【鳥取砂丘】



鳥取砂丘を初めて見た。

山陰出身なのに砂丘には一度も行った事がなかった。

年末の帰省で、大阪から地元の友人の車に便乗させてもらった。

その車中でその事を話すと、彼が寄ってくれた。




高速を降り海岸方面へ向かうと風景はだんだん砂っぽくなってくる。

海近くなれば、どこもそういうものだろうが、あの鳥取砂丘を

めざすだけあり、その砂がなんとなく多く感じる。

トンネルを抜けて坂を下り、そしてまた上がった時、

遠くに砂だらけの大地が見えた瞬間、いきなり高ぶった。

「砂漠だ!」

光が砂の丘をキラっと走り、砂が空に舞い上がっていた。

周りは緑に囲まれながらも、その部分だけあきらかに砂漠だ。

車は再び坂を下ったので、その風景は一瞬で消えたが、

期待がふくらむには、十分だった。

車は山道を大きく回り込み、お土産屋をバックにした駐車場に入った。

車を降りると、目の前に丘があり、鳥取砂丘入り口の看板がある。

その丘を登り切ると、目の前に鳥取砂丘が拡がっていた。

海からくる猛烈な砂風で、砂丘をまともに見る事ができない。

しかし、振り返り、振り返り見る風景にある砂の丘は結構な高さで、

手前の斜面は少しえぐれ、そこを上まで登るとしたら、

きっと途中で途方に暮れる感覚を味わう事ができるだろう。




あまりの風の強さに辟易して、元の駐車場に戻った。

実は心の底で、ただのビーチの巨大なものだろうと思っていたかも

しれない。

だが、その砂の有様は、ビーチじゃなく、

オレがまだ見ぬエジプトの砂漠の何らかを、わずかだが感じるとこが

できるような風景だった。

ただ思った以上に狭い。

子供の頃、砂丘の広さは16キロと本で読み、

そりゃあ広いと思っていたが、そんな感じはなかった。

地図を見ても、そこだけハサミでジョキジョキ切り取りたくなるような

大きさだ。

その狭い空間にミニチュアのような砂漠があり、

それを国立公園に指定して、みんなで鑑賞するというところに

日本人ぽさがあるように思い、面白かった。

駐車場には外国人の観光客がいた。

顔が濃く、中東系の人かと思ったがそれはわからない。

もし彼らが本当の砂漠を知っているとしたら、鳥取砂丘を

どう思ったのだろう。




お土産屋に入り、梨のソフトクリームを食べた。

鳥取の名産のひとつに20世紀梨がある。

山陰のよしみで、オレは東京で梨を買うときがあれば、

必ず20世紀梨を買う。

そのソフトクリーム、ペロリと美味しかった。