Strawberry Candle(11) | えりんぎのブログ


**StrawberryCandle(1)~(10)の続きです。
番外編コチラを先にご覧ください。**










~チャンミンside~














心臓がバクバクと口から飛び出そうなくらい。



それよりもズキズキ痛い胸の方が重傷なのか?



って、何なの?



ユノが女性とキスをしていた、───。


別に驚くことじゃない。
あれだけ毎日夜遊びして、香水の匂いプンプンさせて帰ってきてるんだ。
きっとそれ以上のことだって。




ふっ、とユノの。
キュッと結んだ唇、───ぷっくりした下唇が妙に色っぽいのを思いだして。



わぁっ/////!



ぶんぶん頭を振って追いだした。




「寝よう!」


そう、寝てしまおう!
そのままベッドにダイブして布団に潜ったところで。





────コンコン。



「・・チャンミン?」




─────な、なんで来るんだよ?///



到底顔を合わせる気にはなれなくて。


・・・知らんぷり、知らんぷり、





────ドン、ドン、ドン!!!


「チャンミナッ!開けろ!」




苛々とドアを叩きつけるようなノック。



こんな夜中に何考えてるんだよ?って僕こそ苛々してきて、


───バンッ、と乱暴に開けたドア。



途端、酒と香水のすごい匂いに噎せそうになる。



「────チャンミン、バイト。」



「うぅ、ユノッ!・・酒臭い、それに香水も!」



片手で口と鼻を覆って、そのままドアを閉めようとしたら器用な足にそれを阻まれ、イラッと眉をひそめた僕にニヤッと不敵な笑い。



「部屋でシャワー浴びるから、俺の部屋で待ってろ?」



そう言って、僕の返事なんて聞きもしないでさっさと行ってしまった。







ガシガシと頭を拭きながらあらわれたユノが、緩めのスウェットを履いただけで背中を伝う水滴はそのままにドサッとソファーに座る。




「ユ、ユノ!ちゃ、ちゃんと///、上着着てください!」



ぅわ///盛大にどもってしまった。
なんて焦ってる僕を横目に、

「あちぃよ。・・男同士で何言ってんの?」


頭から被ったバスタオルの隙間、濡れた前髪から覗く瞳を細めてにやっと笑う。



無駄に色気たっぷりの目線にクラクラして。




「ふっ、なに赤くなってんの?」


ご機嫌顔で言われて更に顔から火が出そうだ。
そりゃユノはたった今まで女の子とよろしくやっててご機嫌かもしれないけど。



─────僕は、・・



僕は、・・なに?



居候先の息子のキスシーンを見てしまった、と、それだけの事にこんなに動揺する自分が信じられなくて。
無理やり自分の感情に蓋をした。


───これはきっと開けてはいけないものだから。







ふとテーブルに目線を向けたら、缶コーヒーの空き缶に無造作に挿された花。



「これ、・・ホタルブクロ?」



スッとその提灯のような花弁に手を伸ばした僕をチラッと見て。


「ああ、・・前、話に出たやつだろ?空き地で見つけた。」


「・・・こんな街中で。めずらしいですね。」



そう言いながら僕の顔は嬉しくてかなり緩んでいたと思う。
このホタルブクロは僕にとって思い出深い花だったから。








────「6歳のとき、父とキャンプをしたんです。」



普段は物静かなのに、興味のあることには子どものように目を輝かせる人だった。



ヤマホタルブクロの花の中に蛍を入れて遊ばないか?



それだけが目的のキャンプ。
提灯のような形の花の中に蛍を入れるとそれはそれは幽玄な雰囲気なのだとか。



「この花はね、トッカンバナとも言うんだよ。」



そのひとつを摘んで花筒を窄める。
ふぅ、と吹きこんだ息に
───トッカーン、と破裂音が響いた。





「それでね、・・僕、泣いちゃったんです。・・お花が可哀相だ、って。」



「困ったように笑いながら頭を撫でてくれた父の顔を今でも覚えてる。」




ソファの肘掛けに凭れながら、何か言うわけではないけれど、優しげな微笑みを僕に向けるユノ。



「その夜、初めて無数の蛍で埋め尽くされた野原を見たんです。
感動して大泣きしちゃって。
あ、なんか、泣いた記憶しか出てこないです。」



──ぷっ、と目を細めたユノが。



「・・で、あの花ん中に蛍をいれたの?」って、空き缶からこぼれるように頭を垂れたホタルブクロを指差す。



「───それが、・・蛍を閉じこめるのが可哀相って、また大泣きしちゃって。」



「ふっ、ヘタレの息子で親父さんも気の毒だなぁ。」



なんて憎まれ口も今日は本当に柔らかい。
何が原因だとしても、今日の上機嫌なユノがただ嬉しかった。





ねぇ、ユノ、─────。



父さんが亡くなって独りぼっちになってしまった、と。
亡くなってすぐは悲しくてしょうがなかったけど。



こうして毎日のようにユノを相手に父さんと僕の冒険の話をするようになって、・・結局最後は寝てしまうユノだけど、・・興味ないって言ってた割には真剣に聞いてくれたり。




─────父さんは僕の中に生きてるんだ、って。


独りぼっちじゃないよ、って。




ユノが教えてくれた気がしたんだ、─────。








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お久しぶりです(^_^)ゞ


実は願掛けしてました。

《京セラオーラス当選したら翌日から更新!全て落選したら(3口申し込んでます^^;)、しばらく凹む!》


ということで!
無事、何とか京セラに行けることになりました\(^o^)/ヤッホ~~♪



AIwoMottoの頃から放置してましたStrawberryCandleを更新していきたいと思います。
よろしくお願いします♪