(きょう21日は、25年前、池田SGI会長が韓国を初訪問した日である。この節目を寿ぐように、韓国・慶南大学から創価大学創立者のSGI会長に、名誉教育学博士号が贈られた。授与式は20日、東京・八王子市の創大記念講堂で開かれた「創価教育同窓の集い」に続いて挙行され、慶南大学の朴在圭総長、同総長夫人の北韓大学院大学・金仙香理事長、李鍾鵬慶南大学対外副総長、宋炳周同大学院長、崔鎬成同教育学部長、朴廷鎭同対外交流所長らが列席。学位記が創大の池田博正最高顧問に託された。)

 

一、貴国・韓国から、創価大学に最初の留学生をお迎えしたのは、30年以上前のことになります。その妹さんも創価女子短大に留学し、二人のわが子の立派な成長を喜ばれたお母さまは、韓日の万代の友好を願い、母校のキャンパスに、韓国の国花・無窮花(ムグンファ=むくげ)の苗木を500本も贈ってくださったのです。

尊き母の真心の無窮花も咲き誇る秋の創価大学に、尊敬してやまない偉大なる韓国の教育者・朴在圭(パク・チェギュ)総長、また令夫人であられる金仙香(キム・ソニャン)博士をはじめ、諸先生方をお迎えすることができました。

そして本日、北東アジアの「平和研究の雄」として名高い、伝統輝く貴・慶南(キョンナム)大学より名誉教育学博士号を賜り、これほどの光栄はございません。

この最高に栄(は)えある「教育の宝冠」を、日本中、世界中から母校に戻ってきてくれた、不二の同窓生たちと共に拝受できることは、私にとりまして何ものにも代え難い喜びであります。

とともに、創立者として、私は、この誉れを、お子さん方を創価の学舎(まなびや)に送り出してくださった、すべての父上、母上たちに、尽きせぬ感謝の心で捧げさせていただきたいと願っております。

かくも素晴らしき栄誉を、私たち創価同窓に贈ってくださった朴総長の寛大なご厚情に、心より御礼を申し上げます。

誠に誠に、ありがとうございました!

 

一、朴総長の卓越したリーダーシップのもと、貴大学は、韓・朝鮮半島の統一と平和を探求する、最高峰の教育・研究機関として、さらには先進的な世界市民教育の学びの城として、目覚ましい躍進を遂げられております。

風光明媚(めいび)な天地に広がり、韓国の “美しい大学キャンパス10選” にも選ばれております。

貴大学の崇高なる平和教育、そして、朴総長の高邁(こうまい)なる模範の行動に学ぶことは、あまりにも多くあります。朴総長は大きく歴史を俯瞰(ふかん)されて、「21世紀」は、人類の夢を一つ一つ実現していける「可能性の時代」に入ったと、洞察されています。

そして北東アジアの平和を、長年にわたり希求されてきた観点から、難題の山積する「問題の地」を、むしろ「可能性と希望の地」と見る「発想の転換」が必要であると、指摘されているのであります。

私は感銘しました。人生においても、社会においても、立ちはだかる試練を前に、「不可能」と決めつけて、諦(あきら)めてしまえば、それまでである。

しかし、どんな困難も、打開できないわけがないと一念を定め、挑戦していけば、そこから、未(いま)だかつてない「可能性」を引き出し、「希望」を創りあげることができる。

まさに朴総長は、この大転換の劇を、自ら堂々と歴史に刻みつけてこられたのであります。

闇が深ければ深いほど、いやまして明るい希望の太陽を昇らせてみせる――この大逆転にこそ、教育の真髄があり、ロマンがあるといっても、過言ではないでしょう。

平和の信念に殉じた創価教育の父・牧口常三郎先生が望まれていたのも、いかなる逆境にあろうと、そこから美・利・善の価値を創造し、新たな活路を開拓していく人材の育成でありました。

 

一、貴大学は、東西冷戦末期の1980年代後半、韓国で初めて中国に学生を派遣されました。

さらに、当時のソ連の大学とも交流の道を開かれております。

一貫してグローバル化を推進され、「お互いに助け合い、分かち合う」世界市民の知恵を涵養(かんよう)しておられることに、私たちは心からの敬意と共鳴を表(ひょう)したいのであります。

わが創価大学の1期生として学んでくれた、最優秀の在日韓国人の女子学生に、私はこう書き贈ったことがあります。

「元来、人間には国境なぞなかった。それが、いつしか人為的に国境がつくられていった。ゆえに、私共は、国境の奥の次元の人間連帯に到達し、生きゆくことを忘れまい」と。

大学こそ、国家も、民族も、文明も、思想・信条も、ありとあらゆる差異を超え、「生命の尊厳」という最も高い次元から、英知と人道の結合を、未来へ広げゆく究極の人間連帯の広場なのであります。

 

一、慶南大学のシンボルは「汗馬(ハンマ)」。すなわち司馬遷の 『史記』 などにも登場し、一日千里を駆けると謳(うた)われる、名馬「汗血馬(かんけつば)」のことであります。

激しい戦いにも、厳しい風雪にも、赤き血潮の如き汗を流しながら、広大な大地を、疲れを知らず、強靭(きょうじん)な忍耐力で走り抜く――。

この名馬に象徴される貴大学の精神について、朴総長は「わが人生の目標を必ず成し遂げるとの不屈の意思と希望を持ち続けていくこと」であると語られています。

きょう集われた皆さん方は、職場においても、地域社会においても、いよいよ重い責任を担い立っていく年代に入っています。厳しい現実の中で、重圧に押しつぶされそうになることがあるかもしれない。病気との闘いもあるでしょう。

しかし、私の恩師もよく言われました。「どんな辛いことも、後になれば、大したことではなくなる。必ずや、あの時、頑張り抜いて本当によかったと、爽(さわ)やかに思い返せるものだ」と。

皆さんには、創価教育の負けじ魂がある。絶対に信頼し合える同窓の友がいる。そして、皆さんの栄光を、何よりの喜びとしてくれる、尊き無数の父母たちの祈りがあり、熱烈な声援があります。

途中に何があろうが、嘆かず、焦らず、へこたれず、自分らしく断固として朗らかに走り抜いていただきたいのであります。

現代韓国を代表する詩人の高銀(コ・ウン)先生は、謳われました。「道がない! ここからが希望だ。/息が詰まりそうになっても、ここからが希望だ。/道がなければ、道を切り開きながら進むのだ。/ここからが歴史だ」と。

さあ、きょうから、また新たな出発です。

尊敬する慶南大学の先生方と手を携(たずさ)えながら、無限の希望に燃えて、民衆の幸福の道を、世界市民の共生の道を、人類の平和と繁栄の道を、共々に開いていこうではありませんか!

明年、晴れの創立70周年を迎えられる貴大学の無窮の大発展、そして、ご出席のすべての皆様方のますますのご健勝を、心からお祈り申し上げ、私の御礼とさせていただきます。

テダニ・カムサハムニダ!(韓国語で「大変に、ありがとうございました」)

 

-2015921日付聖教新聞より-