HEAT〜男なら、己の行く道を譲るな‼︎〜 | 明日から真似したくなる漢の映画

明日から真似したくなる漢の映画

男子総草食化が叫ばれる、昨今。
男なら明日から真似したくなる映画を紹介していきます。
たとえ真似したところで、明日が全然変わらないにしてもだ!

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~パチーノ&デニーロ!役者バカ2人がシノギを削る!~

映画は90分だ!!
2時間も黙って見るほど尻の皮は厚くねえよ!!
そんな風に思っていた時期が俺にもあった。

最近では2時間越えの作品も最後まで見れるようになったので、あの頃に比べれば俺の尻の皮も厚くなったなあ・・・
しかし、尻の皮が1デニールくらいの薄さしかなかった俺でも、かつて食い入るように見てしまった映画がある。
それも約3時間。
アルパチーノ、ロバートデニーロ共演の映画「HEAT」である。
思えば20年位前だろうか。
当時、親が共働きであった。
留守番中は「映画でも見ておけ」といわんばかりにテーブルの上にレンタル屋で親が借りたであろうビデオが二本、テーブルの上に必ず置いてあった。
例えば「ジョーズ87復讐編」と「13日の金曜日~ジェイソンNYへ行く~」、次の日は「フレンチコネクション」と「ドラゴンへの道」といった具合だ。
子供の情操教育としてどうなのよ?といわざるおえないチョイスであったが、今思うと完全に親の趣味じゃねーか!!
それはそれとして、俺は親が趣味で借りたであろう映画を見ては留守番をしていたのだが、その日の映画は一本だけであった。
タイトルはHEAT。
当時はボディヒートなんていうエロい映画があり、俺の頭の中には「HEAT」が語尾につけばエロい映画なんだろうなあ!!」という公式が出来上がっていた。
だが、エロい映画が始まると思ったら、のっけからデニーロですよ。
そしてパチーノ。
いざ蓋を開けたらデニーロとパチーノがシノギを削るという。
俺の別な意味での「HEAT」はクールダウンするのだった。
だがまあ、見始めたら付き合うしかあるまい。
最初は家で寝転がって見ていたのだが、プロとプロの譲れぬ意地、男の美学、そして12分間のロサンゼルス大銃撃戦を見せつけられ、気が付けば正座して見ていたのを覚えいている。
今思うと内容を十分に理解してなかったとは思うが、12歳そこらの俺を正座させる位の説得力がヒートにはあった。

あれから俺も随分年を取った。
というわけで最近、HEATをいい年になってから見返したのだが、非常に沁みる映画になっていたのだった。
今回はパチーノ・デニーロ尽くし‼︎HEATをご紹介します。

ロサンゼルス。
ニール・マッコーリー(ロバート・デニーロ)は強盗のプロであった。
クリス(ヴァルキルマー)、チェリト(トムサイズモア)トレヨ(ダニートレホ)という濃すぎる面々を纏めるリーダーだけあって仕事は冷静沈着。
そして「仕事で下手を打ったら30秒で高跳びしろ、高跳びの邪魔になるものは持つな」を信条とする、私生活もストイックな男であった。
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今日も現金輸送車を襲い、まんまと資産家の証券を強奪したニールたちだったが、日雇いで仲間に入ったロンゲのハゲが警備員を射殺、やむなく居合わせた警備員全員を撃ち殺す羽目になってしまう。
予想外の事態はあったものの計画通り華麗に逃げおおせたニール一行。
それでも怒り心頭のニックは、調子に乗ってペラペラ話すロンゲハゲをファミレスのテーブルに打ち付け、連行!!
人気のない駐車場で始末しようとするが、一瞬の隙をついて逃げられてしまう。
しかも証券を交換する場において裏切りにあい、今回の仕事の報酬がゼロになってしまうのだった。
一方、強奪事件の担当になったのが、LAの刑事・ヴィンセント・ハナ(アルパチーノ)
捜査の際は常に瞳孔が開きっぱなしの仕事の鬼だ。
その鬼っぷりのおかげでプライベートでは3度目の離婚にリーチが掛かっているものの、捜査に入れ込むヴィンセント刑事。
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どうやら、今回の事件は並みの悪党の犯行ではない。
プロの犯行だと当りをつける。
そんなヴィンセント刑事とは対照的に、次の仕事に取り掛かろうとしていたニールだったが、本屋の女性店員と月9のような流れで恋に落ちてしまうのだった。
プライベート犠牲にしながらもジリジリと追い詰めるヴィンセント
恋人との生活の為、最後の大仕事に挑もうとするニール。
白昼のLAを舞台にプロVSプロの戦いが幕を開けるのであった・・・

パチーノ!デニーロ!パチーノ!デニーロ!ヘビーローテーションが続く171分。
見る者、というか少なくとも俺を飽きさせない。
12分間におよぶ銃撃戦ばかり取沙汰される作品ではあるが、何と言っても171分間、ひたすら男の道を突き進むデニーロとパチーノだろう。
女性とのあれこれもあるが、コーヒーで言えば、もう限りなくブラックに近い微糖だ。

例えば、デニーロの場合はこうだ。
犯行現場でロンゲハゲが警備員を殺せば、証言者を残さないために、他の警備員も全員殺すという判断を5秒そこらでやってのける。
この問答無用ぶり。
問答無用ぶりは仕事だけではない。
相棒のクリスの妻が昼顔していると分かろうものなら、現場に乗り込んで説教!!
「だって、旦那が家庭を顧みないから・・・」
と言おうものなら「それはそれ、これはこれ!!チャンスをやれ!」とゴリ押し。
「いや、でも・・・」と言いよどむクリスの嫁さん。
「いいか。チャンスをやれ!!
もうクリスの嫁さんも頷くしかなかった。
仕事仲間に説教するやつはいっぱいいるかもしれないが、その妻の浮気現場まで直行して問答無用で説教するというお節介ぶりを披露!!
そんな男気マックスなニールに最後の仕事を頼まれた日には断る者はいなかった。
そして銃撃戦でクリスが負傷すれば肩を貸して救出!
担ぎながら片手でアサルトライフルを打ちまくるデニーロ!
かつて酔っぱらった後輩の肩を担いだ時、俺もデニーロ気分になったものだ。
その後に盛大に嘔吐されたのだが。
まあしかし、このデニーロの理想の上司っぷりは、男なら明日から真似したくなる姿勢だ。
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そして死にかけのトレホを介錯し、逃げればいいものをロンゲハゲにきっちり落とし前をつける。
この例え追い詰められていても己の仁義を通す姿勢も男なら明日から真似したくなる。

対するパチーノはというと、今作の中で一番ヒートしていると言っても過言ではない。
捜査の際は、並みの黒人ラッパーでは勝てないような口の悪さを見せる。
そして的確な指示を瞬時に下す、頭のキレにも定評のある鬼刑事。
黒いスーツおよびシャツのおかげか、キレまくる古畑任三郎の様相を呈している。
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しかし、仕事に比べ、プライベートはクールダウンしていた。

「会えばいつもセックスばっかり。アタシに心開いてないじゃない。あんた少しは家でも仕事の話をしてよ。」と嫁さんに言われれば俺は片足を地獄に突っ込んでる。今日はヤク中が自分の赤ん坊をレンジでチンした・・・そんな話を家で聞きたいのか?」と問うパチーノ。
このハードコアな返答は、男なら是非真似したくなる。
だが、嫁さんの心は離れるばかりであった。
そんなパチーノが帰宅すると、今度はソファに見ず知らずの男が座っている。
どうやら浮気相手らしい。
もう矢〇真理並みの修羅場だ。
「まさか、旦那さんがいるとは・・・」と立ち上がろうとする浮気相手を「いや、いい。座ってろ。」と冷静に制するパチーノ。
さっそく口論に発展する夫婦。
「やっぱ帰ります・・」と腰を上げようとする浮気相手にいいから、てめえは黙って座ってろ!!」と、さっきまでの冷静さをかなぐり捨てて浮気相手を制するパチーノ!
結果、「ソファも家もお前のもんだ。だがな、このテレビは俺のもんだ!!と嫁さんにブチ切れ、雑にテレビを持ち去るパチーノであった。
付き合っている相手の浮気現場に遭遇したら、通常であれば唖然とするところだが、このキレながらテレビを持ち帰るパチーノの姿勢は、男なら明日から真似したくなる姿勢だ。
また俺としてはキレるパチーノが出る作品に駄作は無い!と確信するのだった。


そして、銀行襲撃前日。
尻尾を掴ませないデニーロをパチーノが「茶でも飲まねえか?」と誘う。
いよいよコーヒーショップで対峙する二人。
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パチーノは、いつしか並の悪党ではないデニーロにリスペクトじみた感情を抱いていた。
お互い見た夢を話し合うなど中学生のようなトークをしつつもうヤマを踏むな。」と忠告するパチーノ。
だが、デニーロにはプロとしての自負がある。
譲れない意地がある。
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「それが俺の生き方だ。俺はヤマを踏む。あんたはそれを追いかける。お互いにプロだ。これ以外に道を知らない。」と返すデニーロ。
それはパチーノも同じであった。
「探す気もない。」と二の句を継ぐのだった。
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これ!!
痺れるなあ…
そして、似た者同士の二人は「今度会ったら躊躇せずに殺す。」と約束し、お互いに店を出るのだった。
このコーヒーショップの下りは、市街の銃撃戦以上に燃える。
むしろ、このイントロがあってこそといっても過言ではない。
俺だったら「はい、すみません、失礼します」と即効帰りたくなるが、デニーロは違う。
そんなイモを引くような真似をしない。
男は誰しも自分だけの掟をもつ。
それは誰かに与えらたものではない自分だけの掟。
辞めろと言われて辞めるようだったら、とっくの昔に辞めてるよ、という、この意地。

立場は違えど、プロとしての譲れない意地で繋がっている二人だからこそ、その後の避けられない激突が俄然盛り上がる。
このパチーノとデニーロの一連の流れは、男なら是非明日から真似したくなる姿勢だ。

というわけで2人の役者バカがしのぎを削る本作。
そして、男のワガママに付き合う女優陣の演技、ハリウッドのキムタク時代のヴァルキルマー、どんな映画でも相変わらずナンバー2ぶりが光るトム・サイズモア、相変わらず死ぬトレホ!!も必見だ。
20年以上の前の作品ながら、また俺は正座して見てしまったのだった。
時代を超えて男を正座させる、この説得力。
今、己の掟を持っているかどうかと言われたら、多分ない!!としか言えない。
だとしても、明日から真似したくなる漢の映画である。



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