2024新年のご挨拶 | 義理と人情と心意気と・・・ときどきてきと~に2

2024新年のご挨拶

2024 新年が明けました。
お陰様で今日も生かされていることに、まずは感謝し、会員の皆様に謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
 
まずは、能登半島地震、羽田空港での衝突事故にて、お亡くなりになられた方々、ご遺族の皆様に謹んで追悼の意を表します。また被害に遭われた方々、今避難所での生活を余儀なくされている方々におかれましても、心よりお見舞いを申し上げます。1日でも早い復旧と、少しでも安心して暮らせる日がまた戻りますことを願います。微力ではありますが生かされている私たちにできることを、少しでも行って参ります。
 
さて、昨年は本会にとって、大きな節目の年でもありました。様々な運営方法を見直し、全国大会においてもゼロベースで見直しをかけ、お陰様で無事に終えることができました。本会すべての行事において、また総本部道場、各支部道場の運営において、会員、関係者、御父母の皆様のお陰で、一年の締めくくりができましたことにあらためて御礼申し上げる次第です。
 
本年、本会は創立65周年を迎えます。65年前、練馬区大泉学園、妙延寺のまだ土であった境内で本会は産声を上げました。「雪、霜柱が境内を覆う中、そこを踏みしめながら当時は稽古をしていた」「寒いので、道路沿いから境内をちらっと見て、姿が見えないと皆帰ってしまうので、体を動かしながら待っていた」と、故・土佐邦彦宗家からお聞きしていました。
 
冒頭に「今日も生かされている」と表現しましたが、これは私自身が東日本大震災をきっかけとして、被災現地での被災者の方々、多くの空手仲間、関係者の方々、一般の方々との経験の中で強く感じ、今も想っている言葉です。私たちは、この世に生を受けた時から、自分の両親や周囲の方々にたくさんの迷惑をかけ、助けられ、両親や先人に知恵、力をお借りし、そのお陰で生き続けることができています。決して自分の力だけで生きているわけではありません。

当たり前のように呼吸をして、朝、目を覚ますことも、体を動かし、会話をして、学校や会社へ行き、社会生活を営めることも、これら全てが「当たり前」ではなく、皆「お陰様」なのです。自分の意思とは関係なく、生きたくても「今日を生きる」ということ、それ自体が叶わなかった人もいらっしゃいます。つまり個々の存在はありながらも、私たちは、周囲や環境、他者のお陰様により「生かされている」ということです。
 
まず大人、親、指導者と言われる私たちは、誠に有り難いことに、「人と携わり、共に成長することのできる」場をいただいています。この関係はどちらかの一方通行では成り立ちません。私達が本当の意味で後世に残せるものは何でしょうか?お金は当然大切ですが、有限です。しかし想いや教え、魂は無限であり、普遍であるものほど後世に遺していくことができます。本会でいえば、その一つが道場訓や指導理念です。そして自分の子供達や弟子達がまたその恩恵を受けられるように、恩送りをしていくことが、与えられた使命であると、私は思っています。
 
子供達は自分が尊敬する人達から言われることを、感謝の気持ちもって良く聞いてください。道場で先生達が君達を叱るときは、嫌いだからではなく、本当に良くなって欲しいと思っているからこそ叱ることがあります。それはご両親、幼稚園、学校の先生も皆一緒です。
「若いうちの苦労は買ってでもしろ」という言葉がありますが、君たちのことを本当に想って、叱ってくれる人を大切にしてください。そして「楽な道」と「大変な道」どちらかの選択をしなくてはいけない時は、「大変な道」を選んでみてください。
この経験は必ず自分をもっと成長させてくれるきっかけになります。そして何かの判断に迷ったときには道場訓を思い出してください。そしてこんな大人になりたい と思える、かっこいい大人になってください。
 
昨年の武徳会全国大会は玄制流ルール組手において、前年度ルールをフル活用して優勝した岩瀬将英君(総本部)、昨年同競技での怪我から復帰した吉村拓真君(大泉道場)が対戦し、岩瀬君が2連覇を果たしました。形、組手においては陶山凱、嵐君(大泉道場)の活躍、形競技はとくに広島・西原支部勢が活躍しました。公的大会においては向井瑠杏さん(福岡・宗像支部)が全日本学生団体戦、全日本選手権大会団体戦の組手競技において、それぞれ自身の所属する大学、県の代表選手として優勝に大貢献しました。

玄制流ルール組手は、顔面当て止め、中段、下段フルコンタクト、投げ、崩しあり、場外は死に体とするルールの中、年々成熟し、選手も確実にレベルアップしています。選手が安心して試合に臨めるよう、審判のさらなるレベルアップも行って参ります。例年夏に行っていた合宿も夏と春の2回に分けてより中身の濃いものになっています。また全空連ルールの中でも、各地域連盟で貢献できる人材育成、またより活躍できる選手の育成に務めて参ります。

しかしながら空手道は生涯武道であり、試合や審査だけが全てではありません。幼児からシニアの方々まで個々が求める空手道を、楽しみながら、より長く続けられる障害武道をさらに模索し、空手道の持つ可能性を追求して参りたいと思います。

そして、流祖・祝嶺正献先生から、宗家・土佐邦彦が受け継ぎ、65年間今日まで紡いできた玄制流武徳会をより各地域に根付かせ、空手道を通じた地域貢献、社会貢献、人材育成を行い、より国際玄制流空手道連盟 武徳会の発展に努めて参りたいと思っています。
 
皆様方におかれましては、是非ご理解とご賛同をいただき、どうか本年も、変わらぬご支援と、ご指導、ご鞭撻賜りますようお願い申し上げます。

本年が、皆様にとって、より良く充実した一年となることを祈念し、また共に過ごせる時間に感謝をし、私の挨拶に代えさせていただきます。 

どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

 
2024年1月7日
国際玄制流空手道連盟 武徳会
会長 土佐 樹誉彦