読売新聞にて4日間わたり連載された、「しらかば診療所」の医師、井戸田一朗さんのインタビュー記事。 ゲイ(男性同性愛者)などの性的少数者を、主な対象とする日本初の診療所を開設されたのが6年前。ちょうど、出入りしていた某飲み屋さんでこの診療所の開業の紹介をうけたのだった。



内科、形成外科、皮膚科、精神科、婦人科と、LGBTが安心して相談・治療のできる診療所として、現在では、多くのLGBTに良く知られているようだ。自分もおじゃましたことがあるし、何人かの僕の友人も利用させていただいている。

LGBTだから、なかなか一般のお医者様に相談しにくい症状などについても、気兼ねなくお医者様に相談ができる安心感は、何事にも代えがたい。



是非、多くの方に知ってほしい、また必要な方に利用していただきたい医療施設として、ここに紹介する。
 
 
しらかば診療所 ホームページ
http://shirakaba-clinic.jp/


〒162-0065
東京都新宿区住吉町8-28
B・STEPビル 2階
(都営新宿線曙橋駅 徒歩3分)
TEL
03-5919-3127 (要予約)






---以下、読売新聞/ヨミドクターより


こころ元気塾 / 性的少数者の診療所・井戸田一朗医師  

なぜ開設したか(2013年5月9日 読売新聞)
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=77424&from=popin
全国から患者が(2013年5月10日 読売新聞)
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=77465&from=popin
ゲイであること大切に(2013年5月11日 読売新聞)
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=77547&from=popin
エイズの今(2013年5月12日 読売新聞)
http://www.yomidr.yomiuri.co.jp/page.jsp?id=77587&from=popin




ゲイ(男性同性愛者)などの性的少数者を主な対象とする日本初の診療所「しらかば診療所」を、2007年に東京・新宿に開設した感染症専門医の井戸田一朗さん(42)に、取り組みを聞いた。(藤田勝)

 

 
 井戸田一朗(いとだ いちろう)
 1970年、名古屋市生まれ。岐阜大医学部卒。都立駒込病院内科研修医、WHO南太平洋事務局、東京女子医大感染症科などを経て、「しらかば診療所」開設。共著に「同性愛入門」など。

 


――どのような経緯で開設されたのですか。
 
 「私自身がゲイの医師であり、性的少数者の医療や福祉、教育を支援する団体AGP(同性愛者医療・福祉・教育・カウンセリング専門家会議)の副代表を務めています。メンバーは性的少数者当事者や、それを支持する人たち、医療・福祉の関係者です」
 
 

「AGPの活動の一環で、性的少数者の心や体、家族関係に関する電話相談を以前から行っているのですが、体の相談を受けていて分かったことは、明らかに病院に行くべき状態なのに、医療者からの偏見を恐れて受診できない人が多くいたことです。自分自身のセクシャリティーを受け入れられず、悩んでいる人も多くいます。性的少数者でも、気兼ねなく受診できる医療機関が必要だと強く感じていました」
 

 

 ――海外には、そのような医療機関はあるのですが。
 
 「2001年に米国の公衆衛生の医学雑誌に、性的少数者を対象にした医療機関の紹介記事が載りました。米国には7つあり、最も有名なのがボストンにあるフェンウェイコミュニティ・ヘルスです。AGPのメンバーで、そこへ見学ツアーに行き、現地スタッフから、日本にも同様な施設が実現するように力強く励まされました」
 


 「その後一時期、私は感染症の専門家としてWHO南太平洋事務局に勤務し、フィジーに行っていました。仕事は自分に合っていたので、そのままWHOに残ろうかとも思ったのですが、やはり自分がゲイであることを大切にしたかった。性的少数者のための診療所をやらないままではきっと後悔するし、自分がしなきゃ誰もやらないだろうと思って、日本に戻りました」
 
 

「でもWHOでの経験などが買われて、世界各国が資金を出して作った『世界エイズ・結核・マラリア対策基金』の支持を決定する技術審査委員に選出され、年1回、事務局があるスイスのジュネーブで開かれる審査会合に出席しています。基金には日本も1600億円以上を拠出してきました。途上国から集まる3大疾患対策の申請書を、世界から集まる約40人の審査委員が、中立性を守りながら集中的に審査し、支援の可否を決定します。日本人の審査員は2人で、1人が私です」

 


――国内では例がない診療所ということで、経営に不安はありましたか。


 「普通は開業する時、医療コンサルタントに相談して、その地域にどれくらいの患者がいるのか見積もってもらいますが、性的少数者を主な対象にする診療所では、そのような見積もりができません。果たして経営が成り立つのか、とても不安でした」



 「でも、HIV陽性者に必要な施設という点では自信がありました。全国にHIV診療拠点病院がありますが、通常、診療は平日の昼間だけです。会社員だったら、受診日は何らかの理由を作って仕事を休まないといけません。ここは平日は夜9時まで、土日も夕方まで診療しています」



 「病気は精神状態と密接に関わりますが、一般の診療所ではゲイやレズビアンであることは言いにくいのです。この診療所は、患者さんはインターネットや口コミで情報を得てやってくるので、診療のハードルは最初から低い。自分も、医療者であると同時に、ゲイならではの視点で患者さんの話に耳を傾けます。まだまだ開設にかかった借金は返せませんが、患者さんは北海道から沖縄まで全国からやって来ます」

 


 ――診療所の概要を教えてください。


 「診療科は内科、形成外科、皮膚科、精神科、婦人科があるほか、臨床心理士によるカウンセリングルームも設けています。HIV感染が判明すると、本人は同時にいろいろな問題をつきつけられます。性的少数者全般に言えますが、家族や社会との関係で悩み、うつ病などの精神疾患や自殺、アルコールやたばこなどの薬物への依存が多い。心の健康はとても重視しており、4人のカウンセラーがいます」




 「設立理念は3つあり、性的少数者の立場に配慮し、安心して利用できる医療サービスを提供する、性的少数者の生活を行政・NGO・医療機関など他の社会資源と協調しながら医療の側面から支援する、診療活動から得られた知見を当事者及び広く社会へと還元する、です。同性愛者のセックスは否定しません。安全にできる方向に持っていくことが大切です。写真入り男性向け性感染症パンフレットも作り、ホームページからダウンロードできるようになっています」

 


――感染症の専門医になったのは、ゲイであることと関係がありますか。


 「理系の大学への進学を選んだ高校2年のころ、すでに自分がゲイであることは分かっていました。将来も結婚することはないだろうし、1人だけで生きていくことになる。自分の力で生きて行くために、医師になろうと思いました。2番目の動機としては、当時1980年代後半、エイズが世界的な問題になっていたことです。医師として、その研究に取り組みたいとも思いました」

 


「岐阜大の入試面接で『HIVを研究したい』と言ったら、微生物学の大御所の先生が『君が医師になるころには治療薬ができて、もうやることはないよ』と言われましたが、今の状況は大御所でも予測できなかったようです」

 


 ――自身がゲイであることは、いつごろから隠さないようになったのですか。

 「自分がゲイであることは大切なことで、それがゆらぐことはありません。でも自分のキャリアと折り合いをつける自信が、最初はありませんでした。研修医時代は、都立駒込病院で感染症、特にエイズの診療にどっぷりつかりましたが、私は何をやってもうまくいかないだめだめ研修医でした。『ゲイだからだめなんだ』と言われたくなくて、医師になって最初の3年位はとてもカミングアウトは思いつきませんでした」




 「医師になって4、5年目でようやく自信がついてきてから、改まって言うわけではないですが、飲み会などで『男性が好きでしょ』と聞かれれば『好きだよ』と言えるようになりました」




――エイズが大きな話題として取り上げられることが減りましたが、国内の状況はどうですか。

 
「年間の新たなHIV陽性者数は横ばい状態ですが、検査を受ける人も減っているのが心配です。薬のおかげでエイズ発症は抑えられるようになり、感染が分かってひどく落ち込む人は以前よりも減りました」




 「一方で近年、HIV陽性者は、陰性者に比べて様々な病気にかかりやすいことが分かってきました。心筋梗塞や脳卒中などの血管の病気のほか、悪性リンパ腫、舌がん、肛門がん、骨粗しょう症、認知症などです。普通はもっと高齢でなる病気に、早くなりやすいことが分かってきました」

 


「HIV感染が遅く見つかった場合、そうした合併症の頻度はより高くなります。エイズが発症してから見つかった場合、命が助かっても後遺症が残ることがある上、非発症者に比べると寿命は10年以上短いです。性的少数者に限らず、セックスをする人であれば、1人でも多くの方にHIV検査を定期的に受けて頂きたいと思います」




 ――最近は、ゲイのタレントが人気ですが、性的少数者への差別や偏見についてはどう思いますか。


 「米国ではいわゆる『オネエ系』のタレントが全国ネットでゴールデンタイムに登場するなんてありえません。日本は、性的少数者が揶揄(やゆ)されたり、いじめられたりすることはありますが、諸外国ほど差別や偏見は強くはなく、歴史的にも寛容な国だと思います。ただテレビでは毎日見かけていても、職場や学校で自分の隣にいるかもしれないということに想像が及ばないだけです。AGPは、差別や偏見を糾弾する団体ではなく、異性愛者とも協力しながら、お互いにメリットがあるような活動を目指しています」(おわり)




ゲイ・同性愛・LGBT・ホモ・オカマ・オネエ・合唱・ブログランキングへゲイ・同性愛・LGBT・ホモ・おカマ・おネエ・合唱団・GAY・にほんブログ村へ
ランキング投票 クリックにご協力を!


ショップ:Yahoo! ・ 楽天市場・ Amazon.co.jp

みんなの 口コミ: 商品レビューを見る


ゲイの合唱団
【日本最大級】在籍70名、創立20周年の… 詳細


同じテーマのブログ
にほんブログ村-ゲイ・同性愛… 人気ランキング
FC2 Blog☆Ranking・同性愛… ブログランキング
BLOG RANKING-同性愛… 人気ブログランキング


お知らせ
プロフィール / バナー・リンク規定 / 相互リンク
団員募集 / おことわり / ブックマーク
TOPページへ / 読者になる