【訳者Greatchain

 

アンドレ・ヴルチェクのエッセーを久しぶりに訳した。良心的で、西側世界の虚偽を憎み、世界を徹底的に歩いて真実を教える彼のスタンスは、常に人々を唸らせている。彼のその姿勢がコロナウィルスとかかわった場合どうなるか、興味があった。果たしてそれは火を噴くような論調であった。猛威を振るったCOVID-19が奇跡のように終息し始めたという、中国の報道にはまだ疑問があるとしても、西側の悪と、東側の犠牲者を対比させる彼の因果応報的な論法は、確かに正しかったように思える。それは別としても、コロナウィルスを「意味」をもつものとして、病理的以上の、霊的・象徴的なものとして捉えるのは正しく、そうすべきである。

  ヴルチェクの分析について疑問をもつ人があるだろう。これは明らかにアメリカの犯罪であり、中国は被害者である。これについては、現在、名前も顔も明らかになり、犯罪者として逮捕されたハーバード大学教授Charles Lieber(と中国人共謀者)の、コロナウィルスとのかかわりを、よく調べていただきたい。ネット情報にも、デイヴィド・ウィルコックの最新の解説でも、明らかになっている(4月3日)。

 

 

Andre Vltchek

March 24, 2020, Information Clearing House

 

つい先ごろ、ウォールストリート・ジャーナルが、中国を「アジアの本当の病人」と呼んで侮辱した。中国が応酬し、アメリカが更にやり返した。感情が高ぶり、ジャーナリストたちが国外追放されている。

 

突然、さまざまの中国の役人たちが、中国とロシア両方の多くの人々が何週間も前から囁いていたことを、公然と口にするようになった:——新種のコロナウィルス(COVID-19)を武漢に持ち込んだのは、おそらく米軍の体制派である。これは中国を痛めつけ、複雑な裏街道を通じて、再び、世界を西側の支配下におくためだ。

 

突然、世界は、非常に大きな不快感に襲われ始めた。彼らが支配されているやり方は、明らかに歪んでいる。人々は、それがなぜかよくわからないまま、ただ恐怖を感じ、突き刺されるような不安を感じている。実を言えば、それは過去何十年か、ずっと感じていたものだ。しかしこれは、あまりにも言語を絶するものになった。

 

国家も人々も、お互いに信用することができない。人々は自分の政府を信用していない。資本主義は軽蔑されているが、諸国家はそれ以外の方法を奪われている。

 

私は世界中で働き、あらゆることを観察している。そして目に入るすべてが気に入らない。

 

私は、ワシントンとロンドンで動いていることを、ますます恐れている。それはうまいかないだろう。悲劇がほんの角先で待っている。

 

長年にわたって私は、帝国主義というものが、毎年、何千万もの人々を殺していると警告してきた。圧倒的にそれは西洋の帝国主義者である。しかし場所によっては、その子孫であることもあり、彼らの昔の植民地主義の師匠から学んだエリートが、ジャカルタ、ニューデリー、テルアビブなどのように、征服した領土を野蛮に破壊することもある。

 

ジェノサイドと現代の奴隷制は、現代世界の最も邪悪に反映するものとなった。

 

私は最近、雑誌NEOに、これほど完全に破片と化した世界を、見たことがないと書いた。

 

旅行、インターネット、社会メディア——それらはすべて世界を改善し、人々をより接近させるものと考えられていた。それは間違っていた。私の周囲に見るのは、混乱とニセ情報ばかりである。人々は旅行するが、何も見ず、理解もしない。彼らはかつてテレビジョンを見たように、毎日、何時間もコンピューター・スクリーンを見ているが、世界がどのように動いているか、全くわからないでいる。

 

人々はかつて我々のところへやってきた。たとえば哲学者が忠告を求めて。我々は接触したものだ。そして哲学者そのものを見た。それが今、ドライな、統制された、政府による大学の訓練になっている。以前は、哲学者であることは、思想家であることと同じであった。今は、哀れなことに、哲学者とは、哲学の学位を持った大学の一員で、それは体制の一部のどこかの大学から発行されたものだ。

 

そしていずれにせよ、今はほとんどあらゆる個人が、少なくとも西洋では、彼あるいは彼女が哲学者だと思っている。自己満足し、ポーズし、社会メディアに投稿し、自撮りを用い、グロテスクに誇張された自我を宣伝している。

 

何かがおかしくなった。ほとんどあらゆるものが――。人間であることが恐ろしい危険に直面している。なぜか? なぜなら、人間が人間を理解していないからである。その夢は、何か低級な、哀れな、悲しい野心に還元されてしまった。長い世紀をかけて形成された、その高い理想が、西洋のニヒリズムの物語によって、矮小化されてしまった。

 

そしてやってきたのは、新しいコロナウィルスの一撃だった。

 

コロナウィルスを過小評価してはいけない! それは普通のインフルの死亡率をもっているかもしれない。しかしそれは、はるかにもっと危険なものだ。その危険は、はるかにより大きな心理学的・哲学的なもので、医学的以上のものである。

 

それは予期せずやってきて、世界に向って、地球的連合も、連盟ももはやないことを説明した。

 

諸国家は、きわめて残忍なやり方で行動し、反応している。それは戦っている。それはまるでハリウッド制作の、下手な、二級のホラー映画のような趣がある。

 

諸政府は互いに相手に対し、不合理な指をさしている。航空機はウソをつき、乗客を裏切っている一方で、彼らは乗客を保護するのだと言っている。

 

私は最近、大韓航空が、不作法にも中国へのフライトを取り消した後、足止めを食らった乗客に何の措置もしないでいる間、香港から逃げ出した。私はいくつかのアジア航空便で、故郷の南米に5日間かけて飛んだが、それは非常に奇怪なルートだった。北へ、南へ、また北へ飛び、次にアムステルダムとスリナムを経由し、ジグザグしながらブラジルのいくつかの都市を通過して、チリに到着した。奇妙なことに、この行程のある地点で、ソウルにたどり着いたが、そこは元々私が着陸しないことになっていた場所で、韓国の有名な民族差別を、私は肌で感ずることになった。というのは、言語道断の屈辱と訊問を受けたからで、私はアムステルダムへの出発のゲートで、北朝鮮の方がソウルより、断然、人々をもっと尊敬と威厳をもって扱うだろうと言った。

 

私はこれについて近い将来、もっと詳しく語るつもりだが、これはこのエッセーの主たるトピックではない。

 

肝心なことは、ロジックそのものが崩壊してしまったことである。多くの国家の振る舞いが、非理性的になってしまった――もし理性的ということが人間の進歩と同義であり、人間の生き方の改良と考えられるなら。今、物事はただ、支配し侵害し強奪し屈辱を与えるという観点から見た場合にのみ、意味をなすことができる。

 

そしてコロナウィルスは?

 

アメリカ合衆国は、この状況を利用しようとしているのだろうか?——その治療法を独占するために、その経済と通貨を救うために、世界中の何十億人という人々を犠牲にして?

 

2020315日、ザ・サン紙はこう報じた:——

 

  「ドナルド・トランプの事務官は、〈アメリカ人だけのためのコロナウィルス・ワクチンを手に入れようとして、巨大な金額をあるドイツの会社に提供した〉」

 

その一日後、2020316日、メール・オンラインがこの物語を増幅した:——

 

  「ドイツの役人たちは、トランプ政府が、ドイツの生物製薬会社CureVacをアメリカに誘致し、その実験的コロナウィルス・ワクチンを、独占的に入手しようとしているのを、食い止めようとしている。

 

  「ドナルド・トランプ大統領は、基金を提供して、CureVac会社をアメリカへ誘致しようとした。しかしドイツ政府は逆の提供をして、この会社を思いとどまらせた、とドイツの新聞Welt am Sontag(日曜世界)は報じた。

 

  「ある不明のドイツ政府ソースは、この新聞に対し、トランプは科学者たちの仕事を独占的に占有しようとしており、合衆国のためにワクチンを入手できれば、何でもしようとしている——〈ただし、アメリカ合衆国のためだけだ〉と言った。」

 

この帝国の振る舞いは、コロナウィルスそのものよりも容易く人を病気にするだろう。

 

アメリカ合衆国は国々を占領し、敵対させ、次に、彼らが自分自身を保護しようとすると彼らを罰する。イスラエルも同じことをやっている。そのようにインドネシアも、インドも、NATOもブロックとしてやっている。トルコは半狂乱になりつつある。イラン、ベネズエラなどは、全く何の理由もなく、制裁と輸出入禁止を受けて、金切り声をあげている。ロシアは常に、中東やアフリカ、ラテンアメリカで、傷ついた国々を助けたというだけで悪者にされている。

 

こういったすべてを観察しながら、私は不思議に思う――この先これはどこまで行くのだろう? この野蛮行為と愚かさはこれからも続き、永久に正常なこととして受け入れられるのだろうか?

 

しかし翻ってコロナウィルスはどうか? それは上で述べたすべてに繋がっているのではなかろうか? 何十億という人々が今、彼らの権利と意志を奪われ、小突き回され、完全に支配され、通常のインフルの死亡率をもつ病気によって、すべてが正当化されているのではなかろうか? そして人々は、犠牲者が今や犯罪者として扱われていることに、気づいているだろうか? これはほんの20年前までは、考えられなかったことだ。

 

中国は、アメリカによって感染されていようが、いまいが、絶えず侮辱され、孤立化され、汚名を着せられている。西洋の反中国プロパガンダが、ほとんど流行病が始まるや否や、割って入った。なんと醜く、何と恐ろしいことか!

 

西洋のプロパガンダ主義者は、目ざとく見張りながら、世界をモニタリングしている。彼らはピラニアのように、血が流れ肉の一部が露出すると、たちまち攻撃する。

 

災害が起こると、彼らは自分の敵対者の弱みを十分に利用する。彼らは殺し、自分の振舞いに人間的なものは全くない。それは犠牲者に対する計算された攻撃だ。

 

中国は完全に逆のやり方で反応した。イタリアが感染したとき、中国の医療班は援助した。彼らは薬品と設備を携えイタリアへ飛んだ。

 

そして中国だけが特別なのではない。世界のどこでも災害が起こると、キューバの医者とレスキュー隊は、距離の許される限り飛び、救助する。

 

ベネズエラもそうだ。それは、安価な燃料を困った人々のために使ったことがある――彼らがアメリカという最大の鬼の市民であったにもかかわらず。

 

そしてロシアは、どんな形にせよ(最大のソビエト共和国、あるいはロシア連邦)これまで何十もの破壊された国家を助けている:——病人の治療、学生の教育、インフラストラクチャーの建設、すべて地方の言語による書物や音楽等、文化の伝播など。

 

私は世界が一つになってほしいと思う。人類が美しいプロジェクトに乗り出すのを経験したいと思う:——この惑星を改良し、平等主義のシステムを共に求め、悲惨もなく、不治の病もなく、堕落もない世界を求める。

 

しかし私はナイーブな人間ではない。私は、西側とその極端な資本主義と帝国主義が、世界に対して何をしているかを見ている。

 

そして私は、古典的なイズムだけが、人々に共感と結束を起こさせることができると確信している。ワシントンやロンドンのプロパガンダ主義は、反対のことを言っている。彼らはあなたに、共産主義と社会主義は死んだ、あるいは少なくとも完全に時代遅れになったと、ウソをつくだろう。彼らを信用してはいけない。彼らの目的は、我々の惑星で生命を改良することとは、何の関係もない。彼らから何を聞こうと、その反対が真実だと知るべきである。

 

現在のところ、我々人類は病気で、しかもひどい病気を起こしているように見える。それはコロナウィルスのためでなく、コロナウィルスへの反応のためである。

 

中国は、〈アジアの本当の病人〉では全くない。それがどのように起こったかに関係なく、中国は感染した。しかしそこから立ち上がり、一大決心と勇気をもって戦った。そしてこの病気を拭い去り始めた。中国の医者たちと、中国人一般はいま祝っている。彼らは狂喜している。彼らは勝利しつつある。コロナウィルス患者に捧げられた彼らの最初の病院は、いま武漢で閉鎖されつつある。人民ために創られた彼らのやり方は、明らかに勝利した。

 

ほとんど同時に、中国は他の国々を援助し始めた。

 

現実的には、中国とその人民は、人間が振舞うように想定されている通りに振舞っている。そして、もしそれが〈病気〉だと言うならば、〈健康〉とはどういうことを言うのか?

 

                           ——以上

 

PDF: http://www.dcsociety.org/2012/info2012/200402.pdf