【アトランタパンク】






東京に出てきて嬉しかった物のひとつに名画座がある。

映画館の数自体が田舎に比べると半端なくあるが、

そのうちの半分位が名画座だ。

映画は好きで、できるだけたくさん観たいと思っていたが、

田舎の時には、年に2.3回行ければいい方だった。

だから東京に出てきたばっかりの頃は、ここぞとばかりに

情報誌片手に名画座によく通った。

とにかく値段が安い。

だいたい500円位、たまに300円というのもあった。

とにかく邦画洋画問わず、名画といわれる映画は片っ端から観まくった。

ただ、一つだけ名画座を避けた映画がある。

アトランタを舞台にした映画【風と共に去りぬ】だ。

普通の高い映画館がリバイバルでやっていたのを観に行った。

この映画だけは、名画座の小さいスクリーンより、でっかいスクリーンで

観た方がいい気がした。

それで正解だった。

映画を観る時、オレはだいたい一番前の席で観る。

そうすると、車が右から左に走るのにも目で追わず、首で追う。

その臨場感がたまらない。

映画の中により入り込める気がするのだ。

【風と共に去りぬ】もそうだった。

そしてスカーレットオハラの最後のセリフは忘れられない。

最悪の状況が彼女を襲うが、そこで彼女はつぶやく。

「明日考えよう!」

他の訳では「明日は明日の風が吹く」だったりするが、

オレが観た時の訳は、明日考えようだった。

このセリフ、自分には絶妙だった。

そうか、いろんな事があっても、明日考えようでいいじゃないかと。

今もよく助けられている。

でもいつまで経っても、明日考えようでありすぎる気もするよ。

でもいいのだ、明日考えよう!





そのアトランタからスカーレットオハラの末裔達がやってくる。

ザ、コートハンガース!

3人組のアトランタガールズバンクだ。

パンクと言ってもちょっと一味も二味も違う、不思議なバンドだ。

まさにアトランタの新しい旋風が、明日から日本に吹く。






http://coathangersjp.tumblr.com/