ご存じ、尾崎豊の「15の夜」の歌詞である。
30才になって思う。
15の夜より30の夜のが重いなあ・・・。
そんなことをボンヤリ思いながら、一人家路に帰る日々。
いい年してバイクを盗むわけにはいかない。
ましてや、おいそれと行き先もわからないまま走るのも無理がある。
なら、どうすればいいのか?
ここに来て映画デルタ・フォースのチャック・ノリスは俺に明確なアンサーを出してくれた!
武装したバイクで走り出せ、と。
行く先はテロリストのアジトだ!!
いや、何でチャック・ノリス!?
ていうか、そっちのが無理があんだろ‼︎
という意見は、この際無視して、今回はチャックノリスのデルタフォースをご紹介します。
このデルタフォース。
何でも最強と言われるアメリカの対テロ特殊部隊の名前だそうです。
もう飲み会なんかで女子に語ったら、間違いなく次に飲むチャンスを失う知識ですな。
だが、世界最強といわれる理由は、今作を見れば分かる。
そう、チャック・ノリスがいたからだ、と。
中東系の意識の高いテロリストによって、ジャンボジェットがハイジャックされ、デルタフォースが出動する!と聞くと「頭の悪い中学生が考えるようなあらすじだなあ!!」 という人がいるかもしれない。
だが、そんな予想に反して、開始早々ハイジャックの緊迫した様子が描かれる。
やたら場所や時間が実録調に表記され、乗客の悲喜こもごもの模写など、ディティールも細かい。
というのも、最近ではビンラディン暗殺作戦をベースにしたゼロダークサーティという映画がありましたな。
恐らく当時としては、あんな感じノリだったのだろう。
あくまで前半は。
一方、気になるノリスの動向だが、田舎の農場に引っ込んでいた。
しかし事件をキッカケに呼び戻される… ていうか、農場暮らしが暇だったのも手伝って勝手に部隊へ押しかけてくるのだった。
男には卒業という言葉は存在しない、という、この姿勢。
男なら、明日から真似したくなる姿勢だ。
そして、いよいよチャックがテロリストに接近していくに従って、映画の中のノリス濃度は急上昇していく。
それに反比例して偏差値もドンドン下がっていく!
チャックノリスにとって、シリアスな前半も、前フリでしかないのだ。
ここからは、俺たち頭の悪い中学生の出番だ!
前半の遅刻を取り戻すがごとく、雑な変装の潜入作戦から始まり、サブマシンガン片手に敵のアジトに無造作に乗り込むなど、デルタフォースというよりノリスフォースじゃねえか! という展開が始まる。
いわばチャックノリス版・雑なゼロダークサーティですな。
だが、さっきも言ったが実際の事件をベースにしてる、との事だったので、実際にチャック・ノリスが何とかしたんでしょう。
この鬼神のごとく暴れ回る実録ノリスを見れば、チャックノリスファクトが笑えなくなると言っても過言ではない。
ゼロダークサーティを見ていたはずが、気がつけばコマンドーになっていた、といえば、俺の動揺を少しは理解して頂けるだろうか。
しかし、ゼロダークサーティとコマンドーを一本で楽しめると思えば断然お得じゃないの! と思うことにしました。
そしてラスト、人質の救出に成功したチャック以外のデルタフォース。
いい感じで見ているコッチも馬鹿になったところで、ノリスは、そりゃあもう、気兼ねなく暴れます。
そうでなくても強いのに、ミサイルおよびマシンガンで武装したバイクでテロリストの元へ走り出す、という・・・
時間にして朝5時。めざましチャック・ノリスという、地獄のような朝をテロリストに届けるのだった。
言ってしまえば、尾崎豊の「15の夜」より「ノリスの朝」のがタチが悪い。
と、同時に男なら盗んだバイクではなく、武装したバイクで走らなければいけないという真理を見る者に感じさせてくれる。
この姿勢も男なら明日から真似したくなる姿勢だ。
そもそも照準もなしにミサイルをどうやって飛ばしてるか?とか良い大人は言うかもしれんが、俺は、こう答える。
νガンダムみたいにサイコフレームみたいなもんがあるんだ、と。
えーなんだ、チャックフレームとか。
結果、「チャックノリスは伊達じゃない!」という活躍を十分過ぎるほど俺たちに見せつけると、テロリストの主犯が逃げ込んだ家の窓をバイクでブチ破るノリス!
派手な登場を決め、そのままタイマンに持ち込む。
しかしテロリスト主犯の意識が、いくら高かろうと相手はブルースリーとタイマンを張ったノリスだ。
結果は火を見るよりも明らかだった。
というわけで気の毒になるほどチャックノリスファクトを叩き込まれるのだった。
ホラー映画の登場人物のように、何とか命からがら車に乗り込む主犯。
そんな主犯をしり目に、チャックはバイクで走り去っていく。
俺も気がつけば、テロリストが気の毒になっていた。
死なないで良かったなあ、テロリスト!
やっぱ、チャックも人の子だなあ・・・と思ってる矢先に一時停止するバイク!
やっぱ気に入らなかったのか、バイクのマフラーから飛び出したグレネードで主犯を景気よく爆殺するチャックだった。
鬼かオマエは・・・
こうして人質の人数以上にテロリストを殺し(主にチャックが。)、人質を無事奪還したデルタフォース。
乗客たちも喜びを隠さない。
しかし、チャックの活躍に感化された若者の命は奪われてしまった。
シンミリした状態で去るチャックたち。
そこに被さる、劇中何度聞いたか分からんシンミリ感ゼロのデルタフォースのテーマ!!
最後まで、死にかけのジジイが急にヘッドスプリングで起きたような展開を見せるのだった。
チャックノリス・ファクトは、決してジョークなどではない。
今作の鬼ノリスを見れば、マジだった…
と、思わせてくれる、明日から真似したくなる漢の映画である。