なぜパリコレをはじめとする世界のファッション・ウィークは一週間遅くなったのか


行きすぎた早期化とプレコレクションの拡大、細分化に対応

東京のブランドも変化が必要



 なぜパリコレクションは一週間遅くなったのか。2016年春夏パリコレクションは9月29日から10月7日まで開催される。2015年春夏は9月23日から10月1日に開催されていたので、2015/2016年秋冬に続き、2回連続で昨年に比べて一週間遅い開催となる。この結果、今回もパリコレクションが終わった翌週に東京のファッションウィークが行われることになる。パリコレクション期間中にショーや展示会を行う日本人デザイナーや、パリコレクションに行く日本のプレス、バイヤーにとっても慌ただしいスケジュールになるが、遅くなった背景には何があるのだろうか。


 ニューヨークからロンドン、ミラノ、パリまで世界のファッションウィークの開催が一週間遅くなった理由は、コレクションのスケジュールが早期化しすぎたことやコレクションブランドでプレコレクションが定着し、ビジネスに占める比率が高くなったからだと言われている。

 2000年春夏に10月2日から10日に開催されていた春夏コレクションは、少しずつ会期を早め、昨年は9月23日から行われたが、今年は9月29日開催と数シーズン前の9月最終週からのスタートに戻った。そこにはプレコレクションと世界各国で発表するメーンコレクションまでの間隔をできるだけ空けたいという狙いがあるようだ。


 WGSNのシニアコンサルタントでありロンドンコレクションも取材するヴァネッサ・ベッローさんは世界のファッションウィークが一週間遅くなったことについて「戦略的に行われたものです。もともと早くなりすぎていた上に、プレコレクションが定着したことで、コレクションが細分化されたため、シーズン性を出すためにもプレコレクションとメーンコレクションを切り離す必要がありました」と説明する。


 また、パリコレクションを運営するサンディカ(フランスオートクチュール・プレタポルテ連合協会)の会長が変わり、新体制として新しい取り組みを行おうとしていた時期とタイミングが一致したことも要因になった、という見方もある。


 いずれにしても、戦略的に行われたものであれば、当面はこのスケジュールが続く可能性は高い。そうなれば、東京の会期が変わらない限り、パリコレクションの翌週に東京のファッションウィークが行われるというスケジュールが定着することになりそうだ。


 ベッローさんは「ロンドンコレクションについては、世界のファッションウィークが一週間遅くなった影響はありません。逆に、細分化が進み、ブランドの個性やシーズン性をより打ち出すことが求められる中で、大きなブランドだけでなく、小さなブランドが注目され、スポットライトが当たることも増えています」と話す。


 短期集中し、会場もまとまった東京のファッションウィークも今年9月で10年。東京都と繊維ファッション産業協議会、日本ファッション・ウィーク推進機構が共催による東京ファッションアワードもスタート。パリメンズコレクションとレディースのプレコレクション時期にパリで合同展示会を開催し、日本でも凱旋イベントを行うなど、当初の東京に来てもらうという取り組みと海外に見せに行く取り組みの両方を並行するように変わってきている。


すでに世界的トップブランドになっているサカイは言うまでも無く、リトゥンアフターワーズがパリのコレットのショーウィンドウを飾り、ファセッタズムもジョルジオ・アルマーニの若手支援プロジェクトでコレクションを行うなど東京ブランドは注目されいてる。


この流れに乗り、海外の合同展示会でアピールし、ビジネスにつなげるためにも、メルセデス・ベンツ ファッション・ウィーク 東京をはじめとする東京のコレクションや展示会に来場する海外のプレスやバイヤーを増やすためにも、東京のブランドにはデザインやショー演出、サイズ対応だけでなく、プレコレクションが拡大し、シーズンの細分化が進む世界の状況を踏まえた提案とスケジュールに対応できる能力や体制もこれまで以上に必要になっているといえそうだ。






























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