フィラリア成虫が陽性だった2匹。
保護された当初は陰性だったので
フィラリアの虫の成長サイクルを考えると
保護前後で感染し、
最近になり成虫になったと
考えられる。
なんらかの理由からまだ成虫だけで
体内の幼虫はいない状態というレアケース。
これをオカルト感染というらしい。
成虫のサイズ…聞いてビックリ。
うちのわんこ、普通のトイプードルのサイズを
想定していただいて(5キロくらい)
その小さな心臓の肺動脈に
そうめん1本サイズの虫が存在してる…
そうめん1本…長っ
人間の肺動脈にそうめん1本だって辛い。
それが小さなわんこの体内に
ウチの2匹はその虫が
何匹いるかは分からないけど
幼虫が発生していない事から
数匹程度と予想されるらしい。
病院によってはエコーとかで
詳しく調べるらしいけど
先生的には検査してもいるものはいる、
検査の負担を考えると
あえて何匹いますねーとかまでは
いらないんじゃ…という方針。
私も、共感。
フィラリア成虫は寿命が5〜6年。
その間はフィラリアも生きていたいので
犬は無症状のまま共生します。
ちなみに昔の外飼いのワンコって
寿命が10年前後な事が多くて
だいたいがフィラリア感染による
合併症だったそうです。
感染を毎年繰り返して、
フィラリアの数が増え続け
肺動脈の血管壁を痛め続ける。
5〜6年毎に死んだフィラリアが
肺の中や心臓の中、果ては細い血管に
流れ込んでいって
じわじわ多臓器不全に陥るというのが
寿命10年程度の経過らしいです。
つまり、現状の2匹は
フィラリアがいるからと言って
何かがすぐ起こるわけじゃないので
心配はしなくていいよと先生。
そしてフィラリアの治療について。
①内科的治療(投薬)
②外科的治療
の2つがある。
まず、②の外科的治療は手術。
犬の首の頸静脈を切開して
そこから手作りの釣り具を入れて
右心房、右心室、肺動脈に居る成虫を
釣り上げる
昔はこの方法しかなかった。
でも犬の負担も大きいから
急変時の緊急手術としての役割らしい。
例えば血尿が出てきたとか
苦しそうな咳が出始めたとか
虫によって細い血管や
肺の血管が詰まりかけてきたらやる…的な。
20年前はわりとどこの動物病院でも
やっていたらしいのですが
この20年間で都心部はフィラリア予防が進み
手術件数も減り
技術をもつお医者さんも減っているそうで…
もし手術をするとしたら
田舎の方のベテランの先生を紹介するね
と言われました。
都内でできない手術って
ある意味すごい…
YouTubeで投稿してるクリニックもあるので
エグい画像に興味がある方は
自己責任で検索してください。
ちなみにこの話を人間の心臓の先生に
説明したらレントゲンやエコーを使わず
技術だけで手術してる動物のお医者さん
凄いねーと驚いていました。
とりあえず2匹には手術は必要なし。
そこで①内科的治療について
やはり昔の治療法からで
☆殺虫剤を注射して成虫を駆逐する。
これも20年前くらいまではされていたそうです。
ただ、成虫の数が多かった場合
一気に駆逐するので死骸による
塞栓症をきたすリスクを伴うものだったらしい。
☆ボルバキア療法
フィラリアの体内に住んでいる細菌「ボルバキア」
これにより血管の中でも虫が生きていけるし、
産卵に関与もしている。
なんか難しい話になってきましたが
このボルバキア菌をやっつけると
何故だがフィラリアは体内で生きていけない。
私のイメージだと
フィラリア成虫にボルバキアが鎧を着させてる。
ボルバキアをやっつけると
その鎧がポロポロ剥がれ落ちる
その鎧を剥がしたタイミングで
駆逐剤(虫下し)を使うと
フィラリアの成虫が死滅する。
という感じです。
とにかく難しいのでよく分からないけど
このボルバキア菌をやっつける治療
「ボルバキア療法」が一番良いとされる。
との事。
ボルバキア療法の方法は
①最初の1ヶ月
ボルバキア菌に効果のある抗生剤を毎日内服
②2〜3ヶ月の間
月に1回イベルメクチンを服用。
ミクロフィラリア死滅時の毒素による
アナフィラキシーを予防するために
毎月のプレドニンを
前日、当日はイベルメクチンと一緒、翌日
の3日間服用させる。
この先は犬の様子にもよりますが
かかりつけではこれを2サイクル繰り返して
つまり6ヶ月間投薬治療をして
内服終了時と
さらに1ヶ月後の2回フィラリア抗原検査をして
2回とも陰性で駆逐完了となります。
ただし、イベルメクチンは
その後も最低1年間は毎月投与継続
(普通の予防なら春から秋のみ予防投与)
して、来年の今頃からは
毎年1回検査をして予防に切り替える
という事です。
ふらりと健康診断で行ったのに
病院とは長いお付き合いになるわー
ちなみにその治療費…自費
ワンコ保険未加入に加えて
先生の話だとフィラリア陽性の子は
保険に入れない。
ちなみに保険の種類によるけど
たとえ保険加入していても
フィラリアは感染症だからなのか
結局、保険対象外
との事です。
まぁ、もういいです。
大事な我が子に我が家ができる範囲での
医療を提供します。
①1ヶ月間の抗生剤代
約6000円
②プレドニン3日分(3錠)1000円
③イベルメクチン1錠700円✖️4回分
④採血検査1000〜2000円を2回
⑤診察代500円✖️6回
⑥ノミダニオンリー予防薬 4500円
(イベルメクチンはフィラリア単体用のため
ノミダニ予防も別途必要です)
✖️2匹
です。
安いのか高いのかわかりませんが、
プレドニン1錠の値段高っ
喘息の時に私は処方してもらうのですが
人間の健康保険ってありがたいですなぁ…
犬を飼うって猫よりお金かかるわぁ…
保護団体さんにも一緒に暮らしていた
ワンコがいたので報告をしてあって
同居していたワンコ達はフィラリア陰性
譲渡した責任があるので
治療費を出してくれると言われましたが
我が子なので…お断りしました。
(万が一、我が家が路頭に迷うような時は
頼りますと伝えました😆)
ボルバキア療法期間中の注意事項としては
激しい運動のみ不可。
ですが…
ウチの2匹、ドッグランに行っても
一緒に座ってるしかしないから
大丈夫です。
大きなワンコだとストレス溜まりそうですね
ちなみに今の動物病院に決めたのは
先生が動物行動療法を行っているからです。
先生も保護犬や保護猫を飼っているそうで
優しいし、わかりやすいし
個人的に大当たり病院🎯でした
フィラリアが落ち着いて
我が家に慣れた頃になったら
先生の行動療法と看護師さんのしつけ教室に
通う予定です。
人慣れしないポッポ。
少しだけ人間との距離が近くなりました。
そして噛まなくなりました。
コッコ。甘えん坊で欲張りです。
最初の頃はガリガリで保護団体さんも
心配してくださってましたが
我が家に来てぶくぶく太ってます
かかりつけの先生と看護師さん
毎月ポコポコが受診すると
「お尻の毛は生えたかなぁ〜」と
不思議犬のチェックも欠かしません
なにより
「毎月ポコポコの表情がよくなってる‼︎」
と褒めてくれるのも嬉しい限り
というわけで、
ワンコのフィラリア予防は
とっても大切ですよー…
ちなみに。
6ヶ月治療をして駆逐したフィラリア成虫が
体内でどうなるのか…
先生に聞いたら
「もやもやするでしょ〜
私もボルバキア療法開始時から
もやもやしてるよの〜。
調べても分からないの〜」
という事でした。
先生の仮説では
ボルバキア菌という鎧が剥がされると
ただのタンパク質のフィラリアは
血液中の免疫機構により少しずつ
ボロボロに破壊されていく。
完全にいなくなる事はないと思うけど
最終的にそうめんがミクロサイズまで細かく
粉砕されるのではないか〜と。
フィラリア、嫌な虫だけど
不思議すぎる。
今年の夏のおちょこ自由研究は
寄生虫に決まり。
寄生虫博物館に行ってこよっと。