【落ち葉を踏んで】




ドアを開けると、らせん状に渦を巻いて落ち葉が滑り込んできた。

それを弱く踏むと、カシャっと音がして気持ちよかった。

そのまま外に出ると、落ち葉は排水溝に沿ってたまっていて、

まるで見える雨の分子のようだ。

そこからあふれている落ち葉を踏みながら歩く。

でも2,3歩踏むと、そのままそそくさ歩いた。

子供の頃は、こうじゃなく、結構長い間落ち葉を追って歩いた。

カッシャっと言う快感を求めてエンヤコラだ。

たまにどっさりの所を見つけたら、友達みんなで走っていき、

両手ですくい上げたり、ちょっと寝たり、

たまに下の方は濡れ落ち葉になっていて、セーターの一部に

泥がついたりした。




夏から秋に変わりしばらくした頃、

気がつくと、辺りが暗くなっていて、肌寒い。

身をすぼめて歩くと、一枚の落ち葉が、風でカサカサ目の前を

転がっていく。

一年で一番寂しい季節の狭間だ。

高校のこの時期に、好きだった女の子に振られた事もある。

木枯らし吹く山の坂道を、チャリで学ランの片方の手をポケットに

いれたまま、下って行った。

そのせいか!?いやいや、そのせいじゃ無く、この時期はいつもそうだ。

しかし、落ち葉が街路樹にあふれ出すと、なぜかドラマチックな高揚感が

だんだんわいてくる。

むなしさを感じたはずの落ち葉は踏み放題になり、

その上で起きる日常が忙しくせわしく変わり、

年末にかけて、素敵なドラマが身の上に起きるようなワクワク感がでてくる。

もうすぐ今年も終わりだ。

早いね、相変わらず。

やっぱドラマなんて起きないか、いや、期待しよう。