NHKBS1で、「アジア立志伝」という番組を観ました。
韓国の部品メーカーの30代の社長の話で、非常に興味深かったです。
自殺率世界一、超格差社会の韓国において、その価値観を真正面から否定し、
「みんなで幸せになろう」、
「失敗を恐れず挑戦しよう」、
「競争ではなく、協走しよう」という新たな経営理念を徹底します。
2千人の従業員をすべて「正社員」にしたうえで、社長を筆頭に過剰な上下関係を廃止。
誰であろうと自由にアイデアを言える社内風土を作り上げます。
やがて新たな技術開発に成功して売上げが5倍となり、ドイツのフォルクスワーゲンから世界で唯一Aランク(優良)のホイールメーカーとして認定される優良企業になるわけですが、私はちょっと複雑な気持ちになりました。
それは、かつての日本企業の理念だからです。
「社員は家族であり、宝である」
この日本型経営は、安定した雇用(終身雇用)と所得(中間層)を生み出しました。
企業が儲かれば、社員も儲かるという、まさに「トリクルダウン」の時代でした。
しかしながら、現在の日本社会は、状況が一変しました。
社員の非正規比率が高まり(4割超)、雇用や所得は不安定になり、
企業は、その利益を内部留保や株主配当に回し、社員に還元しない・・・
「社員は他人であり、使い捨てである」
経営効率、利益最優先というグローバル化した日本企業。
それを強硬に後押ししているのがアベ政権です。
派遣労働緩和、残業代ゼロ、外国移民などで、労働者の待遇を下げる一方、
消費税(輸出払い戻し税)や法人税で企業を優遇します。
トリクルダウン(企業が儲かれば社員が儲かる)なんて、もはや日本では期待できないのに・・・。
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韓国という超格差社会の”反面教師”があるにもかかわらず、
「この道しかない」と、同じ轍を踏む気まんまんの日本のアベ自民党政権。
かたや、韓国社会の問題点をきっちり学び、
古き良き日本型経営で成功を収めている韓国の若手経営者。
愚かな人、優秀な人というのは、政治、経済界問わず、
また、国籍も年齢も肩書きも関係ないと改めて思いました。