ブックカバーチャレンジ
4日目
「都の女」 円地文子 著

東京の愛人は元芸者で、しっかり者。
公家出身のおっとりした正妻。
しとやかな京女は一番怖い。

女性は本能的に貞女を疑ってかかるが、
男性は騙されたがっているようでもある。
男は夢を見ていたいし、
貞女を罵る女性こそ鬼のようだ、
と恐ろしく見えてくる。

夢に浸っていた男は、
初めてのヨーロッパ旅行中、
カプリ島で急死。

ラストは奈良の浄瑠璃寺、
吉祥天女が出てくる。
私は家族のすすめで拝観したことがあって、
香り立つふくよかな美しさだった。
東洋の謎めいた美は
クライマックスに相応しい。

円地文子さんと言えば
源氏物語現代訳が有名だが、
この年代の小説が好き。 

1960年〜70年代の日本。
出身地、立場によって言葉遣いが違う。

人々がそれぞれの事情を抱えながら
強く生きていて、
じとっとした湿気も漂っている。
情が絡み合う。

年老いた放蕩息子の哀愁や、艶っぽさも、
この時代ならでは。
今や地味な生活を送る中、
時たま昔日の恋がさんざめく。 



5日目
「世界悪女物語」 澁澤龍彦 著

表紙はルクレツィア・ボルジア。
やはりルクレツィア好きだよね、著者は。

悪女は美貌と権力を駆使して欲望を貪る。
或いは、
一本気で可憐な女性もいたかもしれない。
後世に歪められた情報で
語り継がれる場合もある。
(彼女達が男性だったなら、
    話は違っていたかもしれない。)

 「日本には悪女がいない」と澁澤氏は語る。
西洋・中国とはスケール感が違うらしい。
当時は西洋にばかり目を向けていたからかもしれない、と著者自身が振り返っている。

日本はサポートに徹するのが
女性の美徳とされてきたからか、
システムの問題か。

市井に生きる女性たちは
のびのびと自由な印象もあるけど?
国を揺るがす野望となると、また別か。


著者は確か「快楽主義の哲学」の中でも、
美食を重んじる西洋に比べて、
日本は質素な食事を尊んできた
と書いていたような。

澁澤龍彦を読みたくなる時期が、ある(笑) 


無関係な2冊を選んだつもりで、
実はイタリアつながりだった(笑)

イタリア行きたい(泣)

via 松永 紀見子 SINGER
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