デベ・ゼネコン編 長谷工(9) -”売主のつもり”で配慮を... | はるぶーのマンションヲタクな日々

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マンションのモデルルームがあるとたとえ外国でもふらふら入ってしまったり、
管理組合の理事会には思わず立候補する人って多いですよね。(多いはず)
なのにあんまり管理組合の苦労とかのブログって見ないので立ち上げてみました。

 長谷工はその(3)でも扱ったように土地持ち込み型で工事を受ける特命受注を基本にやっている会社です。
その(3)はこちら→ http://ameblo.jp/haruboo0/entry-11447424403.html
 
 自分自身が売主になるわけではないから(なっても主幹事ではない、JVの最後のほうに名前を連ねているだけ)万が一売れ残っても自分が損失を被るわけではない。
 要は安く、クレームが出にくいのをつくればいいわけで、長谷工自身が売れるかどうかを真剣に考えているとは思えないことが多いように思われる。
 
 これについては、まるでお金だけ出せば儲かるかのごとく錯覚して発注をかけて丸なげするデベが悪いともいえるけど、製販一体方式をとっている野村あたりが元気がいいのに比較すると失敗したーという企画を出しやすい傾向はあるのではないかな。
 やはり企画をたてた人と、MRで生の声を聞く人が近くでお話できるってのは大事なんではないかなぁ... 売主側が、多分図面に朱をいれまくったであろうと思える物件では結構成功例もあるんだけど、放置すると... ってんでちょっと3点ほど苦言を。
 
[1] 二重壁
 
 垂直なコンクリの壁にそのままクロス直貼りで仕上げ可能なように平滑に仕上げるには腕のいい左官職人を雇わないといけないからコストアップになるのは判る。じゃーってんで壁を二重にすると、GL工法のような音がひどいことになる工法はさすがに避けるから、かなり壁をコンクリから浮かせてつくらないといけない。

 中住戸だと両側で5cmずつほど部屋が狭くなる。もともと田の字で6m代前半なんてスパンを得意にしているわけで、600cm代しかない部屋が両側で10cmも壁をふかしてしまったらかなり中は狭くなるわけで、専有面積も、居室面積も壁芯で測るから実際には間取り図上では見えないロスになります。
 せっせとメジャーで計らないと気がつかないけど、なにせ都内のマンションの平均価格は、1万円札の面積を買うのに1万円です。
 
 長谷工風にやっても隣との遮音は直壁には劣るというのが定説で、実際に村上健さんの内覧会報告ブログだとHSKででてくる物件は、いつもちょっとだけ音の体感検査の結果が弱い。これを気にしないとしても、ろくな”メリット”はなく(ボードにビスうちできるくらいかな)単純に魔法瓶のように壁厚に食われて狭くなるだけ消費者には損である。
 
 一方、これ売主側にはメリットがあって、クロス直貼りでやるとコンクリは必ず縮んでひび割れがでるものだから(これは誰が作っても一定数でるのはどうにも仕方がない)一定の確率で住戸のクロスにひび割れがはいったーってクレームが発生する。これが2年以内とかに発生したら、まぁアフターでタダで直さないといけないから収益を圧迫する。
二重壁でやることでクレームを抑える効果は多分間違いなくある筈。
 でもこれ”収益を最大化”する観点からはよくて、”長谷工の株主”にとっては結構なことかもしれないけど、すくなくとも購入者目線での選択ではないと思うな。
 
[2] 容積率の安易な消化
 
 売主の長谷工への注文は、容積率は完全消化、何戸分ぶっこんでくれってなもんで、できるだけ直方体で簡単な形の箱を敷地に入れていって容積率いっぱいまでなんとか収めればおしまいって感じで、配棟計画が大雑把な場合が多い。
 建物を離してしまって多棟申請にすると個別に建築申請を通さないといけなからかなりなコストアップになる。。えいやっと建物と建物をくっつかんばかりに設計して、ま地震があるからEXP-Jでつなげばすごい棟数に見えるのが、実は一棟申請で収まるから相当に設計段階でお金が浮く。
 
 で...えいやっと日の字、目の字みたいな配棟のマンションをつくったりするんですが、確かに建築坪単価は最小化されているのは判るけど売れ残るとかなりやばい。
 自己日陰図をだせとか厳しいことを言わない顧客に青田売りで売ることに失敗して、もしも『堂々完成』してしまったりすると、客は実物の採光状態を確認可能になってしまうから”日の字”や”目の字”の角になるような影に入る部屋は買ってくれなくなる(これは碓井さんも著書で毎回指摘しているけど全く同感である)
 
 Twitterで『目』の字の形の配棟を見たことがあるとかいったら信じてくれない人がいるので証拠の写真でも。 目っ...↓ 

目の字の配棟

 
 
 
 個別のマンションのケチをつけるのが目的ではないからマンション名は書かないけど、500戸を大きく超える戸数に対してEVも100戸に1つくらいしか入っていないし、”庭を自慢”にしていたんだけど、庭の南北幅が建物の高さとそう変わらない。
 関東は冬至の太陽は南中時でも自分の1.7倍の影ができるわけで、真南向けで全く日がささない低層階の自己日陰をつくるのはどうかなぁ。。。自己日陰による日陰図を出してもらって見たけど(案外出せと言わない客が多いらしい)いろんな向きから複雑に日陰になります。これで”1棟”ってのはうーんとか思った記憶がある。MRのイメージビデオでは、建物がワイヤーフレームで透明になってました...
#光学迷彩が実用化されているわけではないよなぁ・・・ 自分で自爆する日陰は確か建築基準法の日陰規制の対象外
 ずっと日陰って部屋をつくっても法的には無問題だったはず(もう何年も宅建とってたってるから制限法令は怪しい)

 
 まぁ売主がこれでよろしいといったんでしょうけど、”自分自身が売主”でも本当にこう企画したかなぁ。。。
 
[3] 共用部分企画

 
 実はうちの隣で建築協定書の締結も済んでせっせと基礎工事をしている隣地のマンションも施工は長谷工。土地持ち込みで、図面も長谷工だと思われる。
 
 守秘義務もあるからあんまり書かないほうがいいけど、この物件普通に70㎡とかのファミリー用に戸割りを刻んでごく普通のマンションに企画している割には、駐車場が身体障害者用こみで2割しかない。うち100%で80%まで埋まってます。まるでたらんでしょう。
近隣の駐車場相場は月2.5万円です。どうみても値段で勝負といかないと売れないんじゃないかな。容積率が広い道に面してて緩和されてて400使えるせいで、駐車場設置率が低くなっているんだけど、都心でもあるまいし、車なしって人だけ集めて売りなさいでは無理なものは無理。図面引いた段階で売れ残りがちなのが確定していると思うんだけど、その企画を受ける売主。。。大丈夫なのかなぁ。。。
 やっぱうちのマンションの駐車場を課税の問題をクリアして貸してあげるんかねぇ。。。100台くらい余っているけど(→Kさん(笑))
 
 売主は電鉄系で沿線では豪快に2割引とかで売れ残していて100㎡マンションを坪80万とかで売っている;どうみても順調にもうかっているとは思えないんだけどなぁ...
 
 隣地マンションの対策協議会は正副3人の会長で回していたけど、全員でこれいけてないよなーとかため息をついていた。これも”自分で売る”なら絶対やらないだろうなぁ。。。 おそらくはそのまたお隣と併せての地上げに長谷工は失敗したんでしょうが、ペンシルマンション状で視界の過半がうちのマンションってのを完売するなら大幅値引きするしかないでしょう。お隣に激安の築年数がずっと新しいマンションが建ってうれしいことはなにもないんで、建築が進むのをみながらため息を。。。。
 
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 以上まぁ褒めたりけなしたりしたけど長谷工篇はこれでおしまい。
マンション専業のゼネコンとして最大戸数を施工している自覚をもってやって欲しいです。
 

 まとめページこみでぴったり予告通り10回でした。
まとめ篇のっけて、テーマを”管理組合”にちょこっと戻すかな。


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