井上恵一「後北条氏の武蔵支配と地域領主」

さいたま市の図書館にお願いしたら、購入してくれました。ありがたや。
(まあ、さいたま市が誇る戦国武将・太田資正について詳しく論じている書籍なのですから、購入してくれて当然とも言えますが!)

この週末は、早速貸し出し第一号となり、床に寝転びながら少しずつ読み進めてみました。ゴロゴロ。



太田資正の岩付(岩槻)領に対する統治については、黒田基樹編「岩付太田氏」や「岩槻市史」、新井浩文氏の著作などで結構勉強していたつもりでしたが、また切り口が異なるため新たな発見がありました。

井上恵一氏は、太田資正の岩付領支配を他の周辺領主の自領支配と比較して論じてくれていています。私のような素人愛好家には新鮮で、またとてもありがたい点です。

「太田氏の領域支配は、現存史料のうえからは、文書点数及び支配下郷村数などから、周辺の地域領主である成田氏・上田氏・深谷上杉氏等に比してはるかに進んでいた。資正は近隣の武将たちとは異なり、岩付領内の在地武士や寺社に対する保護と統制につとめ、その上級領主として成長していった」(p.129)


「その発給文書のなかには、配下の寺社に棟別銭免除の特権を与えたり、比企左馬助を比企郡代に任命したり、足立郡赤井坊の境内を立野に定めて竹木規制を行い、比企郡三尾谷郷に伝馬の制を施く等、大名とさての性格を伝える事例も散見される」(p.130)

太田資正はやはり、武蔵国において、他の周辺領主と比べて一味違う男だったようです。

さすがは我らが資正です。


後北条氏の武蔵支配と地域領主 (戦国史研究叢書)/岩田書院
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