って顔して、それでもふわっていつものように笑って?
そして俺はまたおまえを、ずっと手離さない、って誓うよ。
ずっとずっと、──────愛してる。
baby one more thing 君に 出会えたとき
生まれてきた意味さえわかるよ きっと
fin.
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完結しました♪
コメントくださったり。
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いつもありがとうございます(*^^*)
大きな事件も泣けちゃうような感動もない日常のお話ですが、ちょっとした会話の中の萌えだったり、お互いがもう切り離せない片割れになっているであろう2人を妄想するのが楽しいんです。
そんな緩いお話でしたが、読んでくださってありがとうございました♡♡
二度と書くことはないかな、と思っていたone more~の2人をリクエストしてくれたmomokoさん♪ありがとう♪♪
書いて良かった(^^)
さて。
前ブログ時代からいつもいつも《one more thing》が好きだ、好きだ、と言ってくれるわんこさん。
彼女の大好き!!は本当にお話を書く為の励みや力になりました。
そんな彼女がone more thing~second~を完結してからずっと。
これから出掛けます、って所で終わっていた周年祭をね、書いて欲しいなぁ。って言うんです。
どうして書かなかったかというと、──書く自信がなかった。←これに尽きます^^;ゴメン
知り合ってそろそろ1年の彼女へ。
今でも変わらず私の作品を好きだと言ってくれて、嬉しくて嬉しくてニタニタしちゃいます。
上手く書けたか不安ですが。
感謝の気持ちをこめて。
明日からまた2年前に遡って、周年パーティーの2人です( ´艸`)
では、えりんぎでした☆☆☆