TPP:なぜ、そこまで秘密にこだわるのでしょうか | 浜田和幸オフィシャルブログ Powered by Ameba

TPP:なぜ、そこまで秘密にこだわるのでしょうか

環太平洋経済連携協定(TPP)に関する閣僚協議が「最大の山場」を迎えています。

今夜も甘利経済・財政大臣とフロマン通商代表の間でコメや自動車分野について突っ込んだ交渉が継続中です。

とはいえ、TPPの最重要テーマはコメでも自動車でもありません。

このことが、秘密交渉の影響もあり、わが国では理解されていないようです。

実は3月25日にウィキリークスによって明らかとなったTPP合意草案を読めば、この自由貿易協定の最大の眼目は「投資」条項にあることが分かります。



曰く「交渉がまとまっても、まとまらなくても、4年間は交渉過程を公表してはならない」。

民主主義国家で自由貿易を標ぼうする12か国の協議でありながら、なぜそこまで秘密にこだわるのでしょうか。

その答えは「投資」条項案文の随所に散りばめられた「多国籍企業優遇策」に隠されています。

交渉参加国の国内企業ではなく、グローバルな多国籍企業が進出先で利益を得られなかった場合、その国を相手取って補償を請求できる仕掛けが織り込まれているのです。

しかも、そうした訴訟に際して判決を下すのは3人の民間の弁護士で、原告、被告の所属する国の法律は一切無視してかまわない、という驚くべき内容。



たとえば、マイクロソフトが日本市場で損失を計上した場合、同社は日本が自由な競争を阻害している、として日本政府を訴えることができるわけです。

そして、日本の法律に関係なく、双方から指名された3人の弁護士が裁定を下すことになります。

こんな理不尽な、そして国益を損なうような条項が認められていいのでしょうか。

一事が万事。

TPPには自由貿易の拡大という美名の下、国家の存立を危うくするような時限爆弾が数多く仕掛けられているようです。

秘密にしなければならないような自由貿易交渉のあり方そのものに問題があることを強く指摘せねばなりません。