人を傷つけずにはいられない人たち
〜モラル・ハラスメント/肥大した自己愛〜
最近は、2冊の本を繰り返し読んでいました。
今日は、本に書かれてある内容を踏まえながら、感じたことや、モラハラ(攻撃)されている方へのメッセージなどをお伝えできればと思います。
まず1冊目は、ずっとモラハラの研究に携わってきた、フランスの精神科医が記した示唆的な著書『モラル・ハラスメント』
心理学にあまり触れていない人にとっては、少し難しいかもしれません。
それでいて、ずっとベストセラーで、ロングセラーとは、それだけ、モラハラというものが浸透している証拠ですね。
そして、2冊目は、Joeさん著書『攻撃がなくなる本』
こちらの本は、とても読みやすく実践的な本です。
攻撃されてしまう人が、攻撃されないためにはどのようなステップを踏んでいけばよいか、その方法についてわかりやすく記してあります。
どちらの本にも共通して言えることは、モラハラ(攻撃)する側の人間は、巧妙に相手を洗脳し、自分が優位に立つことで、相手をコントロールしようとしているということ。
また、モラハラ(攻撃)される側も、「弱い」あるいは、「有害」とみなされて攻撃されているにも拘らず、
自分の存在意義を相手のモラハラ(攻撃)の中に見出してしまっている、ということ。
つまり、怖ろしい『共依存』的な関係ですね。
関わり方が下手な”攻撃される側の人”と、
攻撃性をもともと持っていた”攻撃する側”のマッチングにより、モラハラは起きるのです。
モラハラする人が、どんな相手でもモラハラするわけではない、というのは、このような理由からですね。
もともと攻撃性のある人が、
「この人は攻撃してもいい人」
「この人は攻撃することで支配できる」(攻撃することで支配できた経験がすでにある)
と認識した場合に、モラハラ(攻撃)は起こります。
モラハラをする人たちは、自分の満足のために相手を傷つけたり、否定したり、そして、まったく共感能力がないので、罪悪感をもつことはありません。
(相手を傷つけている自覚がまったくないので、当然です。)
そういう人たちにとって他者とは、”自分の満足のために存在する”という位置づけなのです。
相手を傷つけ、抑圧することが、自分にとっての満足となっているので、以下のようなことが起こります。
相手を貶めることで自分の価値を高めようとしたり、
(自分の価値を上げるために、相手の価値を下げる)
精神的な攻撃を平気でしたり、
言葉による暴力を浴びせたり。
こういった非暴力な暴力は、パートナーシップのような密な関係に出やすいわけですが、その理由としては、
人を傷つけるような人たちは、自分が快適な社会生活を送るためにどのように生きていけば良いか、ということをよく知っていて、日常では『良い人』を演じているからです。
つまり、外面がとてもいいのです。
モラハラの加害者が、よく言われるパターンはこれです。
「あの人がそんなことをする(言う)人には見えません。」と。
まず最初は、自分を賞賛(自慢)して魅力的にアピールし、自分の中に取り込みながら、少しずつ相手を支配していきます。
ターゲット(被害者)にされるのは、共感能力が高く相手の気持ちを察しすぎてしまうような繊細な人や、私が悪かったんだわ、と自責の念が強いような人であったりします。
特に、HSP(ハイリーセンシティブパーソン)の人は、モラハラする人との相性は最悪です。
つまり、攻撃性のある人に対しての、防衛本能が少し弱い人たちです。
加害者は、相手に反撃させないために、一方的に支配しようとするため、罪悪感を植え付けようとしたり、言葉の攻撃を繰り返し、相手の思考を停止させたりします。
例えば、モラハラ(攻撃する人たち)の口癖はこうです。
そんなこともわからないの?
オレ(私)を怒らせるお前が悪い!
オマエ(あなた)のために言ってやっている!
これらは、お決まりの言葉です。
このような言葉が出ると言うことは、
「自分はまったく悪くない!」
「自分こそが被害者だ!」
と思っているわけですよね。
「お前は〇〇だ!」(〇〇は相手を否定する言葉)
(例:お前は頭が悪い!など)
と、繰り返し罵ることで、
「私は〇〇なんだ…。」と、
被害者の自己価値をどんどん下げさせ、洗脳し、自分の支配下に置くのが加害者の目的なのです。
とても戦略的で、怖ろしいほど狡猾です。
本には、『精神的な吸血鬼』と揶揄されているくらいです。
「彼(彼女)のために何かしてあげたい」
「もっと愛されたい!」
「私が変われば、もっと愛される!」
そのような、被害者の純粋な愛を利用するのです。
被害者が、もし、依存的な性格であり、自分に自信があまりないような人なら、間違いなく共依存の関係になってしまいます。
そうなれば、抜け出すことがとても難しくなります。
言葉で攻撃され、傷つけられても、それでもどこかで、そんな相手さえも、自分の心の”拠り所”になってしまうような、そんな歪んだ関係が『共依存』です。
こうなってしまうと、被害者は、自分が被害者だとも思わなくなってしまうのですよ。
攻撃されるのは、私が至らないから。
攻撃されるのは、私が間違っているから。
私のために怒ってくれている。
本当は優しい人なの。
共依存とは、こう思うようになってしまう思考なんです。
家庭内のモラハラが表層化しにくく、問題視されにくいのは、こういう共依存関係にあるからに他なりません。
加害者は、被害者を「正してやっている!」という歪んだ正義感をもち、
被害者は、「自分のために言ってくれている」とおもう。
もはや、ここには、第三者が入る隙などありません。
加害者は相手の批判を許さないので、言葉巧みに嘲弄し、とてもロジカルに相手を追い詰め、
自分が反撃されないように、自分のポジショニングを常に意識していて、
とてつもなく、頭の回転が速い人だったりすることも多かったりするので、
こういう共依存的な関係に陥りやすいのもしれません。
自分が正しく常識であり、
自分こそが真実や善悪の判定者であり、
いかに自分が優れた人物であるかを熱弁し、
自分の欠点に気づかないようにするために相手の欠点を暴きたて、
そして自分の支配下に置こうとするモラハラ加害者。
モラハラの加害者の論理では、他人を尊重したり、共感したりという考えは全く存在せず、
復讐にも似た怒りや恨みをもち、被害者に全ての責任を押し付けることで、自分のストレスや苦しみから逃げようとする卑劣さ。
相手を無力化し、相手を思うままに動かし、
被害者こそが加害者の如く役割を押し付けられ、
その相手の弱みの上に自分が権力を握り、支配し続け、
そして虐めること自体が快楽となっているような歪んだ心。
こうまでしておいて、「被害者は自分の方だ!」と、妄想にも似た考えを抱いているのモラハラ加害者。。。
自己認知ができていて、「自分はもしかしてモラハラ…?!」と思ったあなたは、おそらく大丈夫です。
それほどまでに、モラハラ加害者は、自分がしていることの客観性が欠如しているのです。
恋愛とは、そもそも自己愛と自己愛のぶつけ合いのような一面もありますが、あまりにも摩擦が多いと長続きしませんよね。
モラハラ(攻撃)する人は、本当は自己肯定感が低いと書かれてありますが、ちょっとここは誤解しやすいところでして、
自分に自信がないという意味ではなく、
”自己受容ができない”という意味だと私は思います。
弱い自分や、自分で認められないイヤな部分を、受け入れることができないのです。(なぜなら完璧な自分でなければならないから)
それを目の前のパートナーに投影し(投影性同一視)、自分の負の部分として負わせ、攻撃することで自分を保っているのです。
誰しも、自分は正しい!という考えは多少なりともあると思います。自信がある人なら尚更でしょう!
ですが、”人に対する共感能力が欠如している” というのは、わかりやすい特徴かなと思います。
ものすごく冷徹なんです。
これって、すぐ分かりますよ。
平気で相手を傷つけることを言っておいて、それでいて、良心の呵責がまったくないんです。
傷つけている自覚すらないんです!
あなたが、もしモラハラされているなら、私はあなたにこう伝えたいです。
一番大事なのは、あなたの幸せです。
あの人は、あなたを幸せにはしてくれません。
また、あなたも、あの人を幸せはできないんです。
あなたは依存心をなくし、精神的に自立していくことで、その共依存関係から抜け出すことができます。
あなたの価値が、咎められることでしか見出せないとしたら、そんな歪んだものは愛ではありません。
自分が我慢すれば、この人は変わってくれるとか、
自分が(相手を)怒らせさえしなければ、この人は私を愛してくれるとか、
優しいあの人が本当の姿なのとか、
優しかったあの頃のあの人に戻ってくれるはず!
などと、そんなことを夢見ていても、絶対に相手は変わることはありません。
彼と一緒にいることを選択するなら、
あなたが精神的に自立することで、相手との関わり方を変え、あなたが辛くないようにするしかないと、本にも記されています。
それはつまり、愛を捨てて、距離を置き、出来るだけ会話をせず、出来るだけ接点を減らし、出来るだけ時間を共有しないで、関心を示さないということ。
そして、他の世界に自分の幸せを見つけろ、と。
それが彼と一緒にいるための一番いい方法だと書いてあるんですよ?
そんな方法しかないのですよ?!
そんなの、幸せだと思いますか???
そんなの、逃げられない人の心を慰める、一時凌ぎの策にしかわたしにはおもえません。
あなたを傷つける人と、あなたは一緒にいなくていいんです。
あなたの周りには、愛に溢れた人がたくさんいるでしょう?
だって、あなたには、そんなにも愛で溢れているのに。
何とかして受け入れてあげたいと、今までずっと頑張ってきましたよね?
私が悪いんじゃないか、ってずっとそう自分を責めてきましたよね?
だけど、もういいんですよ。
これからは、自分の幸せのために生きていくと決めてください。
あなたはどんなパートナーシップが欲しいのですか?
支配されて操られたいのですか?
いつも言っていることですが、あなたの幸せはあなたが決めるのですよ。
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