はいどうも。

スーパーご無沙汰です(」°ロ°)」オーイ!!

 
思い起こせばほぼ2か月まえ…
がんばって連続UPしているさなかにPCが入院したことをきっかけに、更新がさっぱり止まってしまいました
書いたお話はPCとスマホで共有してるんですけど、長い文章をスマホで入力するのはどうにも苦手でして(・Θ・;)アセアセ…
PCが戻ってきてからも、なんだかんだもだもだしているうちに蓮誕もバレンタインも過ぎ去ってました
 
気がつけばもう春が目の前ですね
某温泉地に行ったら桜は咲いているし、しばらくログインしないうちに我が家がパチスロジャンルに振り分けられてるし…Σ(T□T)
時の流れは早いもんですね
 
さて、本日はお話の続きではなく小話です
ここで勢いつけて、終わっていない続き物など書いていけたらと思います
嬉しいことにキリ番的な申し出もいただきましたし
ぼちぼち進行いたしますので、お時間ございます時にお付き合いいただけると幸いです
 
相変わらずタイトル迷子です
誰かタイトルだけつけてくれんかな…
_:(´ཀ`」 ∠):_うぅ・・・
 
 
 
 
★─☆。o゚。★─☆。o゚。
懐古談
★─☆。o゚。★─☆。o゚。
 
 

「キョーコ、あのさ…」

 

長い冬が少しずつ去り、白い景色が桜色に変わり始める季節。

じきに撮影が始まる新作映画の役作りのため、書斎に籠っていた蓮がリビングへと顔を出した。

一度集中し始めたら、その集中力は凄まじいもので、なかなか自室から出てこないはずの彼が一時間と経たずに戻ってきたことに驚きつつも、キョーコは口をつけていたティーカップをテーブルに戻して、優しく微笑んだ。

 

「どうしたんですか?そんな顔をして」

 

いつもの余裕のある優雅な表情はどこかへ消え、眉の端をハの字にまで下げ弱り切った顔でキョーコのもとへ蓮がやってきた。

そんな様子の蓮は珍しく、滅多にお目にかかれない貴重な姿に、半分心配事半分わくわくしてキョーコは腰を浮かせた。

 

「あの、ちょっと教えてほしいんだ」

 

そういって台本を握ったままキョーコを見下ろす蓮。

見下ろされているはずなのに、なぜかすがるように見上げられている錯覚を覚えながら何事かと尋ねた。

 

「キョーコ…【やぶさか】ってどこにある…?」

 

「…………え??」

 

「台本に書いてあるんだけど、坂道とか全く関係ないはずなのに突然【やぶさか】って…そんなに有名な坂なのか、そこは?」

 

台本の話に繋がりが見いだせず困惑している彼のカップに温かいコーヒーを注ぎながら、キョーコはは自分のソファの隣を促した。

 

日本に来てからの年数はそろそろ両手を埋めるほど。普段何の違和感もなく純粋な日本人として過ごす彼だが、時々こうしてわからない単語をキョーコに尋ねる。気恥ずかしそうにしながらも、蓮が決して他人には見せない一面を自分にだけ時折見せるこの瞬間が、キョーコは実は大好きだった。

 

「【やぶさか】っていうのはですね…」

 

 

一通り説明を終えると、ふんふんとなにやら納得した様子で蓮台本を読み返している。

 

「【やぶさかでない】っていうのは本来【よろこんでする】っていう意味なはずなんですけど、【しょうがないなからする】ってことだと思う人が多いんです」

 

「なるほど…日本語は奥が深いな…それにしても、坂だと思っていた俺って…」

 

「まあ、たしかにそんな坂もありそうな名前ですよね」

 

疑問が晴れて安心したのか、蓮はソファの背もたれに自分の背を預けた。

 

「なんだか懐かしいな。あの時は鶏の正体がキョーコだなんて夢にも思わなかった」

 

「忘れてください…あのころの勘違いのせいでで私…」

 

「それもこれも全部今こうしていられることにつながっているんだと思えば、必要なことだったんだよ」

 

「敦賀さん…」

 

隣に座るキョーコの肩をそっと抱き寄せる蓮の顔に、先程までの憂いは少しもない。

ふわりと暖かい香りに頬を寄せて、キョーコは深く深呼吸する。

何年経っても敦賀セラピーは健在で、いつでもその恩恵を受けられるような関係になっても、キョーコにとってそれは特別なものだった。

 

心ゆくまで堪能していると、いつの間にか蓮の膝に乗り上げるような格好になっていた。

 

「なに…俺、誘われてるの??」

 

揶揄うような言葉とは裏腹の熱の籠った眼差し。

どんなに時間がたっても夜の香りを纏った蓮には慣れないし、これから先も慣れることなってできないと断言できる。

 

慌てて身体を離したキョーコを、逃さないというように腰へ回した腕に力を込める。

 

「ごめんなさい…まだ役作りの途中でしたよね」

 

そんなことよりこっちの方が…などと内心では思っていても、先輩役者としても彼女の一番でありたい手前、簡単に切り上げることはできない。

 

「うん、もうひと頑張りしてくるよ」

 

名残惜しさを振り切って立ち上がった蓮をキョーコは台本を手渡しながら見上げた。

 

「晩ごはん、リクエストありますか?」

 

「うまいオムライスがいいな」

 

「マウイ?」

 

「う、ま、い」

 

顔を見合わせて笑い合い、この穏やかな時間をかみしめてキョーコの額に口づけた。

 

「それじゃあ、夕飯を楽しみに行ってくる」

 

「はい」

 

優しい笑顔のキョーコに見送られて、蓮は書斎へと戻っていった。

 

 

テーブルの上には、きれいに空になった蓮のコーヒーカップ。

キョーコが作ったものだけは必ず完食してくれる蓮の愛情は、たとえコーヒー1杯でも例外ではない。

 

「う〜っ、よっし!」

 

そんな蓮のために少しでも喜んでもらいたくて、気合を入れたキョーコは意気揚々とキッチンへと向かった。

 

 
 


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