【ワールドカップZ14】






2002年のある夕方、オレは車を運転していた。

気がつくと陽は落ちていて、夜のヘッドライトを点ける。

近所の踏切を渡り、坂道を上る手前だった。

つけていた民放のラジオから速報が流れた。

思わず車を路肩に止め、ライトを消しラジオに耳を傾ける。

速報は、日韓ワールドカップ代表メンバーの発表だ。

暗い車内に響くアナウンサーの声に目をこらす。

オレは哀願するように、一人の選手の名前が呼ばれるのを待った。

大きく張った声で、アナウンサーが一人一人選手の名前を

ラジオの向こうで読み上げる。

すると!?「やった――――――――!」

ある選手の名前を聞いて、車の中でガッツポーズだ。

その選手の名とは、ゴン中山こと、炎のストライカー中山雅史。



お願いだから出てくれ!ワールドカップの中山雅史をもう一度見たい。

名前が呼ばれた時、あんなに嬉しかったことはなかった。

ひとり車の中で驚喜した。

Jリーグができて、日本代表の試合はなるべく見るようにしている。

ひとりの選手が登場するだけで、見ている客のヴォルテージが上がる、

そんな場面を何回か目にすることがあるが、

その中でも、そのヴォルテージの上がり方で、

中山雅史以上の選手は見たことがない。

人を興奮させるなにかを持つ選手、

きっと現役の頃の巨人の長嶋選手に通じる何かを彼は持っていた。

残念ながら、日韓ワールドカップでは、ロシア戦にしか登場しなかった。

しかし、時の監督のトルシエが、負けたトルコ戦の後、

最後に中山を出していれば、何かが変わったかもしれないと

コメントを残している。

その試合、奄美大島でライブをやった次の日に、

奄美大島の空港で、羽田行きを待つ空き時間に観た。

観てて歯ぎしりするような思いだった。

全くホントだゼトルシエよ、ちゃんとあそこで中山を出せよな、

遅すぎるわい。



さて2014のワールドカップの代表も発表され、

いよいよ、後一ヶ月切っちゃったよ。

どうするよ、ワクワクするゼ。

相変わらず、興奮のヴォルテージがどんどん上がっていくのだ。

やばい!