・・・ですが、勝負の卓に着くにはまだ暫くかかりそうですね。
現在、タクシーで移動中のマミヤは胸騒ぎを覚えていました。
結構一人相撲
現在、急遽治が代打ちを務めていますが・・・マミヤは普段の打ち筋から重大な欠点を見出していました。
それは、場の変化や相手の狙いに対して鈍感なこと。
一度決めつけると途端に視野が狭まる傾向にあり、勝負師としては柔軟性に欠けるのです。
その悪癖が露れたなら苦戦は必至。
マミヤの預かり知らぬうちに、おおよその大勢が決せられる可能性もあります。
憂慮は増す一方。
とはいえ、今は治に持ちこたえてもらう他にありませんね。
勝負は早くも正念場を迎えています。
※=闇→闇返し
フリテンの待ちにするかな。
鬼頭の捨て牌にはがありますから、は両スジ。まず安全と思われます。
は乃木の捨て牌と合わせて種切れですが、ではなくを持ってくれば三色がつく。
ツモタンヤオ三色ドラ1で満貫、鬼頭を逆転します。
あるいは、現物の切りで
このシャボ待ちにするのもアリですが、この場合は三色消滅。
2枚待ちはサシコミOKとしても厳しい気がする。
一応、か引きで安全にシャボを入れ替えできますが、巡目を考えると確率は低い。
和了れたとしてもサシコミならタンヤオドラ1止まりですから、打点を考慮すると前者かな。
ただ・・・ともかく序盤ですし、マミヤという切り札が控えている訳ですから、大物手を狙って博打を仕掛ける必要は無いと思う。
鬼頭のリーチを潰したいのは山々ですが、振り込んでしまっては元も子もない。
現在の確定三色に固執した切りはちょっと怖すぎますね。
しかし・・・
治には、この勝負手があり得たかもしれないもう一つの人生を想起させるのでした。
何としても真っすぐに成就させたい。
治の肚は決まったようです。
切りで闇を宣言すると・・・
治はこのテンパイで確定。
しかし・・・当然と言うべきか、鬼頭もノータイムで闇返しを敢行しました。
一度はこの手と心中することを決心した治でしたが、ここで完闇使用となれば、プラス4000点の供託が必要。
この局だけで7000点の供託となり、持ち点は1万点を割る8400点となってしまいます。
サシコミ体制も無い状況ですから、それは明らかな過剰投資。
しかしを開けることだけは出来ません。
治は博打の熱によって、完全に我を失っていますね・・・。
※近代麻雀2019年10月号 (2019/09/01発行号)より。
場は東1局1本場
鬼頭の部下、乃木の連荘です。
取り敢えずマミヤとの連絡が取れた以上、治がすべきことは時間稼ぎ。
マミヤが到着した頃には既に手遅れという事態だけは避けねばなりませんね。
駅からの距離的に、あと2,3局凌げばお役御免。
欲を言えば点棒を挽回したいですが、気が逸ってさらに失点しては元も子もありません。
実際はマミヤがまだタクシーに乗車できていませんから、下手をすると南場突入までズレ込む可能性もあります。
治には、アカギでの浦部戦をなぞるような一定の奮闘が求められますね。
治の配牌はこちら。
ドラ
まずまず、悪くないですね。1メンツにアタマもあります。
端牌を整理しているうちに早い巡目で纏まる可能性も見える。
サシ馬の鬼頭とは9600差ですがまだ東1局、焦らずメンタンピンを目指したいな。
基本的には守備重視のスタンスで挑んでいる治ですが、ツモ運は好調。
6巡目にしてタンピン三色ドラ1のイーシャンテンと成りました。
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何という鬼引き・・・!
三色は高望みかと思いましたが、早くもここまで持ってきたか。
しかもこの手、テンパイへの受けは
の大量12種。
三色を確定できれば、リーチを掛けて逆転まで見えてきます。
仮にそこまでは膨らまずとも、一つ和了って流れを引き戻したいですね。
しかし・・・やはり運とは揺蕩うもの。
受けの広さに反して治の手は停滞し、場は10巡目。
優勢なだけにもどかしい。
しかしその焦燥を刈るかの如く、博打の流れは治に最も恐れていた事態を突き付けます・・・
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リーチ宣言牌の筋・・・基本的には安牌ですが、からの切りなど、筋ひっかけの気配も匂います。
前局も七対子の単騎に振り込んでいますし、相手は出和了重視の打ち回しかもしれないな。
気味の悪さは漂いますが、ここで安牌のを切って降りるようでは話にならない。
しかし、絶対に振り込めない。
治の出した結論は・・・
マミヤはその100万倍急いでいることを告げると・・・
・近代麻雀 2019/9月号(2019/08/01発売号)より。
・麻雀牌画・・・「雀のお宿」より。