「GODZILLA」その5!観たぜ!ゴジラ。 | オッサン君の映画DEぼーん!

オッサン君の映画DEぼーん!

映画に愛を!
ゴジラから2001年宇宙の旅まで。
古今東西、思う存分映画を語るもんねっ!
愛と怒りをこめて、カーツ1発!
(独断偏見ごめんくさい!!やな人はスルーのコトよ!)

新しいハリウッドゴジラ、
映画の日に観てまいりました。
ちょっと盛り上がりも収まり気味(笑)。今更ですが。

娘と元嫁はマレフィセントに行って
アンジーの上手さには感心してました、
おまけに娘は「マーニー」も行って。

でも、アンジーのかの映画は、
ディズニーですから当然
「いろんな魔法」が仕込んであったことでしょう・・。
で、親父は黙ってゴジラ観る・・。

はい、エドワーズ君、
よく頑張りましたで賞。

・・うちの劇団で、
私は日頃から言うんです。
客に「頑張ってたね」と言われたら、
それは褒め言葉じゃないからな、
それは小なりとは言え一表現者として、
プロアマ問わず、

「屈辱」に他ならないぞ、
客に「頑張り」なんぞ見えてはいけない、
客が「自然で当たり前に見えて、
努力なんて分からないぐらいに上手い」、
これが「基本」だ。

こんなこと言っててゴジラの評価に
「頑張った」って言うのは、
つまり「そういうこと」なんです・・。
頑張ってたからクサす気にはなれない。

「やるべきこと」、
もしくは自分がゴジラを撮れたなら、
これだけはやっとく!ってトコ、
必要最低条件は満たす
リスペクトに溢れたゴジラ映画でありました。

で、「面白かったのか」と言えば・・
これが・・
ごめん、ちょっと・・・(笑)。

いやいや、繰り返すけど、
よく出来てるんですよ?
ゴジラに関して。

「ゴジラ映画」がどうあるべきか(大げさ笑)
というセオリー的不文律的要素はしっかり押さえた、
ある意味「優等生」的ゴジラ映画。

裏返して言えばそれ以上でもそれ以下でもない・・。
残念ながら。
アメリカのメディアや新聞でも、
至極まっとうな的を射た論評で、
割と酷評されてる。

仰る通りで、
まず登場人物の描き込みが浅いんですな・・。
出始めの原発事故のシークエンスはなかなか良かったし、
ゴジラ映画は「反核」のイメージあるんで、
そこも押えてる。

ところがプロットの問題かなあ、
ゴジラの主題とあんまり関係なくって、
そこに「MUTO」(武藤?なんじゃそれ)
って怪獣が原因で事故が起こる。

そいつを渡辺謙の学者チームが
国家プロジェクトとして極秘研究してる。
要するに直接「核エネルギー」に対しても
「核兵器」に対しても
「批判的」に表現してるわけじゃなくて、

主人公の母親(ジュリエットビノシュ。久しぶりじゃん)が
事故で速攻死んじゃうのも「核事故」のせいとかじゃなくって、
その「むとー」さんが暴れたせいだから、
批判的メッセージは全然見えないって構造。

そこらへん、
ホントに観客にもスポンサーや世間にも喧嘩売らない「優等生」。
謙さんもあんまり本筋に関わった活躍もしないし、
へんこ親父も傍観者に過ぎない。

一応息子(あれ、「キックアス」の兄ちゃん?!
信じられん、同一人物とは思えない程魅力ゼロな変身ぶり。
そういう役作りを指定されたのかなあ?)
が「ヒーロー」として「置いて」あるけど・・
全然生きてない。

とにかく駄目なのは
ムトーさんに重点を置いたプロットだな。
さーくさすぞ~(笑)、
このMUTO。

まずデザイン最悪。
何じゃこの怪獣は。
ギャオスと「クローバーフィールド」の変な怪獣を
足して割ったみたいな
およそセンスオブワンダーを感じない
想像力のない造形。

大体、西洋人の栗ー茶ー・・
(なんつー変換するかな、このパソコンは)
クリーチャーって、

どうしても「悪魔」のイメージから逃れられないらしい。
インディペンデンスデイの宇宙人も、
宇宙戦争の宇宙人もやっぱりサタンでしょ。

エイリアンが秀逸なのは
やっぱりギーガーの紙一重の才能に因る所が大きいし、
物体Xもそう。

あれなんかは「人間の融合」だから、
純粋に「怪獣」とは言えないもんね、
そういうリアルは凄く上手い。

でも、「怪獣」とか
「モンスター」と言えば
せいぜい「ドラゴン」とか「恐竜」、
あと「でかい猿(笑)」。

「リアル」という「物質主義」的価値観と
宗教観の呪縛の強大さを感じます。
そりゃゴジラを
「でかいイグアナ」にしちゃうわけだ。

ギーガーみたいな天才でないと想像出来ないんだね。
(そういえばエドワーズ君の出世作
「モンスターズ」の宇宙生物って巨大なタコだったもんね。
ただのタコ。)

そう考えると、日本人の想像力の自由さって凄いですよ。
ダダなんてとんでもないデザインだし、
メトロン星人、バルタン星人、
大魔神なんてホンマに見たら怖すぎて腰抜かすぞ。
(あーリメイクしたい、ワシ。リメイクして今の政治を断罪してやりたいわ。)

この辺の想像力の源って、
実は今流行りの妖怪にあるのでしょう。
西洋のドラキュラや狼男みたいな(ま、実在するもんね)のに比して、
日本の妖怪はもう八百万そのまんま、
バリエーションの豊かさで群を抜く。

ちょっと脱線したけど、
それでも「エライ!」と思ったのは、
ゴジラが放射能を吐くシーン。

そう!そういう風に撮ればいいんですよ!
尻尾が何やら光って、みんなが何何?!何だ?って思ってるうちに
バオーって吐く。
尻尾からカメラが口まで追って行く見せ方もいいねえ!

で、最後はムトーをやっつけたゴジラに
「怪獣王」とレッテルを貼って終わる辺りのリスペクトには、
日本人として誇らしい。
コングじゃないんだね。

あちこちに「いいカット」があるし・・
何より平成ゴジラみたいにオープニングクレジットのバックに
もうゴジラが映ってるような、

まるで「はい、みんな知ってるでしょ。お約束抜きね」
なんて手を抜いた緊張感もへったくれもない、
糞演出に比べたら

ムトーは出ても、ゴジラはとことん引っ張る。
本当になっかなか出ない(笑)。
そう、これがゴジラ映画なんです。
その辺も本当に分かってるねえ。
ゴジラと寅さんは

「出るのは規定なんだからお決まり」なわけ。
そこをちゃんと見せないと、マンネリになるに決まってる。
本多猪四郎も円谷英二も山田洋次も
その見せ方の工夫をいっつも考えてるのが分かる。
これが「プロ」なんだぜ。

で、この太っちょゴジラ、
初お目見えも秀逸でした。

でも・・映画としての出来から言うと・・・
まだ若いなエドワーズ君。
ムトーなんか出したのが運の尽きだぜ・・。
全体のバランスが悪かったね。

さあ、今度はモスラもキングギドラも出るという(!)。
期待半分不安半分(笑)。

それより、大魔神、
誰か俺にリメイクさせてくれッ!