お疲れさんです。
先週のお話ですが、長年動かしていない原付を乗れるようにして欲しいとのご依頼をいただきました。
ご予算は5万円、もし予算オーバーなら乗り換えるので処分してほしいとの事。
もちろんエンジンはかからないので、営業車で引取りに伺いました。
入庫車両はこれ、ホンダのアメリカンスクーター ジョーカー50です。
走行約17000km、外装は劣化してザラザラ、シートレザーの風化具合が年月の経過を物語っています。
まずは予算内で直せるかの見積り作業からです。
オーナーさんもこのバイクに愛着があるようなので、安易に乗り換えを勧めたりせず、予算内でなるべく良い状態に仕上げられるようにします。
うちではこういう修理車が結構入庫しますが、中古車整備で培った経験と技術が大いに活かされます。
外見で判断出来た不具合は以下のとおりです。
●前後タイヤ劣化
●リヤブレーキ固着
●フロントブレーキパッド磨耗
●シートレザー
●バッテリー
●ウインカースイッチ、ホーンボタン固着・接触不良
●左ミラー破損
次にエンジン周りや電装品ですが、これは分解して判断します。
外装を外してオイルや燃料の配管類、電装品、そしてスクーターの要である駆動系の目視チェックを行ないます。
この結果分かった不具合は以下のとおりです。
●ドライブベルト劣化
●ウエイトローラー磨耗
●キックスターター作動不良
●エアクリーナエレメント劣化
●スパークプラグ劣化
●キャブレター要オーバーホール
これ以上はエンジンを始動させ、音を聞くなどしないと分かりません。
ここまでで判った不具合箇所を全て直し、いざエンジンをかけてみるとクランクシャフトやベアリングがダメでオーバーホールが必要・・・などとなれば完全に予算オーバーです。
実際に長期放置された車両ではよくあります。
しかし決められた予算でお受けした以上、「ご予算内で直せます」とお知らせした後で「実は○○円予算オーバーします」とは言えません。
もし言ったとして予算を上げてくれればまだいいですが、じゃあ処分してくださいと言われたらこれまでに費やした時間と部品代が丸損になります。
うちも商売なので損は出来ませんし、適当な見積りでお客さんの信用を落とす訳にもいきません。
要するに本格的な整備に入る前にエンジンがかかれば良いのです。
実は一瞬でエンジンをかける技があります。
残念ながらその方法はヒミツですが、エンジンの圧縮と点火系統が機能している状態であれば、この方法で数秒間エンジンをかけれるので、その間に音を聞いたり電気系統のチェックが出来ます。
このジョーカーもその方法でエンジンをかけましたが、幸い他の部分は大丈夫そうでした。
お見積り総額は、出張引取料や消費税も含めて46,900円でした。
次回のブログでは整備の様子を紹介したいと思います。
それでは皆さんご機嫌よう!!
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