杉本彩が最近、ペットの殺処分に関しての活動をしていたのは知ってたが…その団体が作った啓蒙動画。

しあわせなお買い物

はっきり言ってダメ動画である。

元業界人としてわかるが、確かにペットの殺処分に関してペット業界に問題はある。

どんどん拡張続けたペット市場において、ペットショップは大型化し、扱い高、売上を増やすことに専念してきた。

その中で採られた販売手法として、消費者の衝動買いを煽るような形を安易に使ってきた。私はこれが最大の問題点だと思う。

かつて、商店街やデパートの屋上に有ったペットショップは、次に現れた販売形態の場所へ店舗を写した。
スーパーマーケットやそれを大きくしたショッピングセンターである。

ちなみに私の元の職場はこの世代。
昭和40年代の後半からかつていた会社は一気に店を増やした。
が、平成の頃から次なる形態へ取って変わられるようになった。

主要道路沿いの郊外型大型店舗、また大型ホームセンターへの併設店である。

ペットショップの主要売上は犬猫のフード類である。
これら、コンビニで臨時に買った人はわかるかもしれないが、価格の差がものすごく激しい。

私がいた店でも、フ○スキーやペディグリー○ャムといった有名フードの利益ってものすごく薄かった。
そこまでしないと近隣の店や、ホームセンターに勝てなかった。
ただ、その会社はチェーン店が有ったので数をまとめて仕入れる事が出来た。
そうすると添付といって問屋やメーカーはおまけをしてくれる。
その添付が利益になるという仕組みだった。
つまり、典型的な薄利多売の手法である。
大量に仕入れて大量に販売する。
回転率を上げてなんとか経営が成り立つという、他の商売と同じ道に巻き込まれていったわけだ。

こうなると、大量の在庫、大量の展示が可能な大型店が有利である。

それがペットショップの大型店化やホームセンター併設店が増えた理由と思う。

逆にショッピングセンターの店は、平成になって起きたスーパーマーケットの火災事故により、消防の取締りを受けた事で打撃を受けた。

非常通路や非常階段周辺の在庫の保管が厳しく禁止された。また、ショップの前の通路にあった生体や特売商品の陳列も禁止など、在庫量や販売面積が大幅に減った。

私がいた店は昭和47年から営業してて、その間に本来の店舗面積以上のスペースへ拡げる事をSC運営側から許されていたが、消防の指導で本来の面積に一気に戻された。

そんなこんなで店は数年して閉店(私はインドネシア出た後だが)
会社自体も昨年倒産してしまった。

入っていたショッピングセンターも再編成、大型化のせいかかなり閉鎖されているのである意味仕方ないかとも思う。

そうやって大型化したペットショップ増えたのだが、くるくる回転させて利益を稼いでいるのは変わらないと思う。

この時に必要とされるのは集客力である。

安いフードなんかもその役割を担えるが、
何と言ってもカワイイ生体である。

子犬、子猫を並べてちょっとした動物園代わりにお客さんを引き寄せる。
これは併設しているホームセンターにも有り難いだろう。

という事で、犬猫生体を置くショップがものすごく増えたなあって印象がある(私が現役の時に比べて)


これらの犬猫が効くのは、なんてたって子犬、子猫のカワイイ時代である。
か、このカワイイ時代は短い。
生体はストックしているだけでコストが掛かる。
すると、カワイイ時代に売ってしまえ!となる。
ここでも大事なのは回転率。
その回転率に欠かせないのは、小品の魅力と同時に価格。

かくして、生体が置く店が増えたぶん、生体の需要が増した。
そして価格低下の圧力も。

そこで安く犬猫を生産するブリーダーも。

が、ちょっと考えて欲しい。犬猫って飼うのに金が掛かる。
毎日のフードやおやつ代に、病気になった時の治療代。
犬猫で健康保険制度に入っているのは少ないだろう。
その出費が下手したら二十年近く続く。

殆どの人は家族の一員として迎えて、最後まで付き合うと信じたいが、世の中には不心得ものが混じるのは付き物。

こんだけ生体を集客の道具として利用し、衝動買いに訴えるような販売をしていたら…

そらあ、保健所が殺処分の動物で溢れる筈だ…

つうことで、最近の大型化したペットショップに私はかなり批判的である。
以前から、こんなに生体扱ってやっていけるんか?とずっと疑問的だったし。

自分の店では滅多に犬猫置かず、あくまで客注って形でブリーダーから取り寄せていた。
店での維持費を考えると、儲け得るには難しいという判断。
むしろ、餌代安くて売れ残っても値段上げれるインコ、オウムに一生懸命だったから。

が、だからと言って、殺処分や悪徳ブリーダーによる虐待の問題。
ペットショップの生体販売を禁止し、犬猫飼いたい時は保健所から迎えようってのは問題の解決に成らないと思う。

業界の問題点はつついても、そこには消費者側のモラルって問題点改善は少しもないからだ。

確かにモラルの無い消費者は、ペット業界自体が生み出した責任は一部あると思う。

が、ペット業界がこうなったのも、消費者側に責任有ると思う。

つまり、消費者側の「より安く!」って要望に応えてきたという一面は無視出来ないと思うのだ。

そういう「どっちもどっち」な両面性を無視し、問題があると訴えるのは構わないが、業界側を一方的に悪モン化、悪魔化するやり方。

はっきり言って害多くして利無しと思う。

考えて見ればいい。

生体を保健所から受け入れるとして、その個体に問題があれば誰が責任追うの?
無駄吠え、噛み癖が後からわかればどうするの?
「もらってこれる」って事でペットショップの購入より安易な飼育や手放す事に繋がらないか?
私は好きに慣れないが、行き過ぎない限りは生体を集客に使うペットショップの運営を、完全に否定するのは難しいだろう。
鳥や爬虫類、魚なんかはショップがないと入手が難しい分野もある。

ダメなのは方法や販売形態でなく行き過ぎである。
その行き過ぎは業界と消費者側が両輪として突き進んできたものである。

改善には全面禁止でなく、ある程度の規制で有ろう。
販売側は販売許可取得やその更新に、今より店舗規模や販売実績を反映させた審査が必要かもしれない。

同時に最低価格や販売可能年齢の引き上げと必要かと。

同時に飼育者側も、犬猫飼育も許可制の導入が必要かなあとも思う。

そうやって飼育者に壁を作って不心得ものを減らす…

同時に飼育者のモラル改善を…

こういう飼育者側に訴える、または問題を指摘する事こそ、ああいった団体に必要なのに、一方的に業界叩いて満足ってのは、はっきりいって自己満足の域を出てない。

その辺りで杉本彩の活動にはがっかりしてきたが、あの動画でさらにがっかりした。
残念である。