better than better 37 | better than better

better than better

彼は、私の死んだママのことが忘れられない。
一方通行の片思いたち


素人小説です

「春海ー、彼氏が呼んでる」
翌日の昼休み、クラスメイトの声に反応して教室の後ろの扉を見遣ると、香篠君がコンビニの袋をぶら下げて立っていた。思わず机の向かいに座っている瞳に縋る。
「瞳も一緒に食べない?」
「いやよ」
けれどもちろん一蹴される。
「喧嘩でもしたの?それでもこうやって誘いに来てくれるの、可愛いじゃない。さっさと行ってきなさい」
瞳の言うことは正論だ。昨日彼を怒らせてしまったのに、それでもこうやってすぐに歩み寄ってくれる。どちらが年上なのか分からなくなるほど。
 けれど。今日香篠君に会いたくない理由はそれだけではない。未だに私の中に居座る唇の感触。こんなものを感じている状態で、彼の前に居る自信が無かった。
 けれどもちろん無視するわけにもいかず、のろのろと鞄から弁当の袋を取り出した。じゃあね、と言うと瞳はひらひらと手を振る。彼女に背を向けると、周りの女の子たちがチャンスとばかりに瞳に声をかける。瞳、うちらと一緒に食べない?まあ、いいけど。誘ってもらった側なのに、瞳はいつだって女王様だ。
 「いきなり来て、ごめん。昼飯一緒に食お?」
にっこりとそう言われて、私は頷くしかない。いつものところでいいよね?と聞かれ、二人で歩き出した。
 着いたのは中庭だ。香篠君が校内で2番目に好きな場所。校舎の向こうの時計台が、そびえ立つようにここからは見える。1番時計台がよく見えるいつものベンチに座って弁当を広げた。



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