おかしいなあ


いったいいつから

怒ったり
涙をながして悲しんだりすることが
「よくないこと」になっちゃったんだろう?



火をふくような怒りや洪水みたいな悲しみには

わたしにとって
あなたにとって

ほんとうに大切なものがかくれているというのに




そこにあるのは


これが
 
このことこそが


わたしにとっては

大事で
大事で
大事なんだ!


というたましいの叫び



そんな叫びを無視するなんてあんまりだ

あまりにもわたしがかわいそうじゃないか




いかれ
いかれ
いかれ!


怒りに怒って
底の底のその先にある大切なものを
炎の中からすくいあげろ



なけ
なけ
なけ!


泣きたいだけ泣いて
なみだの洪水にただ流されてしまうのを
ほこり高く
自分にゆるしてしまおうではないか



深い沼からうかびあがる前には
だれだって
いたみにまるごと身をひたして

静かにはげしく
喪に服する時間が必要なのだ




その時間の中から
目には見えない栄養をもらって


わたしたちは

きょうから
また生き始める